カーボローディングをお勧めしない理由

カーボローディング

早分かり -

  • カーボローディングは運動時のパフォーマンスを一時的に向上させる。しかしその効果は、水分による体重増加とやっかいな消化器系の症状によって消されてしまう。
  • 低炭水化物、高脂肪、パレオダイエットなどの経験者は、脂肪をエネルギー化することに適応しており、運動中でもエネルギー源として炭水化物を必要としない。
  • プロアスリートの多くは、カーボローディングに対する考えを変えている。低炭水化物、高脂肪の食事の方が、エネルギー供給を長く維持し、代謝に良い影響があるため。
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Dr. Mercolaより

カーボローディングは、マラソン選手、大会や試合を数日後に控えているなど、持久力を求められる競技のスポーツ選手がよく利用する方法です。体内に最大限の炭水化物を取り入れ、運動時に筋肉のエネルギー源となるグリコーゲンを十分に確保するという考え方です。Runner's Worldは次のように述べています。

「最も簡単に、効率良く炭水化物を補充する方法は、炭水化物の多い食品を毎食と、おやつにも食べることです。少なくとも大会の5日前に始めてください。

食べて良いものは、主にパスタ、米、シリアル、ジャガイモ、果物になります。砂糖や精製穀物は、大会の数日前に食べましょう。」

この方法は 強度のワークアウトを日常的に行っている、大会が近づいているなどに該当する非常に運動量の多いスポーツ選手に向いていいると言えます。ですが、やり方を間違えたり、普段から低炭水化物ダイエットをしている人などには害になることもあります。

カーボローディングは、プロアスリートにとっては考えを変えた方が良い点が見られます。なぜなら、低炭水化物、高脂肪の食事の方が、エネルギー供給を長く維持し、代謝に良い影響があるためです。

一方、カーボローディングは、 運動量の少ない多くの一般の人々にとってはまったく適していません。このような食事の仕方は、体重増加、消化器の異常、 慢性病などの元となってしまいます。

カーボローディングの欠点

マラソンや激しいスポーツの大会前夜や数日前に カーボローディングを行うことには、いくつかの深刻な問題につながる場合があります。炭水化物は、身体活動のエネルギー源として使われるグリコーゲンとなって筋肉や肝臓に蓄えられます。この栄養素がなくなると、肉体疲労が起こり、パフォーマンスも低下します。

カーボローディングは、長距離を走るのに必要なエネルギーであるグリコーゲンの体内貯蔵量を増やします。しかし、炭水化物が主なエネルギー源である場合、 マラソンなどではエネルギー枯渇するため、さらにエネルギー補給が必要です。

大会の途中でエネルギーを産生しようとしても、カーボローディングで蓄えたエネルギー源は体内に残っていません。スポーツ科学者のRoss Tucker博士は、Fittishに次の様に話しています。

「車でアメリカ横断しようと思ったら、必ず給油が必要ですよね。ニューヨークシティマラソンも同じです。途中で炭水化物を補給する必要があります。

これが、レース中のドリンク、ゼリー、バーなど、常に燃料補給と炭水化物の供給が可能である場合は、補給超過になることもあります。」

大抵の場合、補給の必要はなく、かえって悪影響になるだけです。水分により体重が増えるため(炭水化物と一緒に水が蓄えられる)です 。カーボローディングによる体重増加は、パフォーマンスに対する効果を打ち消してしまうほどである、とTucker氏は述べています。

大会前3日間は普通の食事を摂ることが推奨されます。このようにして炭水化物の量を若干増やしておき、レース中のエネルギー補給を効率良く行うことに焦点を当てる のが最も良い策です。ですが、それにも注意点があります。

脂肪のエネルギー化に適応していれば、運動中でも炭水化物は不要

低炭水化物、パレオダイエット、私がご紹介している栄養摂取プログラムの高脂肪/中程度タンパク質/低炭水化物ダイエットなどの経験者は、脂肪をエネルギー化することに適応しています。

私たちの祖先は、脂肪を主なエネルギー源として使うことに適応していました。ところが現代人では、糖分やグルコースが主要なエネルギー源となっています。脂肪の分解に適応しているかどうかを知るには、食事を抜いた時にどう感じるかを確認してみてください。食事を抜いてもお腹がすきすぎたり機嫌が悪くなったり(炭水化物への欲求)しないのであれば 、 脂肪の分解に適用できています。

