自食作用 とは—身体の自己デトックスと修復

自食作用

早分かり -

  • 自食作用という生物学的過程は身体にとって重要な、デトックス、修復、再生の機能である。
  • 自食作用を活性化させると炎症を鎮め、老化を遅くし、生体機能を整えることができる。
  • 自色作用を活性化するには、3つの方法がある。高脂肪、低炭水化物の食事、インターミッテントファスティング、定期的な運動、特に高強度トレーニングである。
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Dr. Mercolaより

身体にたまった毒素を排出する方法といえば、食事、薬品、天然のデトックス成分、 サウナなど様々ですが、自食作用という生物学的過程も重要な役割を持っています。

自食作用とは「autophagy(自己を食す)」という意味の言葉で、身体が、毒素などの老廃物を掃除し、損傷を受けた細胞の組織をリサイクルする過程を差します。

Greatistでは、次の様に説明されています。

「細胞が、死んだり、病気にかかったり、古い細胞の残骸を探知する膜を作ります。その膜が、不要な残骸を食し、分解された分子をエネルギー源や新しい細胞へと再生させます。」

ピッツバーグ大学メディカルセンターの委員会認定の放射線腫瘍学者であるColin Champ助教授は次の様に説明しています。

「人体内で行われるリサイクルの仕組みと考えて下さい。自食作用は、欠陥のある細胞、ガンの増殖、肥満、糖尿病などの代謝不全を効率良く回避する機能を人体にもたらします。

自食作用を活性化させることで、炎症を鎮め、老化を遅くし、生体機能を整えることができます。

運動で自食作用を高める

運動の効果と同様、自食作用はストレスに反応して起こります。 ですので、運動は自食作用を高める方法の一つです。ご存知のとおり、運動すると、筋肉の組織に軽い損傷を与え、身体が損傷を修復することで身体が鍛えられていきます。

運動は、汗と一緒に毒素を流し出すため、デトックスプログラムの効果を高めます。そのため、効果的にデトックスするためには運動は欠かせないと考えられています。

湾岸戦争帰還者のデトックスに関する臨床試験に参加したGeorge Yu医師は、運動、サウナ、ナイアシンの補充を組み合わせることでデトックス効果を最大限にすることができると勧めています。

血管が拡張して、血流が増加するので、運動はデトックスにとって重要な要素です。

自食作用を最大限にするにはどの程度の運動が必要?

自食作用を刺激するのに必要な運動量は具体的にはわかっていませんが、穏やかな運動より、強度のある運動の方が効果が高いとされており、これは理にかなった結論です。

とはいえ、寿命を延ばすために最適な運動量は、中程度の運動を週に150-450分で、早期死亡率を31-39%低下させるという研究報告があります。

運動の30%を高強度運動にあてると、中程度の運動だけを続けた場合と比較して寿命はさらに13%延びるということもわかっています。

これらの指標に従うと、自食作用の効果も最大限に高めることができます。

自食作用を素早く止める方法

自食作用を止める最速の方法は、タンパク質を大量に摂ることです。タンパク質を摂ると、自食作用を阻害するIGF-1、mTORを刺激します。

一日のタンパク質の摂取量を40-70g程度(除脂肪体重によって調整すること)に制限した方が良いのはこのためです。タンパク質の量は、除脂肪体重1 kgにタンパク質1 g(除脂肪体重1 ポンドにタンパク質0.5 g)の計算です。

タンパク質を多く含む食品には、肉、魚、卵、乳製品、豆、ナッツ類、種子類があります。タンパク質は、ブロッコリなどの野菜にも含まれています。タンパク質40 gが含まれる食品は、それほど量は多くありません。鶏胸肉だと170 g程度になります。

タンパク質を摂りすぎているかどうかは除脂肪体重から必要な量を計算して確認しましょう。そして、数日間続けて食べたものの記録を取ってみて下さい。食品からどれだけの量のタンパク質を摂っているか計算します。

