大腸ガンにならないために

大腸ガン

早分かり -

  • 結腸直腸ガンの症例の50%が日々の食生活で予防できる。身体をしっかり動かし、適正体重を維持すると良い。
  • 体内ビタミンD濃度を適正に保ち、野菜、ニンニク、食物繊維が豊富な食生活も大腸ガンのリスク低減に役立つ。
  • 食肉加工品を控えることも大腸ガンのリスクを低減するために重要である。
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Dr. Mercolaより

大腸ガンに関する様々なニュースが飛び交っています。2015年後半、世界保健機関(WHO)に属する国際がん研究機関(IARC)が、食肉加工品はヒトにおいて結腸直腸ガンの原因となる可能性があるとし、発ガン性リスク一覧のグループ1に分類すると発表したためです。

大腸、直腸のガンである結腸直腸ガンは、ガンの発生部位の第3位に入っています(皮膚ガンを除く)。2016年には、大腸ガンで95,000例(直腸ガンで39,000例)が罹患するであろうと予測されています。

大腸は、健康にとって大きな役割を担う臓器です。食べたものが大腸を通過する際に、水分と塩分が取り除かれ、排泄に備えます。

食べたものが便として排泄されるまでの通路となるだけではなく、大腸には健康のバランスを維持するのに欠かせない腸内菌が生息しています。

大腸ガンの多くの症例が予防できる

結腸直腸ガンはアメリカでのガンによる死因の第2位なのですが、他のガンと同様、予防することができます。

Pharmaceutical Research誌に掲載された研究によると、ガンの症例のうち遺伝によるものは5-10%のみで、その他は環境要因や生活習慣によるものであることが示唆されています。

また、ガンによる死亡例の35%が食生活、30%が喫煙、20%が感染症、その他が、放射線への暴露、ストレス、身体活動の強度、環境汚染などの環境要因によるものであることが推定されています。

米国がん研究機構(AICR)は、アメリカでのガンの症例の1/3は、食生活の改善、適度の運動、体重管理で予防可能であると発表しています。

結腸直腸ガンの場合、50%がこのような生活習慣の改善によって予防できるとされています。

大腸ガンを防ぐには

  1. 野菜や果物を食べる

    野菜には、様々な抗酸化物質や病気への抵抗力が増す成分が含まれます。マグネシウムなどは特に他の食品から摂取することが難しい成分です。
    あるメタアナリシスによると、 マグネシウムの摂取量が100 mg上昇する毎に、結腸直腸腫瘍のリスクが13%低減され、さらに結腸直腸ガンのリスクも12%低減されることがわかりました。

    研究者グループは、マグネシウムによる抗ガン作用は、インスリン抵抗性を抑制する効能と密接に関連性があり、腫瘍の増殖を抑えているのではないかと指摘しました。
    マグネシウムの他にも、植物化学物質(ファイトケミカル)にも、炎症を抑え、発ガン性物質を排除する作用があり、細胞の再生速度を制御して古い細胞を排除し、DNAを維持する働きを持つその他の化学物質があります。
    野菜は、食物繊維の供給源としても優れています。野菜を多く食べている人ではガンの発症率が低いとする数多くの研究報告がなされています。

    健康に問題が無ければ、適度に果物を摂ることも良い効果をもたらします。ある研究によると、乾燥プラム(プルーンなど)を摂ると、腸内菌が増えて大腸ガンのリスクが低減すると報告されています。
  2. 食物繊維を摂る

    食物繊維には結腸直腸ガン(特に、偶発結腸直腸腺腫、遠位大腸ガン)のリスクを低減させるとされています。さらに、食事に含まれる食物繊維が10g増えると大腸ガンのリスクが10%低減するとされています。

    前述の対策と合わせて、野菜を多く食事に取り入れることで、食物繊維の摂取量を自然に増やすことができます。また、野菜から食物繊維を摂るのが最も健康に良い方法です。オオバコ種子の外皮、フラックスシード、アサの実、チアシードなどは水溶性食物繊維、不溶性食物繊維を豊富に含んでいます。
  3. ビタミンDの体内濃度を適切に保つ

    ビタミンDが不足すると結腸直腸ガンのリスクが増加します。Gut誌に掲載された研究によると、ビタミンDの血中濃度が高いと結腸直腸の腫瘍の発症が減少すると発表しています。