体重超過ぎみ、高血圧、糖尿病、スタチン製剤を服用している場合は、主なエネルギー源として脂肪を分解することに適応していないはずです。

運動中に脂肪を分解することができれば、グリコーゲンは本当に必要な時にとっておくことが可能です。この状態は、競技のパフォーマンスを向上させ、より多くの脂肪を燃焼させるのに役立ちます。

「鉄人競技」トライアスロンの元選手、Mark Sisson氏は、「炭水化物補給なしで運動できるなら、脂肪を分解することに適応できているということです。」と説明しています。エネルギー補給なしで効率良く運動できるなら、脂肪の分解に適応していることを示します。

野菜以外の炭水化物を健康に良い脂肪分に置き換える、決まった時間のみ食べる、などの方法は、炭水化物ではなく脂肪を分解するように導く良い方法です。

これまでにパレオダイエットや同様の食事法を試したことがある場合は、効率良く脂肪を分解できる可能性が高く、激しい運動をしても炭水化物の補充は必要ありません。

レース直前に高炭水化物食に切り替える(低炭水化物食の後に)と、体内にエネルギーを最大限蓄え、パフォーマンスを向上させることを示す事例がありますが、これには個人差があります。多くの人にとっては悪影響となる場合が多く、急激な炭水化物の吸収は、頭痛、吐き気、膨満感など様々な症状の原因となります。

アスリートの動向—カーボローディングから、低炭水化物/高脂肪食へ

LeBron James選手、Ray Allen選手などNBAのスター選手が、低炭水化物食に切り替えて望ましい結果が得られていると公表しています。他にも、トライアスロンのNell Stephenson選手、プロサイクリストのDave Zabriskie選手、ウルトラマラソンのTimothy Olson選手などが、低炭水化物/高脂肪食に切り替えています。

元トライアスロン選手のBen Greenfield氏は、2013年の世界大会に向けてのトレーニングでケトン食を実践し、スタミナ向上、血糖値の安定、快眠効果、物忘れや集中力低下の軽減などの効果を体感したと言われています。

運動の前には何を食べたら良い?

蓄えられていたグリコーゲンが枯渇すると、脂肪が分解されます。これが、脂肪分解に適応した状態であり、エネルギー利用の効率が向上し、幹細胞の再生、組織の修復、体脂肪減少、炎症緩和、インスリン感受性の向上などにつながります。

運動前に炭水化物を補給すると、脂肪の燃焼や、運動の代謝効果を抑えてしまいます。パフォーマンスが向上したとしても一時的なものです。フィットネス専門家のOri Hofmekler 氏は、運動前にストレス応答食品が含む栄養素(SAF栄養素)を摂ることを推奨しています。

これらの栄養素による効果は、インターミッテントファスティングと運動による効果と似ています。Hofmekler 氏はさらに述べています。

SAF栄養素には体内に摂取されると、動物やヒトのサバイバビリティを向上させる効果が見られました。これらの栄養素の中には、肥満、糖尿病、老化を抑えるという点で、運動や断食と同じような効果を示すものもありました。つまり、運動と同じ効果を得られる栄養素は運動前に摂取すると良い、ということになります。

脂肪燃焼の減少や、運動による衝撃の修復の遅れを防ぐのではなく、衝撃をさらに強める可能性もあります。

SAF 栄養素のほとんどは現代人の食事には含まれていません。食事で得られにくいこれらの栄養素は、木の皮、根、種、野菜や果物の皮など、通常は食べないものに含まれています。

私たちが口にする食品にも、疑似運動効果が得られるSAF栄養素(フェノール、カフェイン、テオブロミン、カテキン、免疫タンパク質)を多く含む食品があります。これらの栄養素と運動を組み合わせることで大きな効果が得られます。

これらの栄養素は、次の食品に含まれています。

  • 牧草飼育牛のホエイプロテイン
  • オーガニックのブラックコーヒー
  • 甘味料無添加のココア
  • 緑茶

運動する時は絶食状態であることが望ましいです(下記参照)。絶食時の運動でふらつきや吐き気を感じる場合は、運動前に良質なホエイタンパク質のシェイクを飲んでください。