最適とされる値を大幅に超えるようであれば、それに応じて減量していけばいいのです。下の表で、食品に含まれるタンパク質の量を確認しましょう。

赤身肉、豚肉、鶏肉、魚介類:1オンス(28 g)に対し6-9 g

理想的な肉類の摂取量は3オンス(85 g)程度(9オンスや12オンスのステーキはダメです)、タンパク質18-27 gを含む。
卵1個:6-8 gオムレツに卵を2個使用するとタンパク質12-16 gを含んでいます。チーズを加える場合は、それも計算に含めます(チーズの成分表示を確認すること)。
種子類やナッツ類:1/4カップあたり4-8 g 調理した豆類:1/2カップあたり平均7-8 g
調理した穀類:1カップあたり5-7 g 野菜類:1オンス(28 g)あたり1-2 g

ミトコンドリア生合成の重要性

ミトコンドリアが健康であることは身体の健康と病気予防に欠かせません。ミトコンドリアの損傷により、遺伝子が変異し、ガンにつながることがあります。ミトコンドリアを健康に維持することがガン予防の鍵なのです。自食作用は損傷を受けたミトコンドリアを排除するための方法であり、生合成は、健康なミトコンドリアが新しく合成される過程のことです。

興味深いことに、運動により、自食作用もミトコンドリアの生合成も刺激されます。運動により、AMPキナーゼ(AMPK)が活性化し、PGC-1αを誘導します。

ミトコンドリア(全ての細胞に含まれる小器官でATPを合成する)が刺激されると、ミトコンドリアは、シグナル分子として機能する活性酸素種(ROS)を作り始めます。そのシグナルの一つが、ミトコンドリアの合成を伝えるシグナルです。

つまり、病気予防(ガン、心臓病、 糖尿病、その他の病気のリスクを低減)や老化を防ぐためには、ミトコンドリアの機能を高めること、数を増やすことが重要となります。ありがたいことに、運動がどちらにも役に立ちます。

自食作用を高めるもう一つの方法―インターミッテントファスティング

断食も、自食作用をはじめ様々な効果をもたらす生物学的ストレス要因です。ガン、糖尿病、心臓病のリスク低減などの断食で得られる効果は、自食作用が関わっています。

インターミッテントファスティングのスケジュールには様々なものがありますが、インスリン抵抗性がある場合の私のお勧めは、毎日 の断食です。食事を約8時間に収めるように設定します。例えば、食べてもいい時間を午前11時から午後7時までに制限するということです。一日に何も食べない時間が16時間ある計算です。

以前は朝食を抜くことをお勧めしていましたが、どの食事を抜いてもさほど差はないことに気がつきました。朝食でも夕食でも、食事を一度抜いて下さい。朝食を抜くのが大変に感じる人もいますので、色々試してご自分に合った方法を見つけましょう。

食事の時間を朝8時から午後4時に収めた方が楽な場合もあります。この時間帯は、就寝前に何も食べない時間ができるという利点があります。眠る前の3時間は何も食べないことをお勧めします。消費されないのにエネルギーを作る必要はありませんから。

必要ない時にミトコンドリアが栄養を得ると、活性酸素種をフリーラジカルに変化させる電子を放出します。

フリーラジカルは、ミトコンドリアの機能を低下させ、その結果、核DNAを破壊します。ミトコンドリアだけに損傷を与えるガン細胞の存在も指摘されていますので、寝る前に食べることは避けましょう。私個人は、寝る前6時間は何も食べないように気を付けています。少なくとも寝る前3時間は厳守したいですね。

自食作用を高める—高脂肪、低炭水化物の食事

自食作用を高める3つめの方法はケトン体生成 です。繊維質の少ない炭水化物を控え、健康に良い脂肪分を多く、タンパク質をほどほど に摂るようにします。Champは次の様に発表しています。

「ケトン体生成は自食作用の早道です。断食しなくても、断食と同じ代謝の変化が得られます。摂取カロリーの60-70%は脂肪から摂る必要があります。タンパク質が20-30%、炭水化物は一日50 g以下に抑えましょう。炭水化物の量が一日の摂取カロリーの30%未満の人でも同様の効果が見られました。

加工植物油などの有害な脂肪は、健康を害する結果になります。加工植物油は、加工されているだけでなく、オメ%