Dr. Mercolaより
Precision Analytical Laboratory(オレゴン州)の創始者Mark Newman氏は、DUTCH検査(Dried Urine test for Comprehensive Hormones、乾燥尿による総合ホルモン検査)の開発を行いました。
乾燥尿を用いるDUTCH検査は、あらゆる点で革新的であり、それぞれに欠点や制限事項のあった従来のホルモン検査より多くの点で優れています。
例えば、従来の尿検査(生尿)では、血液や唾液検査では検出できない代謝物が検査できますが、採取の手間がかかります。
検査の難しい点は、ホルモンの分泌量が一日をとおして変動する点にあります。例えば、コルチゾールの場合、起床後すぐに上昇し、一日の終わりに向かって減っていきます。
朝は量が少なく、夜に増えるというように、日中の分泌パターンに不具合があれば、何か問題があると言うことです。24時間蓄尿検査ではこの状況を調べることはできません。
唾液検査も一日に数回サンプルを採る点は優れています。一日に複数回サンプルを採るので、コルチゾールのパターンについてより正確な計測が可能です。時間と手間のかかる採集方法が難点です。
DUTCH検査は、わずか1回のサンプル採取で全ての情報が得られ、煩わしさがありません。紙のフィルタに尿をかけて乾燥させるだけです。
試験紙から一日分のホルモンや代謝物の内容(血液、唾液検査では測定不能)を示すパネルが完成します。従来の方法では複数の検査が必要な検査内容です。
エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンなどの性ホルモンは、日中の増減が少なく(テストステロンは若干の減少が見られる)、血液検査が一般的です。血液検査の難点は、これらのホルモンによる代謝物を調べられない点です。
血液検査では、コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンについて、全体 量の把握のみとなります。唾液検査やDUTCH検査では、指標として優れている 遊離 コルチゾールの測定が可能です。しかし、唾液検査ではコルチゾールの代謝物の測定ができません。DUTCHはどちらも計測可能です。
尿検査の利点は、ホルモンと代謝物のどちらも測定できる点です。下記の例は、エストロゲン過剰の症状が見られる女性の例で、尿中のエストロゲンとその代謝物の量が上昇していると予測されます。
代謝物は根本的な病気の原因を突き止める際に役立ちます。テストステロンの代謝物であるジヒドロテストステロン(DHT)は、前立腺ガンの危険因子であると考えられています。
テストステロンの値は高く保ちたいところですが、DHTへ変化し、代謝物が過剰になる状態は望ましくありません。血液、尿、唾液検査ともに、テストステロンが過剰でないか調べることが可能です。正常値であるにも関わらず、多嚢胞性卵巣症候群のようなテストステロン値が高いことが原因で起こる症状がある場合、テストステロンが代謝されDHTに変化し、アンドロゲンによる顔のむだ毛、薄毛、ニキビなどが発生していると考えられます。
テストステロンがどのように使われているかを知るには、代謝物の検査が必要です。代謝物に問題が無ければ 、しなくてもよい治療を受けることはありません。代謝物に問題があり 、症状の原因と見られる場合は、自然な治療法があります。
検査過程の理解を深めるために、Mark氏がDUTCH検査の優れている点を示す症例を用意してくれています。
「うつと不安の症状を訴える患者さんの症例です。コルチゾール検査を実施しました。結果を確認するとコルチゾールの値が高い状態です。「なるほど。」と合点がいきます。遊離コルチゾールの値が上昇しています。遊離コルチゾールの値が上昇するとうつの症状につながることが知られていますので、コルチゾールの分泌が多すぎるという結論に達します。しかし、代謝物を確認してみると、値が低いことがわかります。 「遊離コルチゾール値が上昇しているのは、コルチゾールの排出がうまく要っていないためである可能性があります。分泌したコルチゾールをうまく排出できていません。」コルチゾールを排出するための肝臓の機能が弱まり、遊離コルチゾール値が高くなっているのです。 副腎でコルチゾールが過剰に分泌されているわけではありません。副腎からの分泌量はさほど多くないのです。甲状腺機能が低下している場合、独特のパターンを示します。そのような患者の場合、甲状腺の治療をしているのでコルチゾールの反応が見られます。 コルチゾール値だけから判断して、ホスファチジルセリンなど、副腎皮質からのコルチゾールの分泌を抑える処方をしてしまうことは誤りです。この患者さんの問題は底ではありません。彼女の問題は、複雑で見極めが必要です。コルチゾールの特徴をあらゆる角度からとらえることでより良い理解につながります。