    ビタミンDにより免疫系が強化されることで、           癌性腫瘍の成長が抑えられるためと考えられます。

    定期的に日光を浴びる、高品質の日焼けマシンの使用、ビタミンD3のサプリメントなどで血中ビタミンD濃度を推奨値の50-70 ng/mlに保つことができます。適正値であるように常にチェックする必要があります。
  4. 食肉加工品を食べない

    食肉加工品とは、燻製、塩漬、その他の保存料で加工保存された肉類のことです。

    ベーコン、ハム、パストラミ、サラミ、ペパロニ、ホットドッグ、ソーセージ類、ハンバーガー(塩や化学薬品で保存されている場合)などが該当します。ここで問題となるのは硝酸塩です。硝酸塩は保存料、着色料、香料として肉の加工に使われます。

    肉の加工に使われる硝酸塩は、発ガン性物質であるニトロソアミンに変化します。米国がん研究機構(AICR)は、食肉加工品の安全な摂取量の閾値は無いと警告しています。
  5. 赤身肉の食べ方について理解すること

    赤身肉を良く食べる人(ある研究では一日5オンス)は、あまり食べない人に比べて結腸直腸ガンのリスクが24%高いという研究報告がなされています。

    赤身の肉はそれ自体に問題は無いのですが、調理法、生産方法によって問題が発生します。例を挙げると、牧草を食べて育った食肉には、ガンに抵抗性を示す成分が含まれています。

    反対に、ラウンドアップ(除草剤)の有効成分であるグリフォセートという成分は、腸内菌を死滅させ、さらには、発ガン性があることで知られています。集中家畜飼養施設(CAFO)で飼育された動物の食肉はグリフォセートで汚染されています。

    赤身の肉は高温で調理(ステーキ、バーベキュー、炒め物など)されると発ガン性のある副産物(ヘテロサイクリックアミン(HCA) や多環芳香族炭化水素(PAH)など)が発生することがあります。

    肉については特に、オーガニックの牧草で育った食肉に限定し、軽めの調理(レアが良い、ウェルダンは避ける)をお勧めします。
  6. 運動

    定期的な運動は大腸ガンのリスクを大きく低減させます。ある研究によると、良く運動をする人では、あまり運動をしない人に比べて、大腸ガンのリスクが30-40%低いことがわかりました。

    運動は、インスリンの濃度を抑える効果があります。インスリン濃度を一定に保つことは、ガンのリスクを低くする効果の高い方法の一つです。運動は、ガン細胞を細胞死に導くこともわかっています。

    運動により、血中での免疫細胞の循環が促されます。免疫細胞は、体内の病原体を中和し、前ガン細胞がガン化する前に死滅させます。免疫細胞の循環がスムーズであるほど、免疫効果が高まり、感染やガンをはじめとする病気から身体を守ります。
  7. 適正体重を維持し腹部の脂肪をコントロールする

    多くの研究で、肥満が様々なガンの原因であることが示されています。大腸ガンもその一つです。16歳以上の被験者500万人以上のデータを分析した2014年の研究では、体重が5 kg増加すると10種類のガンのリスクが増加することがわかりました。

    体重超過気味、肥満の場合、 体重を少し減らしただけでも健康に大きな変化があるとされています。ガンの予防という観点では、お腹の周りの脂肪を減らすことが特に重要です。腹部に脂肪が多いと、体重に関係なく大腸ガンのリスクが増加します。
  8. アルコールを控え、禁煙する

    過度の飲酒喫煙は、結腸直腸ガンのリスクを増加させます。一日のアルコールの適量は、ワインなら150 ml、ビールなら350 ml、強いお酒なら30 mlです。食事と一緒にいただくのが良いでしょう。
  9. ニンニクを食べる

    実験室の研究では、ニンニクにはガン細胞を死滅させる効果があることがわかっています。食事で摂取すると効果が高いとされています。ある研究では、日常的にニンニクを(野菜や果物と合わせて)食べていた女性では大腸ガンのリスクが35%低減したことがわかりました。

    生のニンニクを食べる習慣がある人も、胃ガン、結腸直腸ガンのリスクが低いことがわかっています。さらに、手術不能な結腸直腸ガン、肝臓ガン、膵臓ガンの患者において、熟成ニンニクのエキスを半年間摂取すると免疫機能が改善しました。ストレスや病気の際に、免疫系の機能を促進する効果が期待できます。

    生のニンニクと生のクローブを食事に加えるときは、アリシン生成の触媒となるアリイナーゼという酵素の放出を刺激するためにつぶして使いましょう。

    アリシンは様々な有機硫黄成分に分解されます。ニンニクの薬効を活性化させるには、食べる前にスプーンでつぶしたり、みじん切りにしてサラダに加えたり、ミキサーで作る野菜ジュースに入れたりして使ってください。

50歳から定期的に大腸内視鏡検査を受けた方が良い?

