究極の上体と背筋のワークアウト


上体のワークアウト

早分かり -

  • 上体や背中の筋肉、特に肩甲骨の間の筋肉は、姿勢を正しく保ち、背中や腰の痛みを軽減するために重要である。
  • コンパウンド種目は実生活での筋肉の活動を増加させ、日々の活動が楽になるだけでなく、筋力トレーニング中の怪我の予防にもつながる。
  • 上体と背筋を鍛える効果が高いエクササイズには、プルアップとベンチプレスがある。適切なフォームとテクニックでおこなう他の3種類のエクササイズと組み合わせることで上体と背筋の筋力アップが可能である。
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Dr. Mercolaより

ジムでのワークアウトは、腹筋、殿筋、二頭筋など注目が集まりそうな部位に偏っているのではないでしょうか。一部の男性は「見せ筋作り」と解釈しているようです。

しかし、フィットネス・トレーナーや、指圧療法師などの専門家の方に言わせると、怪我、まっすぐな姿勢、腰痛に対処するには、強靱な上体と背筋を作ることが最大の防御なのです。ここ5年間ほどで、あらたな背中や腰のトラブルが出てきています。長時間スマートフォンを操作することが原因です。

テキストネック」(スマホ首)は、メールをするだけでなく、コンピュータ操作時、ゲームをしている時などの姿勢が原因となります。「画面を見る時間」の増加による首のトラブルは比較的新しい傾向ですが、背中の上部の痛みは新しいものではありません。

背中が丸まり、肩が前傾になると、背中の上部の筋肉が引き伸ばされ、胸の筋肉が凝ります。

これが悪循環となって、正しい姿勢で座ることが難しくなります。上体と背中のワークアウトをおこなうと、姿勢を保つための筋肉が強化され、背中や胸の筋肉が際立たせることができます。

上体と背中の筋肉を鍛えると、筋肉のしなやかさが増し、筋肉量も増加し、じっとしていてもカロリーを消費できる肉体へと導きます。

コンパウンド種目が最も効果的

筋肉トレーニングは、コンパウンド種目とアイソレーション種目があります。アイソレートリフトや、等尺性収縮では、一つの筋肉、または一つの関節のみを動かして鍛えます。

ボディビルの世界では、ワークアウトのバランスを良くすると考えられていますが、筋肉は本来、単独で動くものではありません。他方、コンパウンド種目では、最低2つの関節(中間に主要筋群が位置する)を動かします。

四頭筋を例に考えてみてください。四頭筋は太ももの前面にある4つの大きな筋肉です。これらの筋肉を完全に動かすには、膝と股関節を動かさなければなりません。

この動きは複合(コンパウンド)的な動きです。スクワットでは、臀筋、腹筋、ハムストリング、ふくらはぎの筋肉を動かします。

コンパウンド種目を筋肉トレーニングに取り入れると燃焼カロリーが増加し、日常生活での運動量も増します。ワークアウトがより包括的な内容になり、コーディネーションやバランスが向上し、関節が安定します。

コンパウンド種目を正しくおこなうと、怪我のリスクも減少し、心血管系トレーニングとしても有効な心拍数を保つことができます。

「ゆっくり」とはどの程度?

ウェイトを上げる時の速さが、トレーニングの結果を早く得られるかどうかを左右することをご存じでしょうか。実は、スーパースロートレーニングが筋肉量のアップと怪我の予防に最適なのです。さらに、結果が出るのが早いという特徴があります。

スーパースロートレーニングでは、筋肉を激しく疲れさせます。これにより、細胞レベルで代謝を高める筋肉が疲労に反応して筋肉を成長させます。

細胞レベルで、筋肉を動かすタンパク質のフィラメントの全てに働きかけるのです。ワークアウトの間、より多くの筋肉を使い、より大きな利益を得ているということです。

筋力トレーニングでは、安全が最優先です。フリーウェイトのトレーニングに慣れていない場合、パーソナルトレーナーの指導を受けるか、ウェイトマシンを使いましょう。こちらがスーパースロートレーニングの手順です。

  1. ウェイトは、少なくとも8回-12回の範囲で挙げられる重さのものが最適です。ワークアウトを数回こなしてみて、自分に合った重さのウェイトを見つけましょう。
  2. スーパースロートレーニングはフリーウェイトでも、マシンでもできます。フリーウェイトのトレーニングに慣れていない場合、マシンを使うと、ウェイトを持つ、戻すなどの動作が楽にできます。
  3. ワークアウトにしっかりと集中でき、体勢を崩さないように気をつける必要もありません。

