Dr. Mercolaより
染色体の損傷はガンのマーカーとなり得ますが、直接の原因ではありません。これを示す信憑性の高い証拠も存在し、整形外科医のGary Fettke医師は、これらの証拠について論評を発表しています。
自身もガンを患ったFettke医師は、栄養素がガンに与える影響、高脂肪(良質なもの)、低炭水化物(炭水化物から繊維質を差し引いた量)の食事の重要性を実感するに至ったのです。Fettke医師の他にも多くの専門家がガンの代謝モデルの研究を進めています。
癌ゲノム・アトラス(The Cancer Genome Atlas)は、ガン細胞のゲノム配列の解析を目的に2006年に発足しました。当時では最大のプロジェクトであり、ヒトゲノム計画の1万倍に及ぶゲノム配列が分析されました。分析の結果は、当初の予測とは異なるものとなりました。
遺伝子の変異だけでは済まない何かがあることがわかったのです。ガン細胞には変異が見られるもの、そうでないものが散見されました。遺伝子の変異がないのにガン細胞化した細胞もありました。それでは、ガン化の原因は何なのでしょう。
かつては、細胞がガン化する原因は、核DNAの異常であると考えられていました。現在では、ミトコンドリアの損傷により核DNAに変異が発生し、ガンに発展すると考えられています。
さらに、科学者達はミトコンドリアの機能障害は事実上全ての病気の原因であり、ミトコンドリアの機能を改善することが健康や病気予防の要であると位置づけています。
Fettke医師は、ミトコンドリア内でのグルコースの代謝について考慮しています。この説を1920年代に世に伝えた最初の人物は、Otto Warburg医師です。
Warburg医師は、ガン細胞と健康な細胞ではエネルギー代謝に相違点があることを発見し、1931年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。結論から申しますと、ガン細胞は、代謝において健康な細胞のような代謝の柔軟性がありません。
細胞は、ミトコンドリアでは好気的代謝により、細胞質基質では嫌気的代謝によりエネルギーを産生しています。嫌気的代謝では、大量の乳酸が発生するため身体に有害です。
Warburg医師は、酸素がある状態でもガン細胞は大量に乳酸を発生させることを発見し、この現象はワールブルグ効果と呼ばれます。この現象について考えた場合、ガンの栄養源とは何でしょうか。Warburg医師から、糖はガンの栄養となり、脂肪はガンを飢えさせることがわかります。
健康な細胞はグルコース、または、脂肪が分解されてできたケトン体をエネルギー源としますが、ガン細胞が代謝できるのはグルコースのみです。ガン細胞は代謝の柔軟性に欠けており、ケトンを代謝できません。栄養的ケトーシスがガンに効果的であるのはこのためです。
ガンは、ミトコンドリアの代謝異常による病気であると定義する方が正しいのかもしれません。遺伝でガンを発症する例はほとんどありません。その逆で、ガンを防ぐ遺伝子を受け継いでいます。突然変異が遺伝した場合はミトコンドリアの機能に障害が現れるためガンを発症しやすくなります。
ですが心配はいりません。食事や運動など、ライフスタイルを適切に維持しミトコンドリアの機能を整えることが、ガンの新たな対処法となります。
フリーラジカルの発生を促進するものは何でしょう。まず、炎症が挙げられます。加工食品の多い現代の食事は炎症につながりやすいです。
多価不飽和脂肪酸(PUFA)、トランス脂肪酸、あらゆる種類の人工甘味料野中でも特に加工フルクトース(高フルクトース・コーンシロップ)、精製穀物などは良くありません。人工の食品、添加物も炎症の原因です。
炭水化物の正味摂取量を減らすことで、炎症を抑えガンの成長を阻害することができる4つの効果につながります。効果:
高脂肪、低炭水化物の食事(栄養的ケトーシス)の効果が高い理由は、炎症を鎮めて落ち着かせるためです。炎症がなくなれば、身体は治癒へ向かいます
ガン細胞の増殖にはエネルギー源としてグルコースが必要です。さらに細胞を作るためにタンパク質、脂肪酸、リン酸、アセテートが必要です。細胞を作る材料となる成分は血中から得ることはできません。そこでガン細胞は周辺の細胞を利用します。
ガン細胞が周囲の組織を浸食できる現象を逆ワールブルグ効果と呼びます。この現象は、酸素のフリーラジカルと水が作用し、過酸化水素水が発生することが元となっています。
転移するガンは、ワールブルグ効果と逆ワールブルグ効果によって起こるのです。このプロセスやガン細胞の形成と増殖に関する理解をさらに深めていただくには、ビデをご覧ください。Fettke医師も指摘していますが、こちらに紹介した内容を理解いただくと、次に示すような、新たなガン予防、治療の選択肢が考えられます。
まず対処が必要な点は、ミトコンドリアの代謝異常です。このためには、炭水化物(繊維を除く)の量を急激に減らし、良質な脂肪分を増やす必要があります。炭水化物を全て制限するということではありません。新鮮な、オーガニックの繊維分の多い野菜は必要です(炭水化物の正味量を少なく)。
