Dr. Mercolaより
4歳児でもない限り、お通じの話はあまり人前で好んでする話題ではありませんね。「大」の話をおもむろに始めたら、みんなその場から離れる、不快な顔をされる、苦笑い、聞きたくない情報にだじゃれで応戦される、のどれかの反応が返ってくるでしょう。
普段は、嫌がられる話題ですが、体から出るものは健康にとっては重要な情報であり、しっかり把握しておく必要があります。トイレで出たものを確認もせずに流してしまえば、健康を取り逃がしてしまう可能性すらあるのです。
人は、生涯で約5トンの便を排泄します。この山のような便から、多くのことがわかります。
形、量、色、など様々な便の性状から、消化管がきちんと機能しているか、感染症、消化不良、ガンなど重度の疾患の有無など、全身の健康状態がわかります。便の色は虹のように様々です(不適切な表現をお詫びします)。
正常な便といっても、様々な色、固さ、形がありますが、便の様子によっては、すぐに病院で検査が必要です。この記事では、正常な便と、注意が必要な便を見分けるために知っておくべきことをご紹介していきます。
便の75%は水分です。残りは、繊維、生菌、死菌、細胞や粘液などの臭いの元となる成分です。便の性状から、消化管がきちんと機能しているかがわかります。色、臭い、形、量や、水に落ちる時の音、沈むか浮くかなども重要な情報です。
Bristol Stool Chart(ブリストル大便スケール)で、便の性状を知りましょう。理想の便は、タイプ3、4、5のような「バナナや蛇のような形で、なめらかで柔らかい便」や、「小さな塊で、出やすい便」です。タイプ4なら最高ですね。
繊維分で便の量は増え、便が塊になるための糊の役目を果たします。下痢ではないが便が柔らかめという場合は、乳糖不耐症や、人工甘味料(ソルビトール、スプレンダ)、または、フルクトースやグルテンに反応している可能性があります。
トイレで用を足したら確認しましょう。良い便と悪い便とは?変に気負う必要はありません。次の表で、何を確認すれば良いのかを知りましょう。もちろん、心配しなければならない状態もありますから、そちらも表の中に記載されています。腹痛があり、便の様子がいつもと違う場合は、医師に相談してください。
健康な便
心配な便
黄金色から茶色
出にくい、痛い、強くいきまないと出ない
なめらかで柔らかい。バナナの様な一本の線状で、コロコロしていない。
固い塊、バラバラで水っぽい。粘り気があり、切れが悪い。
直径は3-5cmほど、長さは最大で45cm。
鉛筆やリボンのような細い便は、腸内に腫瘍や、最悪の場合大腸ガンなどの障害物がある可能性があります。たまにならば問題はありませんが、細い便が続く場合は、必ず医師に相談してください。
S字型(S字結腸と同じ形)の便。
黒いタール便や鮮血の混じった便は、消化管の出血の可能性があります。薬の服用やサプリメント、甘草なども便が黒くなる原因ですが、黒いタール便が出た場合は専門家に相談しましょう。
便器に落ちる時は静かですべるような音。ぼちゃんと落ちて跳ね返り、シャワーを浴びるはめになるようなことはない。
白っぽい、色が薄い、灰色の便は、胆汁が不足している証拠です。肝炎、肝硬変、膵炎、胆道閉塞など重篤な症状の可能性があります。すぐに医師に相談してください。制酸剤を服用していると便が白っぽくなることがあります。
正常な臭い、臭すぎない(良い香りという意味ではありません)
黄色の便は、ジアルジア症、胆嚢炎、ジルベール症候群などが考えられます。医師に相談してください。
均一な性状
食べたものが消化されていない(下痢、体重減少、その他便通の異常を伴う場合は注意が必要)。
ゆっくりと沈む
浮かぶまたは、水が跳ね返る
粘り気の強い便は、出血や腹痛を伴う場合は特に、クローン病、潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患や大腸ガンなどが考えられます。
便があまりにも臭い場合は、注意が必要です。通常の便よりあまりにも匂いが強い場合の話です。匂いの強い便は、次のような病気が考えられます。
嚢胞性繊維症(CF)とは、遺伝子の突然変異によって粘り気の強い分泌物により、肺の感染症を起こしたり、消化器の機能が妨げられる病気です。嚢胞性線維症は、ほとんどの場合2歳までに発症するため、乳幼児に注意が必要です。
匂いといえば、おならの方はどうでしょう。おなら(屁)が出るのは正常です。正常である以上に、腸内菌がしっかり働いている証拠でもあります。人間は、一日に平均14回おならを出します。これは、550ml-2Lの量です。おならの99%は無臭ですから、出ていることすら気づかないかもしれません。考えてみてください、出口がなければ、体は風船のように膨らんでしまうでしょう。
食べたものが便になり、排泄されるまでには、約18-72時間必要です。この時間が短すぎる状態が下痢です。腸が水分を吸収できていないせいで起こります。こ反対に、この時間が長すぎる状態が便秘です。腸が水分を吸収しすぎて、便は水分を失い固くなります。
便秘とは、便が固く水分が少ない、いきまないと排泄できない、便通の回数が少ない状態のことをいいます。いきまないと出ない、すっきり出た感じがしない、膨満感がある、けいれん、排便後の脱力感などは正常ではありません。65歳以上の方の場合、非常に便秘になりやすくなります。
慢性的な便秘を放っておくと、重症の宿便に発展する可能性があります。下剤はできるだけ使わず、最後の手段としてください。
便の回数が多い/下痢の代表的な原因
生活習慣
病気
果物や野菜を良く食べる(食物繊維を多く摂っている)
甲状腺機能亢進症(甲状腺の活動が異常に活発)
運動量が多い
クローン病
水分を多く飲む
潰瘍性大腸炎
感情面でのストレス
セリアック病
食物アレルギー
過敏性腸症候群(IBS)
薬の副作用
胃腸の感染症
便の回数が少ない/便秘の代表的な原因
食生活の変化、食物繊維が少ない、果物や野菜が少ない
妊娠、出産、ホルモン分泌の変化
腸、直腸、肛門の筋肉や神経の症状
便意をこらえる、トイレに行くタイミングを逃してしまう
運動不足
糖尿病
水分不足
甲状腺機能低下症(甲状腺の活動が異常に低下)
カルシウム、鉄分のサプリメント
切れ痔、いぼ痔など、肛門の局部的な痛みや不快症状
麻薬性鎮痛薬(コデインなど)、利尿剤、制酸剤、抗うつ剤、下剤の使いすぎなど
頻度は低い:憩室炎、腸閉塞、結腸直腸癌、多発性硬化症、パーキンソン病、脊髄損傷
胃腸の症状の多くが、食生活とライフスタイルを変えることで簡単に予防、改善できます。便通に何らかの心配がある場合、次の対策に目をとおして、いくつか試して見てください。これらの対策で、下痢や便秘を改善、再発も防ぐことができるはずです。
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