50歳までの健康が老後の病気予防につながる


運動で健康に

早分かり -

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  <li>中年期の生活習慣が老後の健康を左右することを示す研究結果が報告された。50歳までの健康状態が良ければ、70-80代まで健康に過ごすことができることがわかっている。 </li>
  <li>運動すると、様々な慢性病を引き起こす炎症を予防することができ、年を取ってからの体力向上や脳を保護する効果がある。 </li>
  <li>40代に入った女性は特にそうであるが、年齢が上がるほど、体調を整えるのは難しくなっていく。中年期を迎えると、ホルモン分泌、筋肉量の低下、AMPキナーゼ(AMPK)の低下など、生物学的プロセスの変化から、体調をベストに整えるのが難しくなる。 </li>
  <li>運動量が多ければ良いわけではないことを証明するための研究もなされており、デンマークで行われた研究では、1日30分運動したグループが、1日1時間運動したグループより体重減少の度合いが大きかったことがわかっている。 </li>
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Dr. Mercolaより

現在の生活習慣が将来の健康に影響することは、考えなくてもわかります。考えなくてもわかるのに、具体的にしめされていなかった点が、科学的に数値化されました。

ある最新の研究で、中年期の生活習慣が老後の健康を左右することが報告されたのです。50歳までの健康状態が良ければ、70-80代まで健康に過ごすことができることがわかりました。
中年期までにできるだけ体調を整えておくことが重要です。

アメリカ人の寿命は延びていますが、健康に生きているとは言えません。アメリカ人の平均寿命は78歳を超え、1980年代の74歳より長くなりましたが、糖尿病、ガン、心臓病などの慢性病の罹患率は年々増加し、発症年齢も若年化が進んでいます。

気を付けましょう。若い頃の食生活や運動の習慣は、必ず後になってつけが回ってきます。

健康に50歳を迎えると老後に病気をしない

テキサス大学メディカルセンターとCooper Institute in Dallasは、18,670人の男女を40年間追跡する史上初の調査を行いました。中年期の健康状態を測定し、老後の健康状態を比較する内容です。40-50代で健康状態が最も悪かった男女では、老年期の早い段階で、心臓病、2型糖尿病、アルツハイマー病、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、腎臓病、肺ガン、大腸ガンなどの慢性病を発症しました。

肉体的な状態の良い人の死亡率が低いことを示す研究結果は多くありました。しかし、この研究は、老年期の慢性病と、中年期の健康状態の関係を調べた初の研究です。肉体的に良い状態であることは老年期に病気で苦しめられる「時間を短縮する」と言えます。

生活の質を大きく左右する問題です。老後の時間を病室で過ごすことになるのか、ゴルフコースで楽しく過ごすのかを選択するのは今です。
この研究について、The New York Timesは次の様に報じています。

40-50代に肉体的に良い状態であった人も、様々な病気を発症したとしても、肉体的な健康度の低い人と比較すると時期がかなり遅いことがわかった。有酸素運動をしていた人では、慢性病の罹患時期は死亡前の5年間に集中しており、10年、15年、20年などの長い期間、病気を患うことはない。

この研究は、興味深いことに、肉体的な状態の善し悪しは、寿命そのものを伸ばすのではなく、病気の発症を遅らせる効果が大きいことを統計的に示した。肉体的に健康であったグループは、そうでない場合と比べて寿命も長い傾向にあるが、より重要なのは、老年期をより健康に過ごすことができている点である。」

運動は炎症を予防し、年を取ってからの体力向上や脳を保護する効果がある

運動の効能の一つは、体内の炎症を抑えることです。軽度の炎症が続くと慢性病へと発展していきます。老年期の炎症は特に、様々な障害となり自立を妨げます。事実、老年期の慢性の炎症には、運動が重要な治療法と考えられています。

老年期において運動が脳を保護する効果があることを示す多くの証拠も存在しています。

運動を生涯続けることが非常に体に良いことは明らかであり、若いうちに始めれば、さらに良い効果が得られるでしょう。このことからも、定期的に運動すれば慢性病を予防する効果があることを示した、フィンランドで行われた2009年のメタアナリシスの結果も良く理解できます。

この研究では、様々な病気を抱える患者が運動をすると、有酸素運動能力、筋力の向上が見られたが、有害な影響は見られないことがわかりました。
著者は述べています。

「この結果は非常に重要です。高齢化が進むにつれ、障害なく自立して生活できる高齢者の数を増やすためにも、運動療法の重要性は増していくでしょう。さらに、慢性病の患者におけるリスク予知、死期を遅らせるという点でも運動療法が効果的であることを示す様々な証拠が発表されています。骨関節炎などの疾患では、痛みを和らげる効果があります。運動療法を受けている患者には重度の合併症はあまり見られません。」

40歳までに健康である必要性

年齢が上がるほど、特に40歳の大台に乗ると、体調を整えるのはさらに難しくなります。中年期は、シェイプアップすることが難しく、健康を保つことのほうが楽だと初めて気がつく年代です。女性の場合は特にそうです。CNNのダイエット、フィットネス専門家のMelina Jampolis医師も次の様に述べています。女性は中年期になり、性ホルモンの変化が現れます。

