Dr. Mercolaより
誰でも、健康で長生きすることを望みます。健康で長生きすることを望むなら、常にインスリン抵抗性に気を付けてください。生活に支障を来し、やがては命に関わる様な病気のリスクを増加させないために、最も有効なマーカーです。
インスリン抵抗性は、全ての慢性病の元です。慢性の炎症を進行させ、老化の進行を早めます。
このことは、長寿をテーマにした最新の研究でも確認されています。体内の炎症が少ないことが100歳以上に達するかどうかの判断基準となりえると結論づけられています。 炎症の程度により、独立した生活を営み、生涯にわたって認知機能が維持できるかどうかが左右されます。
慢性の炎症は、免疫機能の不全や過剰反応、または、何らかの隠れた問題に身体が抵抗することによっても起こります。
隠れた「問題」というのは、偏った食事(炎症につながる)や運動不足によるものです。
急性の炎症とは異なり、慢性の炎症は多くの場合はっきりとした症状がないまま進行し、炎症部位の機能が失われるまでに達してしまいます。これは、慢性の炎症というのは、軽度ですが全身性の場合が多く、じわじわと長期にわたって組織を蝕んでいくためです。
気がつかないまま 数年が過ぎ、 突然病状が表出するのです。慢性の炎症は、このように「沈黙」のまま進むのですが、確認方法はどんなものがあるのでしょうか? 対症療法における臨床検査には次のようなものがあります。
空腹時血糖値 でも炎症の程度を確認することが可能です。この検査は通常は 糖尿病の検査なのですが、炎症のマーカーとしても利用できます。
空腹時血糖値が高いほど、炎症の程度も重い傾向にあります。臨床的には、炎症を調べるのに最も有効な検査だと考えます。
加工食品を控えましょう。糖分や、トランス脂肪酸、植物油などの加工油脂は、先述のビデオでも話題になっているとおり、炎症の原因となる原料が多く含まれています。食事の改善と定期的に運動することを合わせた2つの対策が、インスリン濃度を正常に保ち、インスリン抵抗性ができない様にするための最も有効な方法です。
健康的なライフスタイルについて考えた場合、食生活による改善が約8割を占めます。また、炎症が進行していないか確認を怠らないことも重要です。食事が炎症のきっかけにも予防 にもなることをしっかり認識しましょう。
食事ついて何も対策をしていない場合は、慢性の炎症の症状があっても無くてもすぐ対策を始めましょう。
「体を動かす」と聞くと、週に数回のジム通いなど、きちんとしたエクササイズを連想しませんか?それももちろん健康的なライフスタイルですが、ジム 以外 の身体活動も重要なのです。
平均的な成人は、一日10時間を座って過ごします。これだけ動かずに過ごしてしまうと、仕事が終わった後に60分運動しても取り返しがつかないことが研究の結果わかっています。私の個人的な経験からもこのことは確認できています。10時間じっとしたままでいた結果を1時間の運動で帳消しにすることはできません。
一日をとおして、継続的に体を動かす必要があるのです。最低でも、50分ほどに1回は椅子から立つ必要があります。 短時間座っては立ち上がりを繰り返すのは自然なことですが、一日中、座ったままで長時間過ごすと、健康への影響は深刻で、寿命を縮めることにもつながります。ちなみに私は、座ったら10分おきに立ち上がるということを試しましたが大失敗でした。なんとか成功したのは、一日に座っている時間を1時間内に収める試みです。
座ったまま過ごす と、 それだけでインスリン抵抗性ができてしまったり、寿命を縮めるリスク要因となります。食事に気を遣っても、定期的に運動して体力があっても(プロスポーツ選手やオリンピック出場選手であろうが)関係ありません。一日に8時間以上座ったままでいると、2型糖尿病のリスクが90%増加することが研究の結果わかっています。
ですから、健康や長生きのためにまずできることとして、なるべく座って過ごさない、できれば3時間以内にすることをお勧めします。オフィスワークには、スタンディングデスクを使うと良いですね。
または、なるべく多く歩くのも良い方法です。一日に7,000歩から10,000歩くらいがお勧めです。歩数計などを使って、目標を達成できているか確認しましょう。さらに、きちんとしたエクササイズもできるといいですね。どんなエクササイズでも何もしないよりはましなのですが、高強度トレーニングが最も有効です。
高強度インターバルトレーニング (HIIT)は、最も効果的に効率良く運動の効果を最大限に得られるエクササイズです。緩やかで軽めの他の運動より高い抗炎症作用が得られます。
高強度インターバルトレーニングの効果に関する最新の研究では、筋肉で産生される細胞内のシグナル伝達タンパク質であり、メタボリックシンドロームの予防効果があるマイオカインについて調査されています。
高強度インターバルトレーニングは、筋肉に効果的に刺激を与え、抗炎症作用のあるマイオカインを産生します。その結果、筋肉内でのインスリンへの感受性やグルコースの燃焼が増えるのです。また、脂肪細胞から脂肪が放出され、筋肉内で脂肪が燃焼しやすくなります。 マイオカインは、化学伝達物質として体脂肪から産生される炎症性のサイトカインの発生を阻害します。
