Dr. Mercolaより
誰でも物忘れはあります。しかしこのど忘れが正常な範囲なのか、認知症など深刻な病気の初期症状なのかをどう区別すれば良いのでしょうか。年齢とともに誰もが気になる所です。
年をとれば、脳内の情報処理速度は低下します。読んでいる本の著者は誰か、子供の頃の友達の名前などを思い出すのに時間がかかるようになって行きます。
言葉が喉まででかかっていても思い出せない場合は、別の方法で伝えることができます。これは正常なことで、いわゆるど忘れです。神経科学の世界では「脳活動の変化に対する不適応」と言われます。
メールを違う人に送ってしまう、人と会う約束を忘れてしまう、といったことも該当します。
このような物忘れは、脳が日常の活動をパターン化し、デフォルトモードネットワーク(DMN)に戻ってしまうために起こります。これはぼんやりと何かを考えている時に活動する脳領域間のネットワークです。
簡単に言うと、集中していなければならない時に、脳が休憩してしまうために、ちょっとした「ど忘れ」が起こってしまうのであり、ごく正常なことです。
家族や友人に指摘されるほど記憶や思考能力に変化があった場合、軽度認知障害(MCI)が疑われます。軽度認知障害とは、認知機能が多少低下した状態で、アルツハイマー病などの認知症に発展する恐れがある状態です。
精神機能の変化により著しく生活機能が低下し、自立した生活が難しい場合は、認知症が疑われます。例えば、場面に適切な言葉が見つからないというのは正常です。言葉を頻繁に忘れてしまったり、同じ言葉やエピソードを繰り返してしまう場合は問題があるかもしれません。
もう一つ気になる症状は、知っている場所で迷ったり、どこにいるのかわからなくなる場合です(知らない土地で道を尋ねるのとは違います)。
物忘れが起こった状況、例えば、鍵を置き忘れた、などを後で思い出すことができれば大丈夫です。深刻なのは、ど忘れした時のことを、家族に説明してもらっても記憶にない場合です。MCIや認知症の心配な症状は他にもあります。
物忘れが多くなって、心配になってきていませんか。今が行動の時です。年を重ねても脳の活動を維持することができます。物忘れは、より深刻な症状の前兆かもしれませんよ。
高脂肪/中程度タンパク質/正味炭水化物量を減らす ケトン食 が脳の健康にとって重要です。効果は誰にでもありますが、特に脳の健康に問題が出ている人にはお勧めです。デンプン質の少ない野菜以外の炭水化物を完全にカットし、良質なタンパク質を低ー中量、健康に良い脂肪分を多く摂る食事法です。
この食事法で、体重を適正値に保ち、慢性変性疾患のリスクを減少させ、脳の健康を守ります。この食べ方によって炭水化物ではなく脂肪を燃焼するようになり、体内でケトンが作られるようになります(ケトン体、ケト酸とも呼ばれる)。
ケトンは、脳の栄養となり、萎縮を防ぎます。またニューロンの再形成を助け、損傷が起こり始めた脳神経の機能を回復させます。さらに、ケトン食療法では、ケトンの供給源は主にココナッツオイルに含まれる中鎖トリグリセリド(MCT)です。British Journal of Nutritionでは次の様に述べられています。
「長鎖脂肪酸を多く含む他の食物脂肪とは異なり、ココナッツオイルには、中鎖脂肪酸(MCFA)が含まれている。中鎖脂肪酸は、肝臓で吸収、代謝され、ケトンに変換されやすい。 ケトン体は脳のエネルギーとして重要で、アルツハイマー病(AD)のような記憶の障害がある人、起こりつつある人に良い効果があるとされています。
「長鎖脂肪酸を多く含む他の食物脂肪とは異なり、ココナッツオイルには、中鎖脂肪酸(MCFA)が含まれている。中鎖脂肪酸は、肝臓で吸収、代謝され、ケトンに変換されやすい。
ケトン体は脳のエネルギーとして重要で、アルツハイマー病(AD)のような記憶の障害がある人、起こりつつある人に良い効果があるとされています。