野菜は一日に数百グラム摂ってもかまいません。食物繊維は短鎖脂肪酸に変わり、脂肪の燃焼を助け、マイクロバイオームの養分となります。
非繊維の炭水化物の、70-85%を健康に良い脂肪と置き換えることが可能です。さらに適量の良質なタンパク質も摂りましょう。過度のタンパク質はmTORに刺激を与えるためガンが成長する原因となります。食事は全てを解決します。これができなければ、他の治療の効果は出ません。
Fettke医師は、研究の結果、栄養的ケトーシス(脂肪分を多く、炭水化物の正味量を減らす食事)によって、化学療法などの従来のガン治療を受けている患者に病状の改善が見られたと述べています。 グルコースは、本質的に、 活性酸素を大量に発生させる「汚れた」エネルギー源であり、脂肪を燃焼した場合よりもフリーラジカルを多く発生させることも記憶にとどめていただきたい点です。脂肪を燃焼させるには、細胞が健康で正常な状態である必要があります。ガン細胞は脂肪を代謝することはできません。良質な脂肪分の多い食事がガンの対策として優れているのはこのためです。
エネルギー源がグルコースから脂肪に変われば、ガン細胞の生存は困難になります。ガン細胞のミトコンドリアには機能不全があり、酸素を代謝に利用できないためです。また、健康な細胞にとっては、酸化ダメージを抑え、ミトコンドリアの機能が高まる理想的なエネルギー源となります。総合すると、健康な細胞が増え、ガン細胞が飢えるという効果が得られるのです。
健康のためには、十分な量の炭水化物、脂肪、タンパク質が必要です。しかし、加工食品、工業型農業の出現により、これらの栄養素について注意が必要となりました。脂肪分には、健康に良いものと悪いものがあります。炭水化物、タンパク質についても同様です。食品の効能やリスクは、生育/飼育、加工方法によって決定します。
栄養的ケトーシスを成功させるためには、炭水化物の正味量、タンパク質の総摂取量の記録を取ることが重要です。炭水化物の正味量は、炭水化物のグラム総数から食物繊維の量を引いて求めます。その数字が炭水化物の正味量となります。健康、病気予防に最も良い効果を得るには、炭水化物の正味量を一日40-50 gに制限することをお勧めします。
タンパク質を多く含む食品には、肉、魚、卵、乳製品、豆、ナッツ類、種子類があります。タンパク質は、ブロッコリなどの野菜にも含まれています。タンパク質を摂りすぎているかどうかは除脂肪体重(100-体脂肪率をもとに計算)から必要な量を計算して確認しましょう。そして食べたものの記録を、数日間続けて取ってみてください。
そして、食品からどれだけの量のタンパク質を摂っているか計算します。除脂肪体重1 kgに対してタンパク質1 gが適量です。最適とされる値を大幅に超えるようであれば、それに応じて減量していけばいいのです。食品に含まれるタンパク質の量を知りたい場合は、下の表をご覧いただくか、Google検索で調べましょう。
脂肪について重要な点は、健康に良いものと悪いものを見分けることです。皆さんが口にする脂肪の多くは、非常に良くない脂肪分です。加工、瓶入りの植物油は避けましょう。劣化したオメガ-6脂肪酸が多く含まれています。(オリーブオイルにも注意が必要です。健康に良い油ですが、市販の製品の80%が酸化したオメガ-6脂肪酸を含む植物油との混合です。純オリーブオイルであることを示す第3者機関の保証のあるものを選びましょう。) 脂肪についての確認事項がもう一点あります。天然の飽和脂肪酸を避けないでください。健康に良い脂肪分です。食生活に取り入れていただきたい脂肪分をご紹介します。
Fettke医師は、ガン治療における栄養的ケトーシスの利点を紹介して講演を締めくくっています。
ガン治療以外の栄養的ケトーシスの効能について、Peter Attia医師の実験をご紹介しましょう。健康マーカーと食事の関係を端的に表わしている実験例です。スタンフォード大学で学を修め、代謝科学が専門のAttia医師は、自らが験台となり、驚きの結果を得ました。
活動的で、運動を良くする方でしたが、遺伝にはかないません。食事や運動に気を遣っていても、メタボリックシンドロームになりやすい体質でした。そこで、体質改善を目指して栄養的ケトーシスを試したのです。
10年に渡り、カロリーの80%を良質な脂肪分とし、血糖値、体脂肪率、血圧、血中脂質などの代謝マーカーの記録を取りました。
どの数値も、下の表のとおり改善されました。MRI検査では、皮下脂肪だけでなく、健康に有害な内臓脂肪も減っていることがわかりました。この実験では、割と健康な人でも、食事で体質を変えることが可能であることを示しています。あまり運動をせず、健康とは言えない状態からのスタートであれば、さらに効果は大きいことでしょう。
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