Dr. Mercolaより
慢性痛は治療が非常にやっかいです。ケガや病気が原因の場合もありますが、痛みのきっかけとなる出来事(腰の負傷、感染、関節炎、ガンなど)がない場合もあるのです。
はっきりとした原因がわからないまま、痛みが数週間から、数ヶ月、数年と長引いてしまいます。例えば、腰の痛み、頭痛、神経原性の痛み(神経因性疼痛)など、末梢神経系、中枢神経系の痛みです。
慢性痛(特に腰痛)は、生活の質や生産性に著しく影響し、障害の主な原因です。医療費と経済的な損失(障害、収入の低下、生産性の低下)を考慮すると、アメリカの医療システムで、痛みの治療は6,350億ドルに達しています。
非常に高額な費用ですが、慢性痛による個人の生活への影響とは比較になりません。例えば、American Pain Foundation(米国疼痛財団)による慢性痛に関する調査では次のように述べられています。
さらに、慢性痛があると、痛みのせいで週平均で5時間の稼働時間をそがれるため、本人の能力を100%発揮できません。最大20%の人が、痛みのせいで仕事を休んだり、転職を余儀なくされるのです。さらに、かなりの割合(13%)の人が、痛みが強すぎるため、生活そのものに介助を必要としています。
多くの人が痛みへの唯一の手段として使用している鎮痛剤の副作用も考慮にいれなければなりません。American Society of Interventional Pain Physicians(米国疼痛管理医師会)の議会証言によると、アメリカ人は世界の80%の痛み止めを使用しており、 一度使い始めると、多くの副反応を起こし、やめられなくなると述べられています。
モルヒネと同様の作用があるオピオイド、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニルなどの鎮痛剤が最も多く乱用されています。中毒性はもちろん、過剰摂取で呼吸の低下や死に至る場合もあります。さらにアルコールが加わることでリスクは複雑化します。
さらに納得しがたいのが、American Pain Foundationの調査に関わった人のほとんどが、痛みをほとんど解決できていないと答えている点です。患者が痛みの原因も適切な治療法もわかっていないことが理由です。
痛みがあることに、まず感謝するべきです。普段の生活習慣に何らかの原因があることを示す体からの強力な警報なのです。もちろん、外傷がある場合にはこのことは該当しませんし、慢性痛の原因となることはあまり多くありません。
痛みを感じにくくなる病気があることをご存じでしょうか。ハンセン病です。ハンセン病の患者は、重篤な感染症による若年死が特徴です。熱や尖った物体などの有害な環境要因への感覚が失われるためです。
原因のわからない慢性痛の経験がある場合は、次のリストで原因を探してみましょう。身体的な痛みは、生活習慣、心の傷など自分で気がついていない潜在的な理由による場合があります。
10人に7人の人が、痛みに関する調査、管理を、医学界の 最優先事項にするべきと考えていることを示す調査結果が出ています。それにもかかわらず、あまり注目されていません。APPEAL(Advancing the Provision of Pain Education And Learning、痛みに関する学習と教育の提供推進)は、ヨーロッパの大学医学部に関する調査を行い、義務的な痛みについての教育は実施されているが、6年間のコースの中のわずか12時間、割合にして0.2%であることを明らかにしました。さらに、ほとんどの学校で、痛みに関する必修授業は まったく おこなわれていません。
12時間の痛みに関する学習が 最も長い コースと言うことになります。医学部の82%で痛みに関する必修のクラスはないと言うことは、実際に受講する学生は更に少なく、全く受講せずに卒業する場合も多いということです。APPEALの研究はヨーロッパで行われましたが、同様の傾向がアメリカやカナダで実施された別の研究、 The Journal of Pain(痛みに関するジャーナル)でも報告されています。
痛みに関する教育は提供されていても一般教養の一部としてでした。痛みに関する必修コースがある学校は4%以下で、多くが専門のコースを開催していません。慢性の痛みの効果的な治療法を知らない医師達が知っている方法と言えば、小薬剤で、これでは、痛みの根本的な解決にはなりません。言うまでも無く、生活習慣の対策でバランスを取り戻しつつ、薬を使わない方法で痛みの治療をすることは可能です。薬を使わない方法には、次のような例があります。
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