Dr. Mercolaより
高タンパク質ダイエットの流行で、タンパク質だけを食べ過ぎるのも良くないのではと思う人もいるかもしれません。そのとおりです。タンパク質の摂り過ぎは、かなり健康に害を及ぼします。
適量を超えたタンパク質は、体重増加、体脂肪の増加、腎臓への負担、脱水症状、骨からのミネラル流出など、健康にも運動機能にも多くの害を及ぼします。
もちろん、タンパク質は身体に 必要です 。タンパク質やアミノ酸は、筋肉、骨、様々なホルモンの基本的な構成要素です。タンパク質なしでは生きることはできません。
年齢と共に、また妊娠中には、良質なタンパク質を十分摂ることは非常に重要です。年齢と共にタンパク質を処理する機能が衰え、より多くのタンパク質が必要になるからです。
これは特に老年期の男性に当てはまります。タンパク質は年齢と共に失われる筋肉を維持するのに役立ちます。牧草飼育の家畜からとれた良質なタンパク質は、植物由来のタンパク質よりも吸収されやすい特徴があります。
しかし、身体に取り込むことができるタンパク質の量には上限が あります 。平均的に見て、多くの人が、健康のために必要な量の3-5倍のタンパク質や多くの炭水化物と共に摂り、 健康に良い脂肪分は不足しています。
肉の消費量 は、過去100年間で劇的に増加しました。さらに悪いことに、過剰に消費されている肉の大部分が、 集中家畜飼養施設 (CAFO)、つまり、家畜が閉じ込められ、新鮮な牧草ではなく、遺伝子組み換え穀物でできた自然の摂理に反した飼料を与えられる施設で育った低品質なものです。
タンパク質の摂取をほどほどにしたほうが賢明である理由はたくさんあります。まず、身体にとって必要な量より多くタンパク質を摂ると、そのまま糖になり、さらに脂肪になります。血糖値が上昇すると、病原菌や カンジダ菌 などのイースト菌の餌となる他、 ガン細胞の成長を促します。
過剰なタンパク質によって、哺乳類ラパマイシン標的タンパク質経路(mTOR)経路と呼ばれる重要な生化学的経路が刺激されます。
この経路は、多くのガンで重要な役割を果たしています。タンパク質の量を 身体に必要な量に減らせば、mTORは阻害されガンが成長する条件を最小にすることができます。
さらに、タンパク質を多く摂り過ぎると、血液から出る老廃物である窒素をより多く体外に排泄しなければならず、腎臓に負担がかかります。持久系スポーツの運動選手について調べたある実験でわかったとおり、慢性の脱水症状がおこることもあります。
最新の研究により、タンパク質の話題に長寿に関係する新たな考え方が加わりました。多くの動物実験で、 カロリー制限 により寿命が延びることがわかりました。さらに最新の科学界では、タンパク質の摂取を減らすことが長寿をもたらすことを示しています。さらに具体的には、肉類に多く含まれるメチオニンというアミノ酸を減らす必要があります。
しかし、他の最新の調査結果によると、 アミノ酸のバランス が鍵を握っているという可能性もあります。具体的には、グリシンと言うアミノ酸がメチオニンを減らす効果があると示しています。
プロテインサイクリングという手法を試してみましょう。これは古代の祖先の食事に立ち返る方法で、しっかり食べたら断食するというものです。これでアミノ酸濃度を正常化します。
除脂肪体重1 kgに対してタンパク質1 gが適量です。
普通の人は一日に40-70 gになります。これ以上タンパク質が必要となるのは、激しい運動をしている人、アスリート、妊婦などで、通常より25%多く摂る必要があります。
40-70 gという量は、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が推奨する、成人に必要なタンパク質量(女性46 g、男性56 g)の範囲内です。
ご自身に必要なタンパク質の量を求めるには、まず除脂肪体重を計算します。まず体脂肪率を100から引きます。体脂肪率が20%であれば、除脂肪率は80%となります。
そして、その割合(この場合0.8)と自分の体重(ポンドでもキロでも)を掛けて除脂肪体重を求めます。例えば、体重160ポンドの場合、160 x 0.8 = 128ポンドとなり、これが除脂肪体重です。さらに、「タンパク質0.5グラム」の法則に基づくと、1日64グラムのタンパク質が必要となるのです。
タンパク質を多く含む食品には、肉、魚、卵、乳製品、豆、ナッツ類、種子類があります。タンパク質は、ブロッコリなどの野菜にも含まれています。タンパク質40 gが含まれる食品の体積は、それほど多くありません。鶏胸肉だと170 g程度になります。タンパク質を摂り過ぎているかどうかは除脂肪体重から必要な量を計算して確認しましょう。そして食べたものの記録を、数日間続けて取ってみてください。
