「十分な」睡眠とはどのくらい?


睡眠時間

早分かり -

  • 平均睡眠時間は、成人の40%が一日6時間以下、10代の若者の58%が7時間以下である。
  • National Sleep Foundation (国立睡眠財団)が年代別の推奨睡眠時間に関するガイドラインを発表。目安としては、10代以上は一晩に平均8時間の睡眠をとることが望ましい。
  • 10代の若者において、電子機器の使用が日中だけの場合でも、電子機器の使用時間と入眠潜時に明確な相関関係が見られた。
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Dr. Mercolaより

現代人の多くがそうですが、あなたも睡眠を十分にとっていないのではないでしょうか。このまま睡眠不足が続くと、次の日に響くだけでは済まなくなりますよ。

2013年に実施されたGallup世論調査によると、成人の40%が1日6時間以下の睡眠しか取っておらず、また子供達の睡眠時間も減少傾向にあ ることがわかりました。さらに2014年のアメリカ睡眠調査では、10代の若者の58%が、睡眠時間が平均7時間以下という結果が報告されています。

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)もまた、睡眠不足は現代の深刻な問題であり、様々な疾病との関連性を指摘しています。

例えば1日の睡眠時間が5時間以下になると、心臓病、心臓発作、脳卒中などのリスクが倍増します。またある研究では、睡眠不足が、体重増加、インスリン耐性、糖尿病などと強い関連性を持つことがわかりました。

睡眠不足がもたらすリスクに関して様々な研究結果が示されているなか、「十分」な睡眠はどれくらいなのか、具体的な推奨時間については、これまで長年にわたり流動的なものでした。この疑問を解決すべく、米国立睡眠財団は明確なガイドラインを発表しています。

最新の睡眠時間ガイドライン

年齢 必要睡眠時間
新生児(0-3ヶ月) 14-17時間
乳児(4-11ヶ月) 12-15時間
幼児(1-2歳) 11-14時間
幼児(3-5歳) 10-13時間
小学生(6-13歳) 9-11時間
中高生(14-17歳)    8-10時間
高校、大学生(18-25歳) 7-9時間
成人(26-64歳) 7-9時間
老人(65歳以上) 7-8時間

表を見てみると、10代以降では一般的に平均8時間前後の睡眠が必要であることがわかります。研究チームは次の様に発表しています。

「睡眠時間が推奨時間のとおりでなくても適正範囲内であるが、あまりにも逸脱しているのに健康であるケースはごく 希である。睡眠時間が習慣的に適正範囲外である場合、何かしらの症状や健康上の問題が発生する可能性が高い。意図的に睡眠時間を減らしているのであれば、 心身の健康に自ら害を与えていることになる。」

現代のテクノロジーが及ぼす睡眠への影響

現代のテクノロジーは、近年、多くの人の睡眠を妨げる大きな要因となっています。その理由はいくつか挙げられます。

  1. 照明や電子機器から出る光を夜間に過剰に浴びると、メラトニンの分泌が阻害され、脳の休息が妨げられる。(メラトニンの体内濃度は、周囲が暗くなるにつれて自然に上昇し、眠気を促す。)
  2. 可視光線ではないが、電磁波も睡眠に悪影響を及ぼす。
  3. 2014年に実施されたアメリカ睡眠調査によれば、よく眠れていると答えた人の割合は、電子機器をオフにして睡眠をとる人では53%、オンにしたまま睡眠をとる人ではわずか27%であった。

  4. 日中は明るい光を浴び、夜は暗いなかで過ごすという自然なリズムを維持することは、良質な睡眠に欠かせない要素です。しかし、夜間に過剰な光を浴び、日中に自然光を十分浴びていないといった現代人の現状があります。
  5. 日中に明るい太陽の光を浴びることで、全身の周期を制御するマスタークロックに時を伝え、そこから全身の体内時計へと周期が伝わっていくのです。

日中に電子機器を使うと睡眠に深刻な影響を与える?