ここで大切なことは、食事の質がこのような健康によい作用を台無しにしてしまうということです。糖分/フルクトース、精製穀物、トランス脂肪酸、加工食品全般などの炎症性の食品を食べると、炎症性のサイトカインが生成されます。
残念ですが、食生活の乱れが原因となって起こった問題は、単純に運動をすれば解決できるわけではありません。どれだけ運動しても、食生活の乱れから発生したサイトカインが原因の炎症をとどめきれる量のマイオカインを生成することはできません。
高強度トレーニングについて良く質問されるのが、エクササイズバイクやエリプティカル・マシンのような高強度の心血管系エクササイズと、ウェイトを利用した高強度トレーニングの差についてです。どちらの場合も、心血管系エクササイズ、筋肉増強、アンチエイジング効果のある 人成長ホルモン (HGH、フィットネスホルモンとも呼ばれる)の生成など、高強度トレーニングならではの効果を得られます。
しかし、高強度筋力トレーニングでは、筋肉疲労が急速に深層に達するという利点があります。これがきっかけとなり、収縮性のある組織が合成され、抗炎症効果のあるマイオカインをはじめ、関連する代謝成分が生成されます。ということは、慢性炎症の対策としては、高強度ウェイトトレーニングが他の高強度トレーニングよりも効果が高いということです。
運動が炎症を和らげるという事実は、運動が炎症を起こすという事実に反しており、紛らわしいですね。この一見矛盾した状況に対して、Mark Sisson氏は、「状況によっては、運動による炎症の発生は良し悪しである。」とブログで述べています。
重要な相違点は、運動をする度に急性の炎症が起こり、定期的に長期間続けると、全身の慢性的な炎症を和らげる効果があるのです。運動による酸化ストレスで、体内に抗酸化物質が蓄積されるようになります。このことは、長期間運動を続けると、C反応性タンパク質などの炎症マーカーが減少するという研究結果によって明らかです。
急性の炎症も慢性になりえるので、運動による急性の炎症が慢性化しないような運動の仕方で釣り合いを取ることが必要です。このような理由で、高強度トレーニングにおいては特に、運動からの回復期間が重要であることを私は訴えてきたのです。トレーニングのしすぎは、むしろ体に害になります。運動で生じた損傷(炎症)から回復するための時間が必要です。
多くの食品が炎症を促進させる場合も和らげる場合もあるため、食生活は炎症の程度に大きな影響を及ぼします。ある微量栄養素(葉酸、ビタミンB12、ビタミンB6、ビタミンE、亜鉛など)が不足しても過剰であっても、炎症反応が機能しなかったり過剰になったりするという研究結果が報告されています。 抗炎症効果の高い食生活を簡単に確保するためには、リアルフードを摂るようにしてください。きちんとした食生活のために博士号は必要ありません。加工植物油脂や糖分を控えることが特に重要です。個人的には、糖分より油脂のほうが有害だと考えています。健康のためには、未加工の良質な油分を定期的に摂る必要があります。
加工食品を控え、ホールフード、未加工の食品、理想的にはオーガニックの食品を摂ると、自動的に、次に紹介する炎症の原因を減らすことができます。
抹茶は、緑茶の中で最も栄養価が高く、石で挽かれた粉状で無発酵のお茶です。最も品質の良い抹茶は日本製で天然のブルーベリーの最大17倍、ダークチョコレートの7倍の抗酸化物質を含んでいます。
トゥルシーもまた、抗炎症効果の高い抗酸化物質、その他の微量栄養素を多く含むお茶で、免疫機能や心臓の健康をサポートしています。
免疫機能を正常に保つには、腸内フローラを整えることが重要です。これにより、慢性的な炎症を予防することができます。事実、炎症による病気のほとんどが、腸内のマイクロバイオームの乱れが原因です。 ケフィア、納豆、キムチ、味噌、テンペ、ピクルス、ザワークラウト、オリーブなどの発酵食品やその他の発酵野菜を食べると、腸内に善玉菌を供給し続けることができます。
しいたけには、酸化ストレスを防ぐエルゴチオネインをはじめとする、強力な抗炎症機能を持つ天然成分が含まれています。また、日常の食生活では摂取しづらい独特な栄養素も多く含んでいます。
銅がそうです。アミノ酸や脂肪酸と共に効果を発揮する数少ない金属で人体の健康に必須の元素です。銅を体内で合成することはできないため、定期的に食事で補う必要があります。銅の不足は心血管系の病気の原因となります。
にんにくは、その医薬効果が世紀を超えて重宝されてきました。数多くの研究がなされている食用となる植物でもあります。170以上の研究で、150ものさまざまな症状に効果があることが示されています。にんにくには、抗菌、抗ウィルス、抗真菌、抗酸化作用などの多様な効果があります。
にんにくの 医薬品的効能は、アリシンなどの硫黄を含む成分によるものです。ある研究では、アリシンが体内で消化される時に、危険なフリーラジカルにいち早く反応を示すスルフェン酸が発生することが明らかになりました。
このウェブサイトの閲覧を続けとクッキーの使用、改訂個人情報保護方針、サービスの提供条件に同意したものとみなされます。
同意する