  4. フリーウェイトの場合は、フォームを一定に保つこと、スポッター(補助者)にフォームをチェックしてもらうことが重要です。また、フリーウェイトでは体勢を崩してしまった場合の怪我のリスクがありますので、スポッターがいると安全です。
  5. ウェイトを上げきった時、下げきった時に動きを止めないようにしましょう。途中で動きを止めずに、ゆっくりと動かし続けてください。ウェイトマシンでは、1セット終わるまで止まらないようにしましょう。
  6. できるだけゆっくりとウェイトを上げていきましょう。数インチ上げるのに2秒はかけてください。ウェイトを反動で上げないようにしましょう。
  7. 筋肉を収縮させ、伸ばすまでの動作に7-10秒間使います。4-5秒でもかまいませんが4秒以下にならないようにしてください。
  8. チェストプレスの場合だと、ウェイトを押し切るまでに7-10秒かけることになります。押し切ったら、反対に、7-10秒かけてウェイトを胸の位置に戻していきます。

  9. 完全に疲れるまで続けましょう。ウェイトを動かせなくなるまで続けるのが目安です。疲れてきたら、7秒間かけてしっかりと筋肉を収縮させていきます。このエクササイズの効果を得るために重要なポイントです。
  10. ゆっくりとした動作により筋肉に継続的な負荷を与え、急速に疲労がたまります。怪我の予防のためにも、ウェイトを動かすことよりも、筋肉を収縮させることが大切です。

    筋力トレーニングのスピードをここまで遅くすると、高強度トレーニングとして有効です。

上体を鍛え筋肉を際立たせる究極のワークアウト

上体と背筋を鍛える効果が高いエクササイズは、プルアップ(懸垂)とベンチプレスです。プルアップ(懸垂)が難しい場合は、マシンを使ってラテラルプルダウンをすると同様の効果が得られます。他のエクササイズも数種類つけ加えると、上体や背筋を全体的に鍛えることが可能です。

1. プルアップ(懸垂)


(解説は英語のみ)


プルアップ(懸垂)は、体操の動作としての難易度は中程度ですが、多くの人にとって難しい動作です。時間をかけてトレーニングすれば、プルアップバーの使い方にも慣れて、強靱な胸筋と背筋を作り上げることができます。

プルアップとチンアップの違いについては諸説ありますが、目指す効果は同じです。一点だけ違いっている所は、リバースグリップ(手のひらが自分に向ける)でバーを持ち、二頭筋および大胸筋を動かすのがチンアップと考えられています。

バーからぶら下がって腕と肩の力だけで全体重を持ち上げると考えるだけでも難しそうです。プルアップができるようになるまでは、マシンを使ってラテラルプルダウンをしましょう。次いて、方法をご紹介します。プルアップ(懸垂)をワークアウトのルーティンに加えるためのプログラムです。

  • バーにぶら下がる練習から始めましょう。この時、肩の筋肉を意識して、体勢をコントロールしましょう。ぶら下がることで、上体の筋肉の凝りがストレッチされます。筋肉が固いと怪我の可能性が高くなります。
  • ぶら下がる時間を段々と長くしていき、肩を安定させ、握力をつけていきます。ぶら下がっている時に痛む箇所がないようにしましょう。手を保護したり、バーを握りやすくするために、手袋をつけてもかまいません。
  • プルアップの練習として、次に紹介するラテラルプルダウンを追加して筋力をつけていきましましょう。急ぐ必要はありません。急ぎすぎると怪我のもとです。
  • ラテラルプルダウンのマシンで筋力をつけながら、ぶら下がる時間を段々と長くしていきましょう。ぶら下がる時のフォームにも気をつけてください。

  • 引っ張る力をつけるために、ロープ登りを試しましょう。身体を静止させてロープにぶら下がりながら足で身体を押し上げるので良い練習になります。うまくロープを登るには、肘を曲げて身体を上げたままにしましょう。身体全体を引き上げるわけではありません。
  • ぶら下がる練習とラテラルプルダウンを続けると数週間から1ヶ月ほどで、プルアップの完成形に近い状態で身体を持ち上げることができるようになります。
  • 回数をこなすために、反動をつけたくなりますが我慢してください。肩にかかった反動で筋肉に余計な負荷がかかり、怪我のもとです。
  • プルアップ(懸垂)ができたら、次に示す筋肉に変化があらわれているはずです。

広背筋 二頭筋 棘下筋
僧帽筋の下部 大胸筋 脊柱起立筋
外腹斜筋    

2. ラテラルプルダウン


(解説は英語のみ)


ラテラルプルダウンは、ウェイトマシンを使うエクササイズで、前述の表で紹介した筋肉を強化します。プルアップ(懸垂)の練習として最適で、スーパースロートレーニング法を用いておこないます。ラテラルプルダウンの方が合っているという方は、プルアップ(懸垂)にこだわらなくてもかまいません。