現代人の睡眠時間は、60年前に比べると平均1-2時間少ないと言われています。電気が広く普及したことで、以前より遅い時間まで活動できるようになったことがその主な理由です。

最新の研究によれば、特に10代の若者において、電子機器の過剰な使用(日中のみに制限されていたとしても)が入眠障害を引き起こしている可能性があるとされています。ハフィントン・ポストは、次の様に報じています。

「一日を通して(就寝前だけでなく)画面を見る時間の合計が、10代の若者の睡眠時間に影響を与えているという研究結果がある。

『驚くべきことに、画面を見る時間が長くなるほど、睡眠時間は短くなるという明確な関連性があった。』と研究の第一人者Mari Hysing氏は述べた。」

女子がスマートフォンやMP3プレーヤーを好む一方で、男子はゲームに時間を費やす傾向にありますが、電子機器の種類に関わらず、睡眠への影響は同様であることがわかっています。研究者グループは、次のように発表しています。

  • 就寝1時間前以内の電子機器の使用により、入眠までの時間が1時間以上かかってしまう
  • 1日合計4時間以上の使用では、4時間以下の人に比べ、入眠までに1時間以上を要するリスクが49%高まる。
  • 1日合計2時間以上の使用では、2時間以下の人に比べ、入眠までに1時間以上を要する人が20%も多い。
  • インターネットに2時間以上費やす人は、それ以下の人に比べ、睡眠が5時間以下である人の数が3倍以上である。

中年期の良質な睡眠が高年期にもたらす恩恵

睡眠習慣と後年の精神機能について、50年分の研究結果を再調査した別の研究によると、中年期における良質な睡眠は「投資」のようなもので、その効 果は将来返ってくると結論づけました。テキサス州ベイラー大学の睡眠神経科学および認知研究室の室長であるMichael Scullin氏によると、「多くの研究結果から、中年期に良質な睡眠をとると、28年後によりよい精神機能が見込めることがわかりました。」 と述べています。

十分な睡眠をとることですぐに得られるメリットを考えると、この結論が妥当であることがわかっていただけると思います。リスクであれ利点であれ、時 間をかけて蓄積された結果が、将来良い成果として、もしくはつけとなって戻ってくるのです。例えば、最新の研究で、睡眠不足により脳が萎縮することがわ かっており、その影響は長期的なものです。また、Neurobiology of Aging誌に掲載された別の研究では、慢性的な睡眠障害を抱える人は、良質な睡眠をとれる人に比べて、アルツハイマー病を早期発症する可能性があること を示唆しています。

研究グループは、一晩にわずか1時間だけでも睡眠時間を増やすことで、大幅に健康状態を改善することができると証明しました。この研究では、睡眠時 間を6.5時間と7.5時間とした場合の健康への影響を調査しました。実験期間中、被験者の2グループにおいて、一週間にわたり、睡眠時間を6.5時間ま たは7.5時間としました。

一週間後、睡眠時間を入れ替えてもう一週間測定を続けた結果は大変興味深いものでした。まず、睡眠を少なくした1週間では、瞬時の判断、知能が求め られるタスクの処理能力が低下することがわかりました。また、睡眠不足は、回想能力、情報処理能力、判断力の低下と関係するという研究結果もあります。

一晩の睡眠不足(4-6時間)であっても、翌日の思考力に影響し、問題解決能力を低下させます。研究者グループは、この実験で約500の遺伝子が影 響を受けることも指摘しました。睡眠時間を7.5時間から6.5時間に減らしたところ、炎症、免疫異常、糖尿病、癌のリスク、ストレスに関連する遺伝子が 活発化したのです。この研究結果から、毎日7時間未満の睡眠の人が、たった1時間睡眠時間を増やすだけで、健康は大幅に改善されると言えそうです。そして さらに、何十年後かの将来における脳の機能を維持・保護できるのです。

