チェリーが痛風発作のリスクを減少させる

チェリー

早分かり -

  • ある研究で、1日に1/2カップのチェリー(10-12個)、または、チェリーのエキスを摂取した600人の痛風患者のうち、35パーセントに痛風発作の減少が見られた。
  • さらに多い量の、2日間に3回摂取したグループでは、50パーセントの減少が見られた。
  • チェリーには、アントシアニン、バイオフラボノイドなど、抗炎症作用、尿酸値を下げる作用のある非常に強力な成分が含まれている。血中の尿酸値を制御する代謝機能がうまく働いていないときに痛風を発症するのである。関節に尿酸結晶が形成されると、こわばりや腫れが出る。
  • フルクトースは尿酸値を上昇させるので、痛風がある場合はフルクトースの摂取を1日25 g以下(果物を含む)に控える必要がある。
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

関節の痛み、強ばり、炎症などが痛風の特徴の一部です。痛風は関節炎の一種で、必ずというわけではありませんが、多くの例で足の親指から症状が始まります。

痛風の発作の痛みは、炎で焼かれるよう、焼き串で刺されているようなどと表現され、非常にやっかいなものです。

痛風の症状 は、通常10日ほどで治まります。次に症状が出るのは、数ヶ月から数年後だったり、全く出ない場合もあります。しかし、多くの場合、痛風は一生付き合わなければならない場合が多く、発作の回数は増え、痛みも増していきます。対策をしなければ、やがて、関節や周辺組織の損傷は修復不能になります。

生活の質を維持するためには、言うまでも無く、痛風の発作を予防する必要があります。そのためにも、チェリーの可能性を示している研究の内容を皆さんに大きな声でお伝えしたいのです。

1日10-12個のチェリーが痛風発作のリスクを減少させる

ある研究で、1日に1/2カップのチェリー(10-12個)か、チェリーのエキスを摂取した600人の痛風患者の35パーセントに痛風発作の減少が見られました。さらに多い量の、2日間に3回摂取したグループでは、50パーセントの減少が見られました。

痛風は糖分やフルクトース、果汁の消費と関連があることがわかっているので、チェリーに痛風のリスクを下げる効果があるのかと不思議に思えるかもしれません。ですが、少量のチェリーで十分に効果が得られるため、糖分の量はほんの少しで済むのです。

チェリーには、アントシアニン、バイオフラボノイドなど、抗炎症作用のある成分が含まれています。また、尿酸値にも良い効果がある可能性があります。

代謝機能に問題があり、血中の尿酸値をコントロールできなくなると痛風を発症します。関節に尿酸結晶が形成されると、こわばりや腫れが出てきます。そして、結晶に対する炎症反応として痛みが現れます。ここで、過去の研究からの抜粋をご覧下さい。

  • 一晩絶食した後にチェリーを食べると尿酸値が15%減少し、一酸化窒素やC反応性タンパク質(痛風などの炎症性の疾患と関連性が深い)の量も減少します。研究者チームは、研究の結果、チェリーには抗痛風効果があること、チェリーに含まれる成分が、炎症経路を阻害すると発表しています。
  • タートチェリーの果汁を毎日4週間連続で飲むと、尿酸値が下がる可能性があります。

 フルクトースと尿酸:痛風の人は知っておきたい関連性

1日に炭酸飲料を一杯飲んだ女性は 74 % 、180 mlのオレンジジュースを飲んだ女性は41 %、あまり飲まない女性に比べて、痛風のリスクが高いことがわかっています。第一の原因はフルクトースであると考えられます。なぜなら、摂取後数分で尿酸を増加させる特徴があるためです。

フルクトースが糖の一種であることはご存じかもしれません。しかし、フルクトースは、グルコースなど他の糖とは異なる経路で代謝されます。代謝経路で尿酸が発生するのはそのためです。

「何種類あろうと砂糖は砂糖」と思っている方、フルクトースは単体でも尿酸値を上昇させます。尿酸値が上昇すれば、痛風の原因になるだけではなく、高血圧、インスリン抵抗性/糖尿病、肥満、腎臓病など、様々な病状も引き起こします。

糖尿病や高血圧などの病状の多くが、痛風のリスクを増加させるのは偶然ではありません。(高血圧に処方されるチアジド系利尿薬も同様です。)

フルクトースの摂取と尿酸値の上昇の相関性は非常に高く、血液中の尿酸値が、フルクトースの毒性度マーカーとなります。血液検査では尿酸値も測定するようにしてほしいものです。

最新の研究では、最も安全な尿酸値の範囲は3.0-5.5 mg/dLとされています。また、尿酸値と血圧、心血管系疾患のリスクの関連性も指摘されており、その場合の最適な尿酸値は3.0-4.0 mg/dLと言われています。すでにご存じのとおり、アメリカの全人口の2/3は肥満傾向にあり、尿酸値は5.5 mg/dLを越えると考えられています。

10 mg/dLを越える場合も少なくありません(肥満が痛風のリスクを増加させることを示す良い例です)。コロラド大学のRichard Johnson医学博士は、理想的な尿酸値について次の値を示しています。

  • 男性:4.0 mg/dL
  • 女性:3.5 mg/dL

血中の尿酸が、痛風だけでなく、血圧、インスリンの産生、腎機能にも影響する理由については、Johnson博士とのインタビュー記事でご紹介しましょう。

痛風の予防と管理のコツとは?

チェリーを食べ過ぎないようにしましょう。個人的な経験ですが、好きな果物なので、つい一度にたくさん食べてしまうんです。ほどよく食べるのがポイントです。フルクトースを大量に、しかも定期的に摂るのは健康に良いとは言えません。幸い、チェリーの旬の時期は短いですから、誘惑もずっと続くわけではありませんね。

Johnson博士の研究によると、アメリカの全人口の1/4が、なんと、1134 gのフルクトースを摂っていると言われています。健康のためには、1日のフルクトースの摂取量を25 g以下に抑えたいことを考えると、このフルクトースの量には愕然とします。

痛風がある場合は、特に重要なことです。果物から摂取するフルクトースの量も計算に入れて下さい。治療効果を求めてチェリーを食べる場合は、 スィートチェリー10またはサワーチェリー1カップに、フルクトースが4 g含まれています。

フルクトースが含まれる食品を他に食べない場合、25 gのチェリーには10 gのフルクトースが入っている計算です。最大量まで達するには、60個以上のチェリーを食べられるということになります。チェリーを食べるのが時々で、インスリン抵抗性の心配が無ければ、問題はありません。

しかし、脂肪として貯蔵されてしまう可能性はあります。ですが、脂肪は代謝できますし、毎日チェリーを食べるのでなければ、これもまた、問題ありません。

痛風の発作の予防とコントロールのためには、食事に含まれるフルクトース量を制限することが重要です。こちらに、簡単にできる 栄養摂取プログラムをご紹介します。フルクトースの過剰摂取の主な原因である、炭酸飲料、果汁、甘味料を使用した飲み物をまず制限するようにしましょう。

代わりに、水を十分に飲むと体内の尿酸を排出することができます。

アルコール、特にビールは、基本的に血中の尿酸を増やしますので、飲む量に注意するか、飲まないようにして下さい。