Dr. Mercolaより
多くの人が痛み、腫れ、こわばりなどのある関節痛に悩まされています。程度も軽いものから、生活に支障が出る場合まで様々です。
最も多いのは膝の痛みですが、肩、指、股関節などの痛みも多く見られ、骨関節炎、怪我、反復動作や関節への圧迫、姿勢の悪さなど原因は様々です。
老化も原因の一つで、体内の軟組織の柔軟性が失われることで、皮膚のたるみやしわ、筋肉のこわばりや関節痛につながります。
老化現象は、運動不足で加速します。筋力低下、関節拘縮、可動域の制限がどんどん進んでいくのです。
これがさらなる痛み、可動域の制限につながって、ますます運動不足になります。
運動は関節に良くない、関節痛がある時は休んだ方が良い、という印象を持っている方も多いのではないでしょうか。実は、その反対なのです。関節の健康を維持する、関節痛や機能回復のためには、適度な運動が必要です。
運動すると関節痛に良くない、と言う考えは間違いで、 どこにもそんな証拠はありません。むしろ、関節の組織のためには運動をしたほうが良いのです。運動することで減量して適正体重を維持することができれば、骨関節炎による関節痛そのものや関節痛のリスクを軽減させることができます。
運動すると骨密度や関節機能も高まり、年齢による骨関節炎(関節痛の主な原因)の予防、軽減に役立つ。
Harvard Health Publicationsでは、次のように述べられています。
「動かないでいると筋力は低下し、関節のトラブルは倍増、姿勢が悪くなり、さらなる問題を引き起こします。鎮痛剤や温/冷湿布は即効性はありますが、効果は一時的なものです。
適度な運動は、足首、膝、股関節、肩の痛みに持続的な効果があります。関節痛を和らげる運動を定期的に行うことで、何年もかけて悪化してきた関節のトラブルに対する手術の時期を遅らせる、または手術自体が不要になるかもしれません。
一例を挙げると、痛みの他、関節のこわばりや変形が起こる慢性関節リウマチの患者に24週間のウェイトトレーニングに取り組んでもらった結果、 関節の機能は30% 、筋力については120%の向上が見られたという研究報告があります。
残念なことに、関節痛のある方の多くが、このような改善の可能性を知らずにいるのです。Northwestern University Feinberg School of Medicine(ノースウェスタン大学フェインバーグ医学部)の研究によると、骨関節炎の患者のうち 男性では40%、女性では56% が運動不足である(1週間のうち中-強程度の運動を10分間連続して行うことが一度もない)ことがわかりました。
肥満体の場合、平均体重の人と比べて関節炎の発症率は2倍以上になります。体重による関節への負担が大きくなる他、体内の炎症も起こりやすくなるためです。骨関節炎による関節の痛みだけでなく、様々な原因で痛みが悪化しやすくなります。
体重が問題となっている場合は、運動と合わせて 健康的な食生活も減量効果を高め、関節痛にはかなり改善効果があります。Harvard Health Publications では、次のように述べられています。
「体重を0.5 kg落とすごとに、足を一歩踏み出す時の膝への衝撃が和らぎます。ある研究では、肥満体の若い女性では、体重が5 kg減るごとに骨関節炎のリスクが50%減少することがわかりました。
上の年齢層の男性では、体重の区分が肥満から体重過多になった場合(BMIでは30以上が25-29.9に減った場合)、膝の骨関節炎の症例が1/5減少すると推測されています。上の年齢層の女性では、膝の骨関節炎の症例が1/3減少するとされています。
動くと痛みが悪化する場合は特に、いくつか注意する点があります。すでに不安定な状態の関節にさらに負担をかけないようにしましょう。動作による痛みは、骨関節炎の代表的な悩ましい症状です。軟骨の摩耗と関節液の減少により骨同士が接触することが典型的な原因です。
運動をした後、1時間以上痛みが続くならば、少し軽めの内容にするか、他の運動法を考えましょう。補助具を利用して痛みのある関節への負担を減らすのも良い方法です。理学療法士や有資格のパーソナル・トレーナーに相談して、どのような運動が安全か助言をもらうのも良いでしょう。
プログラムには、複数の動作法を盛り込む必要があります(私も色々な方にお勧めしています)。ウェイトトレーニング、高強度心血管系エクササイズ、ストレッチ、体幹のエクササイズなど全てをルーティンに加えてかまいません。
私の一番のお勧めのエクササイズは、 Peak Fitnessです。どんな方にも適しています。
しかし、膝に骨関節炎がある場合は、太ももの前面にある四頭筋を鍛えた方が良いでしょう。ランニングなどの衝撃の強い運動よりも水泳や自転車など、膝への負担の少ない運動が適しています。
骨関節炎の特徴の一つである膝の軟骨の摩耗は、ビタミンDの濃度との関係が指摘されています。骨関節炎の膝の痛みがある場合、体内ビタミンD濃度を測定してみましょう。ビタミンDの体内濃度は、日光を浴びたり、 日焼けマシーンを利用して調整することができます。どちらも難しい場合は、ビタミンD3のサプリメントをご検討ください。
さらに、日光を浴びると、コレステロール硫酸とビタミンD3硫酸塩の2種類の硫酸が合成されます。硫酸は、タンパク質と酵素の構造や活性において重要な役割を持っています。体内の硫酸の量が 不足すると、関節や結合組織への影響の他にも、様々な健康上のトラブルが発生します。
良質(オーガニックの)で牧草飼育の牛肉や鶏肉など、食事から硫酸をしっかり摂る他に、マサチューセッツ工科大学の上席研究員であるStephanie Seneff医師は、硫酸マグネシウム(エプソム塩)のお風呂に浸かって硫酸不足を補う方法を推奨しています。週2回、浴槽に1/4カップのエプソム塩をいれているそうです。関節のトラブル、関節炎のある方には特に有効です。
サプリメントでは、 MSMとして良く知られているメチルサルフォニルメタンもお勧めです。
MSMは、硫酸の有機体で、植物に多く見られる天然の抗酸化物質です。
関節痛の治療には、骨関節炎の患者に処方されることの多い、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)や、Tylenolなどの麻薬性鎮痛薬の使用はお勧めしません。
この種の薬剤の常用は、腎臓や肝臓への重篤な副作用に結びつくことがあります。
より安全で効果が高い方法をご紹介しましょう。
グルコサミン、コンドロイチン(サプリメントとして市販されている動物性成分)という言葉を耳にしたことがあると思います。これらは関節痛など骨関節炎の症状を和らげます。しかし、これらのサプリメントの評価は実験ごとに異なっています。多くの研究で、グルコサミンもコンドロイチンも有意義な緩和効果が見られないと結論づけています。
さらに、副作用はほとんど無いと考えられていますが、胃腸への刺激を感じる人もいます。コンドロイチンの分子は大きいので、消化不良を起こしてしまう人もいます。
摂取したグルコサミンのうち、体内で利用されるのはわずかな量です。錠剤やカプセルの場合、吸収率はわずか15-20%です。とはいえ、この記事で紹介した方法で、関節の動きがこれ以上失われるのを防ぎ、痛みを和らげる事ができるはずです。
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