Dr. Mercolaより
1999 年に、ハーバード大学の心理学者Andrew Stoll博士は、オメガ3脂肪酸 によって双極性障害の症状に改善が見られたことを示す研究結果を発表しました。2001年には、「The Omega-3 Connection」を出版し、オメガ3脂肪酸がうつ病に効果を示すことを世に知らしめた初の著作となりました。
10 年以上が過ぎた現在では、精神の健康に対するオメガ3脂肪酸の重要性を訴える様々な研究がなされています。中でも2014年11月東京で開催されたInternational Early Psychosis Conferenceでは、非常に画期的な研究報告がなされました。
精神病を患っている人が身近にいる、または兆候が見られるなら、動物性のオメガ3脂肪酸を補充すると強力で安全性の高い治療法となります。
脳の60%は脂肪でできています。オメガ3脂肪酸のDHAだけで大脳皮質の15-20%を占めています。ニューロン(中枢神経系の細胞で、オメガ3脂肪酸を含んでいる)にも比較的多く含まれています。
脳は文字どおりオメガ3脂肪酸でできているので、脳の機能にとって重要であることは当然です。さらに、オメガ3脂肪酸には抗酸化作用と抗炎症作用があり、この作用が精神面の健康に治療的役割を果たしていると考えられています。
\細心の研究で、オーストラリアの Orygen Youth Health Research Centerの研究グループが、精神病を発症するリスクのある人達が、動物性のオメガ3脂肪酸のサプリメントを摂ることで、7年間も症状の進行を遅らせることができることを明らかにしました。
動物性のオメガ3脂肪酸を摂っている患者のうち、研究期間中に症状が進行した患者は10%のみでした。オメガ3脂肪酸を摂らなかったグループでの発症率は40%だったそうです。
さらに、プラシーボを摂ったグループでは、精神病の発症がオメガ3脂肪酸を摂ったグループよりさらに速いという結果が得られました。オメガ3脂肪酸を摂っているグループでは症状や心理社会的な機能が全体的に改善しました。
同じ研究グループによる2010年の研究では、動物性のオメガ3脂肪酸を12週間補充すると一年以上も精神病を発症するリスクを抑えることができることがわかりました。2014年の研究では、オメガ3脂肪酸は、精神病の進行をさらに長
7年間も遅らせるという結果が出ています。
2010 年の研究でも、オメガ3脂肪酸の精神病の発症を遅らせる効能はサプリメントを摂らなくなっても後も続くことがわかりました。研究の筆頭著者である、Paul Amminger医師は、この作用は向精神薬にはないと述べています。
向精神病薬は、副作用の強い薬剤であることから、より自然な代替法が求められています。そのような状況で、研究者達は動物性のオメガ3脂肪酸の可能性を検討しています。Amminger博士は次のように述べています。
「天然の成分が精神病の予防や発症の抑制できるかもしれないことを示す結果は、抗精神病薬の代替法としての期待が高まります。オメガ3脂肪酸の製品は許容性、人々の支持、低コスト、健康効果などの利点があります。 精神病、例えば精神分裂病などは、早期の治療が望まれるのですが、若い世代の患者は伝統医学で使用される薬には望ましくない副作用があるため敬遠する傾向にあり、そのことが早期の治療の妨げとなっています。」
「天然の成分が精神病の予防や発症の抑制できるかもしれないことを示す結果は、抗精神病薬の代替法としての期待が高まります。オメガ3脂肪酸の製品は許容性、人々の支持、低コスト、健康効果などの利点があります。
精神病、例えば精神分裂病などは、早期の治療が望まれるのですが、若い世代の患者は伝統医学で使用される薬には望ましくない副作用があるため敬遠する傾向にあり、そのことが早期の治療の妨げとなっています。」
薬による副作用は、皮肉なことに、精神面の症状(誰もいないのに声がする、パラノイアなど)、攻撃性、怒りっぽい、けいれん、心臓発作、性的発達の遅れ、などが含まれます。しばしば、診断がおりた症状よりも副作用のほうがひどいこともあり、健康に与える影響は違法ドラッグに匹敵します。
子供の場合、長期の影響は良くわかっていません。短期的には、抗精神病薬を飲んでいる10代の患者は暴力性や攻撃性が増すことがわかっています。
Zucker Hillside HospitalでRecognition and Prevention Programの長を努めるBarbara Cornblatt博士は上記のビデオで、早期の介入により精神病の進展を防ぐことができることがわかっていると説明しています。抗精神病薬が健康な人々に、症状が現れる前に処方されてしまうのが珍しくないのはこのためです。
博士によると、薬を飲んだ人のうち本当に精神病に発展するのはたったの30%で、残りの70%の人は何も症状がないのにわざわざ深刻な副作用のリスクを伴って強い薬を飲んでいるそうです。