Medicine and Science in Sports & Exercise誌に掲載された研究では、抵抗トレーニングの30分前にホエイタンパク質(タンパク質20 g/1回)を摂取すると運動後約24時間代謝が向上することがわかりました。

 良質なホエイタンパク質に含まれるアミノ酸群が細胞の機能(mTORC-1)を高めると考えられています。

これにより、筋肉タンパク質の合成が促進され、甲状腺の機能を促進、運動後のテストステロンの減少に対する予防効果をもたらします。運動前後に20 gずつのホエイタンパク質を摂取すると、脂肪燃焼、筋肉増強の効果は2倍になります。

この量は平均です。実際の用量は調節しても構いません(体格によっては、半分の量、もしくは、50-75%多いほうが良いかもしれません。)。

絶食時の運動が最も効果あり

インターミッテントファスティング中に運動すると、自動的に脂肪が分解されます。脂肪燃焼は交感神経系(SNS)が制御しています。交感神経系は運動や絶食によって活性化されます。

絶食と運動の組み合わせで、細胞内因子や脂肪やグリコーゲンの分解を促す触媒(cAMPやAMPキナーゼ)の働きを最大限になります。逆に、運動前に炭水化物が豊富な食事をしっかり摂ってしまうと、交感神経系の働きが阻害され、運動による脂肪燃焼効果が減ってしまいます。

炭水化物を多く摂ると、逆に副交感神経系(エネルギーの貯蔵を促す。本来の目的と正反対の効果。)が活性化されてしまいます。ある研究では、有酸素運動の前に絶食すると体重も体脂肪も減少したが、運動の前に食べた場合は体重だけが減少するということが判明しました。

衛星細絶食と運動の組み合わせは急激な酸化ストレスとなり、遺伝子やBDNF(脳由来神経栄養因子)やMRF(筋制御因子)などの成長因子に働きかける効果があるのです。成長因子は脳幹細胞や衛星細胞にそれぞれ新しいニューロンや筋肉に変換されるよう信号を発信します。

つまり、絶食時の運動は、脳、神経運動や菌繊維を生物学的に若く保つのに役立つのです。インターミッテントファスティングと短時間の高強度トレーニングの組み合わせはさらに脂肪燃焼や体重減少効果があります。具体的な効果は次のとおりです。

✓ 筋肉や脳の生物時計を戻す ✓ 成長ホルモンの分泌を促進 ✓ 体格の改善
✓ 認知機能を促進 ✓ テストステロンの分泌を促進 ✓ うつを予防

運動時に必要な栄養素は個人差が大きい

運動時に必要な栄養素は、誰も同じではありません。何が最適かは、運動の種類、体力、食生活、目標などによって異なります。

第一線でフルマラソンを走るアスリートに必要な栄養素は、単に筋肉強化と減量を目指す人とはまったく異なります。

多くの人にとって、運動前の絶食は、脂肪燃焼効果、筋力アップ効果の両方が得られます。

ですが、絶食するかどうかは、やはり運動の内容によって異なります。マラソンを走る場合、多くのエネルギーが必要ですから、「絶食」は良くありません。(それにしても、体脂肪分解に適応していれば、パン、パスタ、その他の不健康な炭水化物は不要です。)

体脂肪分解に適応している現役アスリートは、いつも絶食状態でトレーニングするのは良くありません。運動の強度に影響し、トレーニングで目指している効果が得られなくなってしまいます。運動前に絶食をしないほうが良いもう一つの状況は、高強度トレーニングをしている場合です。

絶食が14-18時間に達すると、グリコーゲンの蓄えはなくなります。そのためオールアウト(training to failure)のウェイトを挙げるのが困難になります。

オールアウトトレーニングは、絶食中を避けましょう。オールアウトトレーニングでは、運動する前の夜に、健康に良いゆっくりと分解されるでんぷん質の炭水化物を摂り、朝グリコーゲンの蓄えがあるようにしましょう。

さらに、分岐鎖アミノ酸を補給するために、運動前にホエイタンパク質を摂り、運動中にしっかり筋肉にエネルギー源を届けましょう。