「うつと不安の症状を訴える患者さんの症例です。コルチゾール検査を実施しました。結果を確認するとコルチゾールの値が高い状態です。「なるほど。」と合点がいきます。遊離コルチゾールの値が上昇しています。遊離コルチゾールの値が上昇するとうつの症状につながることが知られていますので、コルチゾールの分泌が多すぎるという結論に達します。しかし、代謝物を確認してみると、値が低いことがわかります。
「遊離コルチゾール値が上昇しているのは、コルチゾールの排出がうまく要っていないためである可能性があります。分泌したコルチゾールをうまく排出できていません。」コルチゾールを排出するための肝臓の機能が弱まり、遊離コルチゾール値が高くなっているのです。
副腎でコルチゾールが過剰に分泌されているわけではありません。副腎からの分泌量はさほど多くないのです。甲状腺機能が低下している場合、独特のパターンを示します。そのような患者の場合、甲状腺の治療をしているのでコルチゾールの反応が見られます。
コルチゾール値だけから判断して、ホスファチジルセリンなど、副腎皮質からのコルチゾールの分泌を抑える処方をしてしまうことは誤りです。この患者さんの問題は底ではありません。彼女の問題は、複雑で見極めが必要です。コルチゾールの特徴をあらゆる角度からとらえることでより良い理解につながります。
デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)が原因の場合もあります。炎症による場合が考えられるのです。DHEAは副腎で作られ、硫酸化されたものがDHEA硫酸(DHEAS)です。(DHEASを指標とする検査が一般的です。)硫酸化は炎症により阻害されます。DHEASの値が低い場合、DHEAの値は正常で炎症によって硫酸化が阻害されている場合とDHEAが少ない場合が考えられます。どちらが原因かをどのように見分けると良いでしょうか。
「尿検査では、DHEAの他の代謝物の値を確認し(DHEASよりも多い)、DHEAの全体量を算出します。この結果によって、炎症が起こっているのかどうかが判断可能となります。硫酸化のプロセスが滞っているだけでDHEAの分泌に問題はありません。 さらに、炎症により、アンドロゲンが過剰にエストロゲンに変換されていないかを確認します。炎症があると、アンドロゲンをエストロゲンに変換させるアロマターゼの量が上昇するためです。これで、状態が把握できました。では、エストロゲンを減らせば良いのでしょうか。もう少し踏み込んで検証する必要があります。 炎症はコルチゾールの代謝にも影響を与えます。コルチゾールの代謝物の確認が必要になります。本当の全体像は、複数のホルモンを細かく詳細に確認することで見えてくるのです。アンドロゲンとその代謝物、エストロゲンとその代謝物、コルチゾールとその代謝物を全体的に検証することでより良い診断と処置が可能となります。
「尿検査では、DHEAの他の代謝物の値を確認し(DHEASよりも多い)、DHEAの全体量を算出します。この結果によって、炎症が起こっているのかどうかが判断可能となります。硫酸化のプロセスが滞っているだけでDHEAの分泌に問題はありません。
さらに、炎症により、アンドロゲンが過剰にエストロゲンに変換されていないかを確認します。炎症があると、アンドロゲンをエストロゲンに変換させるアロマターゼの量が上昇するためです。これで、状態が把握できました。では、エストロゲンを減らせば良いのでしょうか。もう少し踏み込んで検証する必要があります。
炎症はコルチゾールの代謝にも影響を与えます。コルチゾールの代謝物の確認が必要になります。本当の全体像は、複数のホルモンを細かく詳細に確認することで見えてくるのです。アンドロゲンとその代謝物、エストロゲンとその代謝物、コルチゾールとその代謝物を全体的に検証することでより良い診断と処置が可能となります。
副腎の疲労度の判定は困難を極めます。コルチゾールの量が低いと、副腎の疲労であると考えられてきましたが、そうではありません。研究により、多くの場合は、脳からの信号と、ストレスへの反応であり、副腎機能とは関係が無いことがわかってきました。
本当に副腎の疲労なのでしょうか。それとも他の問題があるのでしょうか。副腎の疲労稼働かを判断するには、視床下部・下垂体・副腎皮質系(HPAアクシス)の機能不全について検証が必要です。副腎の問題なのか、HPAアクシス全体の機能不全なのかの判断が必要です。
