5つの動作でわかる運動不足度

腕立て伏せ

早分かり -

  • モビリティ(可動性)は健康の度合いを示します。この記事で紹介する5つの動作が難しい場合は、運動不足が進んでいるということです。
  • 強い体幹と上体は、姿勢、バランス、安定性を保ち、遠くに手を伸ばす、かがむなどの動作に欠かせません。体幹の強さを試すには、昔ながらの腕立て伏せやプランクなどの方法があります。
  • スクワットでは、股関節の柔軟性や脚の筋力を、ダンベルオーバーヘッドプレスでは、肩の筋力と可動域を、フォワードランジはバランスとコーディネーション機能を測ることができます。
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Dr. Mercolaより

体を動かさずにいると、バランスやコーディネーションが悪くなる、腕、股関節、脚の筋力が低下し柔軟性がなくなる、姿勢が悪くなる、体幹が弱くなることにつながり、やがては、つまずきやすい、転びやすい、動くのが不自由になる、健康が損なわれる、寿命が短くなる原因となります。

事故に遭ったり、昔は簡単にできた動作ができなくなって初めて、体力は段々と下降するものだと気がつく人がほとんどです。そして、時すでに遅し、無くした体力を取り戻すのは、不可能ではないにしろ、かなり難しいことです。

心配になった方のために、ご自分の現在の体力をチェックできる簡単な方法をご紹介しましょう。

以前に書いた記事でもご紹介しましたが、座るだけのテストで、ある程度寿命がわかります。床に座って立ち上がる動作を上手くこなせるかどうかで今後6年間で寿命を迎えるかどうかのリスクを判断できます。

モビリティと健康の度合い

こちらに紹介する簡単なテストは、モビリティ(可動性)と健康が密接に関わっているとする考え方に基づいています。これらの動作が難しい場合は、運動不足が進んでいるということです。
Greatistの記事では次の様に述べられています。

「ジムへは時々と言う人も、熱心に通っている人も同じようにできないといけない動作がいくつかあります。これらは基本的な動作なので、日常生活の中で気づかずに似たような動作をしているかもしれません。

例えば、日常に隠されている動作の中にスクワットがあります。落ちた物を拾ったり床からペットを抱き上げたりなどがそうですね。」

物を拾う時にしゃがんだり、階段を上ったりするのがきつくなったら、生活自体がしづらくなりますし、それがますます体を動かさなくなる原因となります。

これまでに書いた記事でも紹介しましたが、座っていること自体が慢性病や寿命を縮める原因となります。

腕立て伏せで上体と体幹の筋力をチェック

体幹や上体の筋力を維持すると、姿勢、バランス、安定性が保たれ、遠くに手を伸ばす、かがむなどの動作が無理なく安全にできます。

体幹の強さは、腕立て伏せやプランクといった昔ながらの2種類の運動で試すことができます。

Greatist の特集記事では、この記事でも紹介しているそれぞれの動作の早わかりサンプルとよくある間違いについて書かれています。

腕立て伏せの手順とできない場合のウィークポイント

まずは、基本の正しいフォームを解説します。

  1. 手のひらを床について、プランクの体勢(腕立て)になります。背中を平らに脚はまっすぐに伸ばしてつま先で体を支えます。体幹を使います。両手は胸の幅に広げ腕はしっかり伸ばしておきます。頭が下がらないように気をつて、背中と同じ直線上に保ちましょう。
  2. 腕をゆっくりと90度に曲げ、胸骨が優しく床にふれる位まで胸を下げて行きます。

    その位置で止まって3秒ほど体幹を引き締めたら体を押し上げます。肘をロックしないように腕を伸ばします。
  3. 肘の位置に気をつて下さい。体側からの角度は約45度になるようにします。胸の筋肉に効果的に働きかけ、伸ばしすぎによる怪我を防ぎます。
  4. 体を下げる時に鼻から息を吸い、上げる時に吐きます。口で呼吸しないで下さい。

腕立て伏せが正しいフォームでできない場合は、体力に応じて、弱い部位があると考えられます。

  • 肘を曲げて胸が床につく所まで体を下げることができないのであれば、腕、肩、胸の筋力が足りません。
  • 背中と脚をまっすぐに保てず、腰やお尻が下がってしまうのであれば、体幹や殿筋の筋力が足りません。

前腕をついたプランクで体幹をチェック

前腕をついたプランクは、体幹を床から引き上げて、体をつま先と肘で支えてまっすぐに保ちます。姿勢を取るのはわかりやすいのですが、保つとなると腹筋、背中、体幹にかなり負担がかかります。

体幹が強いと腰痛予防効果や失禁、頻尿予防にもなります。

体幹をしっかり鍛えるには、おへそに力を入れましょう。おへそは腹横筋についています。腹部の内側を覆う筋肉で、脊椎の周囲でベルトのように内臓を支えています。

おへそに力を入れれば、内部の腹横筋も引き締められるのです。背中と頭をまっすぐにしながら、30-60秒間そのままの姿勢を保ちます。姿勢を2分間維持できたら、素晴らしいスタートですね。