動物性のオメガ3脂肪酸を摂ることは、反対に、精神病を抑える効果がありながら副作用の心配はなく、むしろ良い副作用をもたらします。動物性のオメガ3脂肪酸は非常に健康に良く、精神面の心配がある人もそうでない人も誰でも飲でみることをお勧めできます。
関連するニュースとして、Neurology誌に掲載された研究をご紹介すると、「フィッシュオイルに含まれるDHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸の体内濃度が高い高齢の女性は、濃度が低い女性に比べて脳の老化が少なく、良い状態を数年長く維持できる可能性がある。」と報告されています。
Women's Health Initiative Memory Studyの研究者グループは、1,100人を超える患者について赤血球中のオメガ3脂肪酸濃度を調査しました。参加者の平均年齢は70歳でした。8年後、MRIスキャンにより、脳の容積を測定しました。
実験開始時にオメガ3脂肪酸の濃度が最も高い値の7.5%であった女性は、8年後の脳の容積は0.7%大きいという結果でした。また、記憶の形成に重要な役割を果たすヒッポカンポスも2.7%大きいと言う結果でした。
この研究結果は、オメガ3脂肪酸が年齢による脳委縮を抑える効果があることを示唆しています。アルツハイマー病では、脳の収縮が加速する傾向にあるため、脳を守ることはアルツハイマー病予防のかぎであると言えます。Bloombergは次のように報じています。
「このことが記憶にとってどのような意味合いを持つのか、さらなる研究が必要であると研究の筆頭著者であるJames Pottala氏は述べています。『オメガ3脂肪酸は、脳の細胞膜を組み立てるブロックのような存在です。』 特定のオメガ-3脂肪酸の濃度を維持することで痴呆の発症を遅らせることができるのであれば、精神的な健康にとって有益なことです。体内濃度は、食事とサプリメントで安全に、安価に増加させることができるのですから。
Pottala氏はまた、前回の調査で、油分の多い魚(揚げていないもの)を週2回と、フィッシュオイルのサプリメントを合わせて摂ると、赤血球中のEPAとDHAの平均濃度が、この研究でオメガ3脂肪酸の濃度が最も高かった女性と同じ値の7.5%に上昇することを示しました。
医師としての経験と様々な科学的な証拠から申し上げると、食事から(天然のアラスカ紅鮭、イワシ、カタクチイワシなど)、または良質なオメガ3脂肪酸のサプリメント(クリルオイルなど)などでオメガ3脂肪酸をしっかり摂ることが心身の健康にとって非常に重要です。フラックスシード、チアシード、麻の種やその他の食品からも有効にオメガ3脂肪酸(心身の病気を予防するために重要な脂肪酸であるDHAとEPAを含む)を摂ることができますが、最も効果の高いオメガ3脂肪酸は主に魚やクリル(オキアミ)動物性の魚介類に含まれます。
あらゆる魚介類がPCBや水銀などの環境汚染物質にひどく汚染されているため、オメガ3脂肪酸を取り入れるために食べる魚介類の種類には注意が必要です。おおよその目安として、食物連鎖の下位に位置する魚汚染度は低くなります。イワシは、特にオメガ3脂肪酸を多く含む食品です。1食で一日の推奨量の半分以上に相当する量が含まれています。カタクチイワシ、ニシン、天然アラスカ紅鮭なども良いでしょう。
約3年という鮭の短いライフサイクルを考慮すると、天然のアラスカ紅鮭の体内に高い濃度の水銀やその他の有害物質を蓄積しているリスクは低いと考えられます。また、あまり魚は食べないと言うことであれば、フィッシュオイルで動物性のオメガ3脂肪酸を補っても良いでしょう。あまり知られていませんが、クリルオイルは、オメガ3脂肪酸を摂るのにおそらく最も良い方法だと考えます。
クリルオイルの良い点とはどういうことでしょう。オメガ3脂肪酸は、リン脂質と結合することで吸収しやすくなります。つまり、摂る量が少なくて済むため、他のフィッシュオイルサプリメントのようにげっぷやおくびが出るということがありません。さらに、アスタキサンチンという強力な抗酸化物質を、フィッシュオイルと比較して50倍の量含んでいます。これにより、大変傷みやすいオメガ3脂肪酸を、体内で細胞に吸収される時まで酸化から守ります。
一定の酸素の気流にクリルオイルをさらす実験では、190時間後でも変質は見られませんでした。これに対し、フィッシュオイルの場合は、1時間で傷んでしまいました。ということは、クリルオイルはフィッシュオイルの200倍酸化刺激に強いということです。クリルオイルを購入する時は、ラベルを見てアスタキサンチンの含有量を確認しましょう。多いほど良いですが、クリルオイル1グラムに対して0.2 mgで酸化を防ぐことが可能です。
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