そして、食品からどれだけの量のタンパク質を摂っているか計算します。除脂肪体重1 kgに対してタンパク質1 gが適量です。最適とされる値を大幅に超えるようであれば、それに応じて減量していけばいいのです。食品に含まれるタンパク質の量を知りたい場合は、下の表をご覧いただくか、Google検索で調べましょう。
赤身肉、豚肉、鶏肉、魚介類:1オンス(28 g)に対し6-9 g
理想的な肉類の摂取量は3オンス(85 g)程度(9オンスや12オンスのステーキはダメです)、タンパク質18-27 gを含む。
植物性動物性を問わず、幅広い食品から高品質のタンパク質を摂ることをお勧めします。極端に植物性由来の食事では、栄養不足にならないようにするのが難しいことを示しています。
Nutrition 誌に掲載された記事では、極端に植物性由来の食生活の人は、潜在的にタンパク質不足であると報告されています。タンパク質不足により、食事から十分に 硫黄を摂れないリスクもあります。硫黄は、ほとんどが食物タンパク質由来です。魚、良質(オーガニックの)で牧草飼育の牛肉や鶏肉などに含まれます。肉、魚は、タンパク質の合成に必要な硫黄を含むアミノ酸が含まれる完全食品です。
日本で実施された最新の研究では、適切な量の 動物性タンパク質 を摂ると加齢による機能の低下のリスクを減少させることがわかりました。肉、魚を多く食べた男性では、あまり動物性タンパク質を摂らない男性に比べて、精神、肉体が衰えるリスクが39%低いという結果が出ました。反面、植物由来のタンパク質は 血圧を下げる働きがあります。 最新のメタアナリシスによると、肉を抜いた食事で5 kg減量した時と同等の血圧降下作用がありました。では一体、動物性と植物性どちらが良いのでしょう。答えは、どちらでもありません。つまり、臨床的には、どちらにもそれぞれ違う効果があるので、 様々な 良質なタンパク質をバランス良く摂り、植物性、動物性のそれぞれの効果を得るのが一番です。
肉の量より品質が重要です。ほとんどの場合、私がお勧めする肉は、牧草飼育で、オーガニック環境で飼育された家畜の肉(乳製品、卵も同様です)です。牧草飼育の動物の肉は、 集中家畜飼養施設(CAFO)で飼育された肉よりはるかに良質です。CAFO牛肉は、 除草剤、殺虫剤、ホルモン、 抗生物質、その他の薬剤、飼料として与えられる遺伝子組み換え穀物 GMOによって汚染されています。
研究者グループによると、CAFOで生産された牛肉が、アルツハイマー病の原因である遅効性プリオン感染を広めていると考えられています。その影響は、感染によって脳が破壊され、死に至るまでの症状の進行速度以外は 狂牛病と同じです。2009年に実施された、アメリカ合衆国農務省(USDA)とClemson University (クレムゾン大学)の共同研究では、牧草飼育の家畜の肉が、穀物飼料の家畜の肉と比較して人体に有益である10の項目を導き出しました。対照比較の結果、牧草飼育の家畜の肉が優れている点は次のとおりです。
便利に手早く手に入れられる良質なタンパク質に、ホエイタンパク質があります。ホエイタンパク質 は、優れたフィットネス食品で、良質なタンパク質の他にも、筋肉の成長、修復に欠かせないロイシンが豊富です。
ホエイタンパク質が運動からの回復効果が高い理由の一つは、吸収の速さにあります。飲み込んでから10-15分以内で、一番必要なタイミングで筋肉に取り込まれます。ホエイは、免疫系にも効果があります。免疫グロブリン、ラクトフェリン、その他グルタチオンの前駆物質 が豊富です。
ホエイのサプリメントに関しては、注意事項があります。遊離アミノ酸のサプリメントや遊離分岐鎖アミノ酸(ロイシン、グルタミン酸など)は危険な成分で、健康に害となる可能性がありますので避けてください。多くのサプリメントに、劣化したタンパク質やタンパク質の異性体が含まれており、体内で適切に使われることはありません。
酸処理されており、界面活性剤、人工甘味料、重金属による汚染(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀)、膨大な数の化学添加物が含まれています。良質なホールフードのホエイサプリメントを探してください。最低限の加工、オーガニック、牧草飼育、ホルモンを与えられていない牛の乳から作ったもので独自の試験で純度が確認されている製品を選びましょう。
栄養を最大限に摂取するには、微量栄養素、炭水化物、タンパク質、脂肪のバランスが大切です。上述の食品に加えて、他にもタンパク質を多く含む食品があります。
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