「副腎への信号を送る際、脳では何が起こっているでしょう。これまで、遊離コルチゾール値が低い人は、副腎疲労のステージ3と診断されてきました。」しかし、これは誤った判断です。基本的に、コルチゾールの代謝物(コルチゾール産生量を確認する際の優れた指標)を確認すると、遊離コルチゾール値が低い患者のうち約半分は平均値以上のコルチゾールを産生していることがわかります。 代謝のプロセスが速すぎる可能性があるということです。肥満がある場合、コルチゾール(代謝物)の産生は増えます。遊離コルチゾールだけで判断すると、人口の90、95、いえ99%の人よりも多くコルチゾールを産生しているにも関わらず、副腎疲労のステージ3という判断になってしまいます(肥満によりコルチゾールは多く産生されるが、遊離コルチゾールは少ない)。簡単には判断できない状態です。」
「副腎への信号を送る際、脳では何が起こっているでしょう。これまで、遊離コルチゾール値が低い人は、副腎疲労のステージ3と診断されてきました。」しかし、これは誤った判断です。基本的に、コルチゾールの代謝物(コルチゾール産生量を確認する際の優れた指標)を確認すると、遊離コルチゾール値が低い患者のうち約半分は平均値以上のコルチゾールを産生していることがわかります。
代謝のプロセスが速すぎる可能性があるということです。肥満がある場合、コルチゾール(代謝物)の産生は増えます。遊離コルチゾールだけで判断すると、人口の90、95、いえ99%の人よりも多くコルチゾールを産生しているにも関わらず、副腎疲労のステージ3という判断になってしまいます(肥満によりコルチゾールは多く産生されるが、遊離コルチゾールは少ない)。簡単には判断できない状態です。」
ホルモンテストは、受ける時期が重要です。DUTCH検査のサンプルは1日に4回採取します。女性の場合、生理の周期を考慮に入れる必要があります。生理のある女性の女性ホルモンを調べたい場合、検査に適しているのは一月のうち数日間のみです。サンプル採取に一番良い日は、生理の始まった日から19-22日目です。
ホルモンというと、記事の冒頭で、DUTCH検査はバイオアイデンティカルホルモン療法を検討中の方に適しているとお伝えしていました。多くの場合、バイオアイデンティカルホルモンは適切ではありません。DUTCH検査で、ホルモンの異常を調整するためのより簡単な方法が見つかるかもしれません。バイオアイデンティカルホルモンの使用が最善策かどうかの判断に用いることができます。
ホルモン補充については、もしも使用するのであれば、必ず、バイオアイデンティカル、天然のものを選んで欲しいと思います。舌下ではなく、皮内投与(皮膚から局部的に投与)、または経粘膜(肛門または膣の座剤)が適しています。肝臓での代謝が避けられる有効な投与方法です。
バイオアイデンティカルホルモンの使用を始めたら定期的なチェックが必要ですが、これは複雑な事態でもあります。経粘膜による投与は理想的ですが、吸収ピークの測定は難しくなります。ある研究では、膣剤でホルモン(テストステロン)投与した女性二人の吸収ピークは、かなりずれがあったことがわかりました。
一人は8時間後、もう一人は2-3時間後という結果です。8時間後には、投与前の状態に戻っていました。8時間後に測定した場合、さらにホルモン投与が必要と判断したかもしれません。
検査結果の使用目的により、検査の問診内容が異なります。Precision Analyticalのウェブサイトに、検査比較表がありますので、目的に合っているかどうか確認してください。
検査したい内容を選ぶだけで、それぞれの検査の良い点、悪い点、特に注意すべき事項などが記載されています。この資料の中には、検査結果の見方についての ビデオ説明のリンクがあります。
DUTCH検査は、ホルモンの状況を知ると言う点では、どの検査方法よりも優れています。問題を改善するために何に気を付ければ良いのかを判断することができますね。資料を読むのが苦手でなければ、検査結果を自分で読んで足りないホルモンは何なのか確認すると良いですね。
検査結果の解釈の仕方も説明があります。ご自身のホルモンの状態を詳しく知ることができる素晴らしい検査方法です。症状が重く、治療が必要な場合は、医療の専門家にご相談ください。Precision Analyticalは、世界中に広がるネットワークで、ホルモンバランスを整えるお手伝いをいたします。
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