ローズマリーオイル:健康の香り

ローズマリーオイル

早分かり -

  • ローズマリーオイルは古来より様々な症状の治療に広く用いられ、研究の対象とされてきた。今日では、様々な効能が期待され、多くの医療製剤に取り入れられている。
  • ローズマリーのエッセンシャルオイルは汎用性が高く、アロマテラピーでも多くのブレンドに用いられている。
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エッセンシャルオイルとして非常に良く知られているローズマリーオイルですが、Rosmarinus officinalisマンネンロウから抽出されます。地中海地方では一般的なハーブで、料理や薬草として、健康促進のために広く普及してきました。それではこのローズマリーオイルについて、他のハーブオイルとの違いから詳しく見ていきましょう。

ローズマリーオイルとは?

ローズマリーは、ミントの一種で外見はラベンダーと似ており、葉は、少し銀色を帯び、松葉を平たくしたような形状です。ウッディな中にシトラスの漂う香りは、世界中のキッチン、庭、薬店など、数々の空間を彩ってきました。Rosemaryという名前は、ラテン語のros(「しずく」)とmarinus(「海」)に由来し、「海のしずく」という意味があります。

その昔、聖母マリアがローズマリーの茂みの上に青いマントをかけて休んでいると、その白い花がなんと青色に変化したことがきっかけと言われています。その低木が「Rose of Mary(マリアのバラ)」として人々に広く知られるようになったのです。ローズマリーはまた、エジプト人、ヘブライ人、ギリシャ人、ローマ人の間では神聖な植物として崇められ、中世では悪霊を追い払い、疫病を防ぐものとされてきました。

ローズマリーオイルは、爽やかなすっきりした香り、無色透明で粘性が少ないのが特徴です。オイルは、新鮮な花弁から水蒸気蒸留法で抽出され、収率はわずか1-2%です。

ローズマリーの効能は、16世紀、薬草学の理解に多大な貢献をした医師であり植物学者であるドイツ系スイス人、パラケルススによって広められることとなりました。彼は、肝臓、心臓、脳といった繊細な臓器を癒やし、全身の健康を強化するローズマリーの作用を高く評価しました。

ローズマリーオイルの用途

ローズマリー風味のオイルでこしらえたサラダドレッシングをお勧めします。多くの用途があり、非常に丈夫で良く成長するので、屋内でも屋外でも手軽に育てることができます。小枝をスープに入れると独特の香りを楽しむことができます。

エッセンシャルオイルの家庭医学事典「Modern Essentials」では、良質なローズマリーオイルには、鎮痛、抗菌、制癌、抗カタル、抗真菌、抗感染、抗炎症、抗酸化、去痰などの作用があるとされています。

この本には、ローズマリーオイルの用途がアルファベット順にまとめられており、次の症状が紹介されています。

  • 気分をすっきりさせる。1滴を手に取りしっかり伸ばします。口と鼻を覆って1分間待ちます。
  • 。数時間おきに、1-2滴を胸や喉の周りにすり込みます。
  • 頭痛。1滴を手に取り、口と鼻を覆って1分間待ちます。1滴を痛みのある部位へ塗っても効果があります。
  • 記憶力を高める。アロマをたく、瓶から直接嗅ぐ、こめかみに塗り込む、定期的につま先に塗りましょう。
  • 腟感染症。腟の周囲や内部にすり込みます。内部に使用する前に必ずパッチテストをしてください。

ローズマリーオイル、ローズマリー水はシャンプーや化粧水に応用できます。定期的にオイルを使用すると、毛根を刺激し、長くコシのある髪を育てます。オイルで頭皮をマッサージすると、栄養を与え、フケを取り除く効果があります。ローズマリーオイはペットにも安全で、被毛の成長を促し、つやを保ちます。

エッセンシャルオイルには消毒効果があり、マウスウォッシュや口臭予防にも有効です。口内菌を死滅させ、虫歯、歯垢の蓄積をはじめ、様々な歯のトラブルを予防します。ローズマリーの催眠性のある香りは特筆する価値があり、吸入薬として最適です。ローズマリーオイルの香りを吸入する使い方は、キャンドル、香水、バスオイル、芳香剤、化粧品などの他、活力アップ効果もあります。

1対1に希釈したローズマリーオイルは、足首や手首(2-4滴)に塗る、チャクラ(またはvitaflex point)に塗る、直接吸引する、ディフューザーを使う、食事のサプリメントとして用いることができます。