お尻が下がったり、逆に上がって逆Vの字になった場合は、体幹の筋力が足りません。プランクの姿勢を2分間維持できない場合は、体重が原因です。少しダイエットすると良いですね。

スクワットで股関節の柔軟性、バランス、脚の筋力をチェック

  • 脚を肩幅くらいに広げて立ちます。背中を楽にして、膝は前方にでて足の上ある状態です。
  • 膝、股関節、足首をゆっくりと曲げて、90度の位置まで下げていきます。股関節は膝の高さに、膝は足首の上に来るように注意して下さい。
  • 始めの位置に戻ります。
  • 下がりながら息を吸い、始めの位置に戻す時に息を吐きます。

正しいフォームでスクワットができない場合、どの部位が弱いのでしょうか。

  • 膝や足首をしっかり曲げることができないので股関節が後に下がることができず、つま先で体重を引き上げてしまいます。股関節の伸筋やハムストリングが固くなっています。股関節を柔軟にするトレーニングをしましょう。
  • 腰の上げ下げで膝が内向きになるなら、ハムストリングや殿筋の筋力が足りません。

ダンベルオーバーヘッドプレスで肩の筋力と可動域をチェック

立っておこなうダンベルオーバーヘッドプレスでは、肩の筋力と可動域をチェックできます。立位の場合、座位の場合よりも、様々な筋肉で活動量が大きいことが研究によってわかっています。座った状態と立った状態のダンベルオーバーヘッドプレスの比較結果をご紹介します。

  • 肩の前面の筋肉(三角筋前部)の活動量が8%高い
  • 肩の背面の筋肉(三角筋後部)の活動量が24%高い
  • 二頭筋の活動量が23%高い

ダンベルオーバーヘッドプレスは、足を肩幅に開いて立ち、自分に合った重さのダンベルを一つずつ持ちましょう。フォームが崩れるので重すぎるウェイトは使わないで下さい。最低8-12回できると丁度良い運動量です。

手のひらを内側に向けてウェイトを肩の高さで持ちます。これが開始位置です。

この動作では、開始と終点のポジションが大切です。頭の上に、しっかりと腕が伸びきる所までウェイトを上げます。反動をつけないようにしましょう。しっかりとコントロールが必要です。

  • 頭上にまっすぐ腕を伸ばすことができない場合は、肩甲骨の動きが悪く、背中の筋力が足りません。
  • ウェイトを上げる時に背中が反ってしまう場合は、体幹の筋力が足りません。そのせいで安定性がない、または股関節の屈筋が固く、股関節を膝のアライメントが整っていない可能性があります。

フォワードランジでバランスとコーディネーションをチェック

ステイショナリーランジ、ウォーキングランジで下半身の筋力を強化して、股関節のバランス、柔軟性、安定性を高めましょう。階段を上る時などの日常の動作にも非常に重要なエクササイズです。日常の動作の中に、簡単に運動になる動きを取り入れるのが私の好みです。ランジなどは、普段の運動の時だけでなく、部屋を移動する時などにもできますね。

立ち上がって移動するついでに一日に30回はできると思います。私は、オフィスからキッチンに移動する時にやっていますよ。唯一気をつることは、動きやすいズボンをはいておくこと位です。

ウォーキングランジとステイショナリーランジの違いは、前進していくか、開始位置にとどまっているかです。ここでのチェックにはどちらでもかまいません。ステイショナリーランジの場合で説明します

  • 脚を肩幅くらいに広げて立ちます。右足を大きく一歩踏み出します。前に出した足の踵は床につます。
  • 上体をまっすぐに保ってランジの位置まで体を下げます。後ろ側の膝(左足)は床につきます。膝が床についたら少しの間停止します。前に出した足の踵は床についています。両脚とも90度に曲がっている、前に出した膝が足の真上に来ているのが理想的なフォームです。
  • 1秒間停止したら、右足に力を入れて元の位置に戻します。反対側も同じように繰り返します。

足をしっかりと前に踏み出せない場合、筋力が足りません。

  • この場合、殿筋の筋力、または、股関節の屈筋やハムストリングの柔軟性が足りません。この部位を強化して柔軟性をアップさせると、もっと大きく前に踏み出して深く曲げることができるようになります。
  • 上体が前に倒れてしまう方がいます。少し前傾するのは良いのですが、倒れすぎる場合は、殿筋や体幹の筋力が足りません。殿筋やハムストリングにしっかり力を入れて前に傾きすぎない様にしましょう。

運動機能は健康と長寿の大切な要素

運動機能、バランス、柔軟性やコーディネーションを維持すると、歳をとってからの人生を活動的に過ごすことができます。生活の質が落ち、健康まで損なうと、体が動かしづらくなり、それがますます体を動かさなくなる原因となります。動かなくなれば、体はどんどん衰えます。こちらにご紹介した、5つのテストで体のどの部位の筋力が不足しているのか、必要な運動は何かをチェックしましょう。