40歳を超えた女性は、エストロゲンが減少し、脂肪組織から分泌されるエストロゲンの一種であるエストロンの分泌が増加します。エストロンは、インスリン抵抗性、甘い物を食べたくなる、筋肉量の低下などに関与しています。

ぽっちゃりしてきたのはホルモンのせいとあきらめますか?仕方ないことは否めませんが、どうにもならないわけではありません。

40代を過ぎると、代謝は10年毎に5%低下していくと、ピッツバーグ大学メディカルセンター内Weight Management Center官長、UPMC Nutrition Center次官のMadelyn Fernstrom博士は述べています。メリーランド医科大学で栄養とストレスを専門にしているPamela Peeke医学博士は、代謝を左右する3つの重要な要素を発表しています。

  • 遺伝
  • 甲状腺の機能(甲状腺の異常は男性より女性に10倍多い)
  • 筋肉量

最新の研究によると、女性は、同年代の男性に比べて平均2倍の量の筋肉を失っていくことがわかっており、これが、体重を落としたり、維持するのが難しくなる原因です。 また、年齢と共に、筋肉細胞にブドウ糖を取り込むAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)が減少し、運動は男女問わず大変になっていきます。

しかし、このような生物学的に内蔵された衰えの仕組みが存在しても、年を取ると必ず太るというわけではありません。栄養をしっかり摂り、適度に運動をすることで、生物学上の現象を抑えることが可能です。少しでも運動をすれば、筋肉を増やし、脂肪を燃焼させるようにDNAが変化します。事実、運動をすることで上述の3つの要素に働きかけ、代謝を上げることが可能です。

さらに、筋肉量の維持に重要な役割を持つ人成長ホルモンの分泌が自然に促進されます。

運動により、心臓発作による突然死を予防

有名人の方が、運動中に倒れて亡くなったというニュースを耳にしたことが誰しもあることと思います。こんな話を聞くと、運動は安全なのか疑わしくなりますね。心臓発作による死亡例は、運動に関係なく発生します。オランダで行われた最新の研究によると、運動時に心停止が起こった場合、運動をしていない時に発作が起こった場合よりも生存率が高いことがわかっています。

研究者グループは、次のことを発見しました。

  • 運動中の病院外心停止における生存率は45%
  • 非運動中の病院外心停止における生存率は15%

心停止の生存率は運動をしている場合のほうが3倍高いことがわかります。さらに、運動中の心停止の生存者には、非運動中の心停止例と異なり、深刻な神経後遺症は見られなかったこともわかっています。統計的にも運動中の心停止のリスクを心配する必要はないことが示されているわけです。 運動中の心停止のリスクより、運動不足による心臓や全身の健康へのリスクのほうが高いと言えます。

長い時間運動すれば良いというわけではありません

健康体を手に入れるには、ランニングマシンで毎日1時間は走らないといけないと思っていませんか?嬉しいことに、この考えはもう過去の神話です。近年では、これが間違いであることが数々の研究でわかっています。最新の研究では、1日に30分運動した人のほうが、毎日1時間運動した人よりも多く体重が落ちたという結果が得られました。直感に反する結果ですが、ほどほどの運動のほうが得られる効果は高い、つまり、半分の時間でより多く体重を減らすことができたと言うことです。

過去の研究では、20分の高強度トレーニングを週に2-3回行えば、週に5回の有酸素運動よりも効果が高いことがわかっています。

フィットネスのプログラムを決める時は、時間、頻度、強度という3つの要素に気を配りましょう。高強度インターバルトレーニングは最も効果が高いのですが、効果を最大にするためには他の要素も重要です。

適切な栄養、目標の設定なども、肉体的な健康を達成するために重要な要素であることを忘れないでください。

インターミッテントファスティングを組み合わせるのも、代謝を整えるのに良い方法です。空腹の状態で運動すると健康や肉体を鍛える効果が高いことがわかっています。エネルギーを得るには、脂肪やグリコーゲンの分解が必要ですが、運動と絶食の組み合わせにより、筋肉中のグリコーゲンよりも、脂肪を多く燃焼させることが可能になります。

Peak Fitnessエクササイズの例

どんなエクササイズするかを考える際は、バラエティが大切です。次の様なエクササイズを検討しましょう。

  • インターバルトレーニング(無酸素)。インターバルトレーニングとは、高強度トレーニングと低負荷の回復時間を交互に繰り返す方法です。
  • 筋肉トレーニング。筋肉トレーニングを盛り込んでエクササイズをより完成度の高いプログラムにしましょう。強度を上げたい場合は、スピードを落としてください。
  • 体幹エクササイズ。背中、腹部、骨盤の周囲には29のコアマッスルが存在します。全身の動きの基礎となる筋肉群です。体幹をしっかり強化して、背中を保護し、背骨や身体の各部位の怪我を防ぎ、バランスや安定性につなげましょう。ピラティス、ヨガなどは、コアマッスルを鍛えるのに適しています。方法はパーソナルトレーナーについて学ぶ必要があります。
  • ストレッチ。私が気に入っているストレッチは、Aaron Mattes氏考案の、Active Isolated Stretching (AIS)です。AISでは、ストレッチした状態を保つのは2秒間だけです。身体の生理的な修復機能を利用して体液循環を促し、筋肉や関節の柔軟性を高めます。これがさらなる治癒効果につながります。