魚が脳に良いと言われるのは、オメガ-3脂肪酸が含まれているためです。確かに重要な成分です。そして中鎖トリグリセリドも同様に重要です。中鎖トリグリセリド(MCT)と、長鎖脂肪酸とは、体内での代謝の仕方が異なります。
通常、脂肪が体内に入ると、消化システムで分解される前に胆嚢から分泌される胆汁と混ぜられます。中鎖トリグリセリドは、直接肝臓に届き、ケトンに変換され、胆汁は必要ありません。肝臓で変換したケトンはすぐに血中に送られ、脳の栄養となります。
ケトンは、アルツハイマー病の患者の脳にとって、素晴らしい栄養源となります。 Mary Newport博士の調査では、テーブルスプーンに2杯(約35 ml、またはティースプーンにすり切り7杯くらい)のココナッツオイルに、中鎖トリグリセリドが20 g含まれ、変性神経疾患の予防や、治療に効果があることがわかっています。
他の研究でもココナッツオイルがアルツハイマー病の治療に効果を示すとの興味ある結果が出ています。ある研究では、エクストラバージンのココナッツオイルを40 ml/日摂取すると、アルツハイマー病の女性患者の認知状態が改善したと発表しています。別のレビューでは次の様に述べられています。
「ココナッツオイルが、心血管疾患や2型糖尿病、アルツハイマー病のリスクを増加させる要因となる、肥満、脂質異常症さらにはインスリン抵抗性や高血圧などの症状の治療に良いことを示す証拠が数多く示されています。 さらに、ココナッツに含まれるフェノール化合物やホルモン(サイトカイン)に、アミロイドβペプチドが蓄積されるのを防ぎ、アルツハイマー病の発症を抑える効果があることもわかっています。」
「ココナッツオイルが、心血管疾患や2型糖尿病、アルツハイマー病のリスクを増加させる要因となる、肥満、脂質異常症さらにはインスリン抵抗性や高血圧などの症状の治療に良いことを示す証拠が数多く示されています。
さらに、ココナッツに含まれるフェノール化合物やホルモン(サイトカイン)に、アミロイドβペプチドが蓄積されるのを防ぎ、アルツハイマー病の発症を抑える効果があることもわかっています。」
アルツハイマー病の症状を逆行させるために 必要なことは、食事のあり方を考え直すことだけです。便利な加工食品は文字どおり人を殺す食品です。認知症だけでなく、 糖尿病、心臓病、ガンの原因となります。
ケトン食に加えて、次の項目にも注意してください。
その結果、免疫系が敏感になり、炎症や自己免疫を活性化させ、これもアルツハイマー病の発症を促します。
オメガ-3脂肪酸のEPA、DHAはアルツハイマー病による細胞の損傷を防ぎ、さらなる進行を抑え、発症のリスクを低下させます。
食事の他にも、神経系の健康に役立つたくさんの生活習慣があります。アルツハイマー病を予防するには次に示す対策がお勧めです。
運動は、PGC-1αタンパク質の濃度を上げる効果もあります。研究により、アルツハイマー病の患者は、脳内や細胞内(アミロイド前駆体タンパク質は少なくて良い)にPGC-1αタンパク質の量が少ないことがわかりました。
また、ビタミンDの持つ抗炎症、免疫活性作用もアルツハイマー病に良い効果をもたらすとされています。免疫系がアルツハイマー病などの炎症に対抗できるためには、ビタミンD量が十分にあること(50 -70 ng/ml)が欠かせないのです。
スタチン製剤 は特に問題です。コレステロールの合成を抑え、脳内のコエンザイムQ10や神経伝達物質の前駆物質が減少します。この結果、低密度リポタンパク質(LDL)の産生が阻害され、必須脂肪酸や脂溶性抗酸化物質が脳に届かなくなります。
このウェブサイトの閲覧を続けとクッキーの使用、改訂個人情報保護方針、サービスの提供条件に同意したものとみなされます。
同意する