50歳を超えたら、性別や結腸直腸ガンのリスクの有無に関係なく、5年おきの軟性S状結腸鏡検査か、10年おきの大腸内視鏡検査を受けることが推奨されています。ところで、このような検査は、安全、そして必要なのでしょうか?私は、60歳を超えていますが大腸内視鏡検査を受けたことはありませんし、その予定もありません。

診断のツールとしては優れていると考えますが、私の食生活(生ウコンを毎日摂取)やライフスタイルを考えれば、大腸ガンのリスクは非常に低いものです。

リスクが高い方は、大腸内視鏡検査は有効な検査かもしれません。大腸ガンの進行はとてもゆっくりです。ガンによる死因の上位に入っています。早期発見が大切です。年に一度のグアイアック検査を検討しましょう。便の潜血を検査します。検査結果が正しくない場合があり、信憑性が低いとする研究もあります。

5年おきの軟性S状結腸鏡検査も選択肢の一つです。大腸内視鏡検査に似ていますがスコープが短く、サイズが小さいので、検査できる大腸の範囲が限られています。合併症が少ないのが利点です。超音波(エコー)検査も評価の高い検査法です。大腸ガンは、目視の検査が最も正確です。この点では、大腸内視鏡検査が最も優れています。

初期のポリープであれば、その場で切除が可能です。大腸内視鏡検査は検査としても、外科手術にも用いられる方法です。ポリープを目視で発見し、組織を採取、生検を行います。命を救う発見となる可能性がありますので検討してみる価値はあります。ですが、1/350の確立で大腸内視鏡検査による重篤な偶発症が発生します。検査による死亡率は1/1000です。

さらに、内視鏡の消毒剤の80%がCidex(グルタルアルデヒド)です。殺菌力が完全ではなく、医療機器を介した感染症の可能性があります。内視鏡の消毒に使用する薬剤を確認することも重要です。医療機器を介した感染を防ぐためには、過酢酸で消毒されていることを確認してください。

ガンを防ぐための簡単な15の方法

糖分の多い飲み物や炭酸飲料をはじめ、糖分を摂らないようにする。 座りっぱなしを避け、一日に1万歩を目標にする。 緑茶を飲み、ガンに効果のあるカテキン(ポリフェノール)である、没食子酸エピガロカテキン(EGCG)を摂取する。
蒸したブロッコリーを食べる(蒸すと、ゆでる、炒める、電子レンジ調理などの方法に比べてガンを抑制するグルコシノレートを多く摂取できる)。 ブラジルナッツを食べる。前立腺ガン、結腸直腸ガン、肺ガンのリスクを低減させるセレニウムを豊富に含んでいる。

アーティチョークを食べる。皮膚ガンのリスクを低減させるシリマリンという抗酸化物質を含んでいる。
定期的に日光を浴びる。ビタミンDの血中濃度を調整する。 肉類は、スパイス、ビール、ワインなどでマリネにすると調理の際に発ガン性物質が産生されにくい。 難消化性でんぷんを摂る(グリーンバナナなど)。食物繊維のような効果がある。

赤身の肉が多い食事による大腸ガンのリスクを低減させる可能性がある。
オメガ-3脂肪酸とオメガ-6脂肪酸のバランスを整える。良質なクリルオイルを摂り、コーン油、大豆油キャノーラ油などの加工植物油は控えること。 眠るときは部屋を真っ暗にすること。光があると抗ガン作用のあるメラトニンの生成が抑制されてしまう。 玉ネギを食べる。ガンに対する抵抗力を付けるケルセチンを多く含む。ケルセチンは、乳房、大腸、前立腺、卵巣、子宮体の腫瘍がガン細胞に成長するのを阻害する働きがある。
発ガン性のあるドライクリーニング剤のperc(パークロロエチレン)のような環境毒素を避けること。 フライドポテト、ポテトチップスなど、発ガン性のあるアクリルアミド(高温調理で発生する成分)を含む食品を避ける。 発酵野菜を食べる。腸の健康を促し、ザワークラウトなどの製造工程では、ガンに対する抵抗性を示すイソチオシアン酸、    インドール、スルホラファンなどの成分が産生される。