  • ラテラルプルダウンのをおこなうマシンのウェイトを、上述のとおりスーパースロートレーニング用に調節します。
  • ウェイトに向かって座り、ニーパッドの高さを調整します。パッドは、ウェイトを引く時に体勢を安定させる効果があります。
  • バーを握る箇所は、アプローチする筋肉によって変えましょう。上述の筋肉を鍛えたい場合は、ワークアウトの度にバーを持つ場所を変えていってください。両手の間隔を広く、中くらい、狭くと変化をつけます。
  • 両手の間隔を肩幅より広くすると楽です。肩幅と同じくらい(中くらい)、肩幅より狭いの3段階です。

  • 手のひらを向こう側に向けてバーをつかみます。
  • バーを持って、状態を30度ほど後へ傾け、腰を丸めて体勢を安定させます。
  • ゆっくりとバーを下ろして胸まで引きつけ、息を吐きます。腕だけを動かしてください。
  • ゆっくりと、腕を伸ばして、はじめの位置まで戻し、息を吸います。
  • これで1回です。

3. ベンチプレス


(解説は英語のみ)


ベンチプレスは定番の筋肉トレーニングで、主に、大胸筋と三頭筋に効果があります。関連して、三角筋(後部)、回旋筋腱板、菱形筋なども鍛えられます。ベンチプレスで正しい効果を得るためには体勢が重要です。体勢が悪いと怪我につながります。腕の位置によって、効き目のある筋肉が変わります。

バーベルのベンチプレスで、肘が身体の近くに置くと、大胸筋よりも三頭筋に負荷がかかります。肘を身体から離しすぎると、肩関節に負荷がかかりすぎます。肘を45度に曲げると、運動効果が高く、肩にも負担がありません。

ベンチプレスマシンを使うと、肘を正しい位置に保つことが可能になり、怪我のリスクが少なくなります。

  • 上述の基準に従ってウェイトの重さを決めましょう。
  • ベンチに横になって、手をバーに置いた状態から始めます。
  • 足でしっかり床を踏みしめます。エクササイズの間、床に足を踏ん張ります。
  • 左右の肩甲骨を引きつけてゆっくりとウェイトを上げます。
  • 肘は完全に伸ばさずに、肘が10-15度に曲がっているくらいで止めて、ウェイトを下げはじめます。
  • 注意:

  • 背中がまっすぐになっている。ゆるやかにアーチができる状態にしましょう。
  • 足はベンチの下に。しっかり床を踏みしめましょう。
  • 左右の肩を引きつけてください。
  • 足で床を踏みしめる時に、ベンチから腰が浮かないように。床を押し上げるわけではありません。しっかり踏みしめて、身体を安定させてください。

4. ダンベルロウ


(解説は英語のみ)

ダンベルロウは、姿勢や背筋を支える役割を持つ、広背筋、僧帽筋、菱形筋に効果があります。背中の筋肉は前かがみの姿勢で引っ張られているので、強化することで背中の上部の痛みを軽減し、筋肉を際立たせる効果があります。

  • 10回上げることができる重さのウェイトから始めましょう。
  • ダンベルを片手に一つずつ持ち、両足を肩幅くらいまで広げて立ちます。
  • 大殿筋を引き締めた状態で腰を曲げて、お尻を突き出した状態になります。腰を守るための姿勢です。
  • 膝を少し曲げて頭を下げ背中の筋肉をストレッチしていきます。脚はまっすぐにせず、膝を30-40度に曲げた状態です。
  • 手のひらは膝の方に向けてウェイトは床と平行になっています。
  • 腕を上げてから頭を上げ、ウェイトを身体の横に引き上げます。この時、手のひらは身体の側面を向けます。左右の肩を引きつけてください。
  • ウェイトを引き上げる前に息を吸い、引き上げながら息を吐きます。

5. プランク


(解説は英語のみ)


肩、背中、体幹の筋肉に効果のある簡単なエクササイズです。プランクは、背筋群の柔軟性を増し、姿勢を正しく保つ筋肉を鍛えます。

  • 肘が肩の真下に来るように床につけて手首は肘とまっすぐになる位置に置きます。
  • 身体を持ち上げて、あごを引きます(卵をのど元に挟むイメージで)。
  • この姿勢で、腹筋を引き締めます。お腹にパンチを受けるイメージで引き締めて、大殿筋(尾てい骨)の辺り、太ももの筋肉も同時に引き締めます。呼吸は普段どおりでかまいません。
  • プランクの姿勢を20-30秒保ちます。(正しい姿勢ができていれば、このくらいの時間で十分です。)約1分間休んでプランクを繰り返します。合計で3-5回続けてください。
  • 肘とつま先で身体を支えるようにしてみましょう(必要に応じて膝を床についてください)。慣れてきたら、肘を伸ばしたハイプランクに挑戦してみてください。