フィットネスバンドで睡眠時間を確保する

より良い睡眠を得るには、就寝時間を早くする必要が出てきます。6時半に起床したければ、12時過ぎに就寝していては睡眠時間は足りません。最新機 種のフィットネスバンドは、日中の運動と睡眠の両方を記録できる物があります。どの位睡眠時間を確保できているかきちんと測定ができますね。床についてす ぐに眠りにつくわけではありませんので、実際の睡眠時間は、想像よりも30分は短くなる場合が多いです。

私がフィットネスバンドを使い始めた頃、睡眠時間を8時間にしようとしていました。当時使っていたJawbone UPと言う製品では、睡眠時間は7.5-7.75時間と計測されました。それ以来、睡眠時間を延ばすことにしました。ベッドの中にいる時間ではなくきちん と眠っている時間を一晩に8時間以上に増やしました。フィットネスバンドで測定した結果、夜10時までに眠りについていなければ(床につくだけではダ メ)、睡眠時間が8時間に達しないことがわかりました。それ以来、夜9時半には就寝するようにしています。

概日周期の確立とより良い睡眠で健康になろう

  • 定期的に日中の明るい光を浴びること。松果体がメラトニンを分泌するには、日中は日光を浴び、夜間は完全 に暗い状態となる必要があります。日光を浴びずに一日を過ごすと、昼夜の区別がなく、メラトニンが適切に分泌されません。期日周期をリセットするためには 朝日を10-15分は浴びるようにしてください。体内時計に一日の始まりを知らせることで、日中あまり光を浴びないせいで体内時計が狂うのを防ぎます。
  • また、日中30-60分屋外で過ごし、日光を浴びるようにしましょう。マスタークロックにリズムをすり込む作用があります。外出に適しているのは正 午ですが、日中であればいつでも効果はあります。屋外に出るのが難しい場合は、ブルーライトエミッターを使いましょう。Philips社から、 goLITE BLUという製品が販売されています。机の上に置けるコンパクトサイズの光療法装置です。外出できなくても、一日2回、約15分の利用で概日周期を安定化 させることができます。

  • 夜間、少なくとも就寝前1時間は、テレビ、パソコンは使わないようにする。日 没後は、なるべく光に当たらないようにしましょう。メラトニンの分泌を促し、催眠効果があります。スマートフォン、テレビ、コンピュータから出るブルーラ イトは、脳が昼であると誤認してしまう可能性があります。脳は、通常夜9-10時にメラトニンを分泌させる信号を送りますが、電子機器からの光によって分 泌が阻害されると、眠気が起こらなくなります。
  • 寝室に電磁波EMFがないか注意すること。電磁波は松果体からのメラトニンの分泌を阻害するだけでなく、他にも影響が考えられます。各部屋の電磁場を測定するには、ガウスメーターを使います。電子機器は、ベッドから最低1メートル離してください。睡眠時は全ての電子機器の電源を切るのが理想的です。ワイヤレスルータも夜間は電源を切っても良いでしょう。寝ている時にインターネットは必要ないですよね。
  • 眠る部屋は暗くする。寝室に光が少しでも入れば、体内時計が狂い、松果体からのメラトニンの分泌が阻害さ れる可能性があります。ラジオ内臓時計の光も睡眠の邪魔になりますので、寝る時には覆いをする、寝室に置かないようにするなどを検討しましょう。窓も、斜 光カーテンなどでしっかり覆いましょう。安眠マスクを使えば費用は少なくすみますね。
  • 就寝中の照明は必要に応じて、ワット数が低めの暖色の電球を使う。暖色の照明の帯域幅では、白色、青色の照明の帯域幅と異なり、メラトニンの分泌は阻害されません。
  • 寝室の温度は摂氏20度前後とする。部屋の温度が高すぎる場合が多いです(特に寝室が2階の場合)。 睡眠に最適な室温は、摂氏15-20度であるという研究結果が報告されています。