ローズマリーオイルの成分

ローズマリーオイルの主な成分は、α-ピネン、ボルネオール、β-ピネン、カンフル、ボルニルアセテート、カンフェン、1,8シネオール、リモネンです。

Chemistry of Natural Compoundsに掲載されている研究では、アルジェリア領サハラ砂漠に栽培されるローズマリーから抽出したオイルの揮発成分に着目しています。分析の結果、エッセンシャルオイルの98.2%を30種の成分が占めていることがわかりました。主要成分の内訳は、1,8シネオール(29.5%)、2-エチル-4,5-ジメチルフェノール(12%)、カンフル(11.5%)です。

ローズマリーオイルの効能

ローズマリーオイルは古来より様々な症状の治療に広く用いられ研究の対象とされてきました。今日では、様々な効能が期待され、多くの医療製剤に取り入れられています。Organic Factsは次の効能を紹介しています。

  • 消化不良。ローズマリーオイルは、ガス、胃けいれん、便秘、膨満感を和らげます。エッセンシャルオイルは食欲増進効果があるとされています。ローズマリーのエッセンシャルオイルは、肝臓の解毒作用があり、消化の要である胆汁の生成と分泌を助ける効果があることを示す研究があります。
  • ストレスを和らげる。アロマテラピーによる効果の他にも、ローズマリーオイルには、唾液中のコルチゾール濃度を下げる効果があることがわかっています。コルチゾールは、ストレスに対する闘争・逃走反応が起こると唾液中に分泌されるホルモンです。2007年のある研究では、ローズマリーオイルとラベンダーオイルを5分間吸引すると、被験者の唾液中のコルチゾール濃度が著しく低下すること、これが慢性ストレスの危険を減らすことがわかっています。
  • 鎮痛。ローズマリーのエッセンシャルオイルの鎮痛作用も良く知られる所です。頭痛、筋肉痛、関節痛にも広く使われています。患部にすり込んでください。リウマチの治療には蒸し風呂もお勧めです。抗炎症作用があるため、捻挫による痛みや、関節の痛みなどにも効果があります。
  • 免疫機能を高める。マッサージや吸入によってコルチゾールが低下することを示した上記の2007年の研究では、フリーラジカルの活動を抑える作用が著しく高まったことがわかっています。抗酸化物質は、感染や病気を撃退する効果があります。これもまた、ローズマリーオイルをお勧めする理由の一つです。定期的に使用したり、吸引したりすることで、免疫が高まり、フリーラジカルが原因となる病気を撃退することができます。
  • 呼吸器系のトラブル。オイルの香りにより、喉のつかえを和らげ、アレルギー、風邪、喉の痛み、インフルエンザなどの症状を和らげます。消毒作用があるので、ローズマリーオイルは呼吸器系の感染に有効です。けいれんを和らげる効果は、気管支喘息の治療にも用いられます。

ローズマリーオイルは不安症にも効果があるようです。2009年にHolistic Nursing Practiceに掲載された研究では、ラベンダーとローズマリーのエッセンシャルオイルを使った匂い袋が、試験前の緊張を和らげる効果があったことがわかりました。

エッセンシャルオイルの利用は脳の健康にも良いようです。2003年、International Journal of Neuroscience誌に掲載された144人がボランティア参加した研究では、ローズマリーオイルは健康な成人において、気分を改善させる効果があったことがわかりました。アルツハイマー病の患者にも朗報があります。2009年に行われた小規模の研究で、ローズマリー、レモン、ラベンダー、オレンジのエッセンシャルオイルでのアロマテラピーを1ヶ月継続すると、アルツハイマー病患者の認識力を助けることがわかりました。

ローズマリーオイルの作り方

ローズマリーのエッセンシャルオイルは汎用性が高く、アロマテラピーでも多くのブレンドに用いられています。ラベンダー、フランキンセンス、クラリセイジ、バジル、タイム、シトロネラ、レモングラス、カモミール、ペパーミントなどとのブレンドに適しています。

ローズマリー風味のオイルをお試しください。まず、小枝1-2本分のローズマリーの葉を乾燥させたものをガラスの瓶に入れ、さらにオリーブオイルを入れて蓋を閉め軽く振ります。暖かく、暗い場所で2週間ほど保管します。葉をこしたオイルを瓶に戻します。4分の1の量を入浴剤として使います。または、バルサミコ酢と混ぜるとドレッシングのできあがりです。

ローズマリーオイルの効き目とは?

体液の循環を良くする、精神的な疲れをほぐす、鎮痛、気管を広げる、スキンケアやヘアケアなど、ローズマリーには様々な効能があります。また、ディフューザーで、マッサージオイルとブレンドして、浴槽に入れて、クリーム、化粧水、シャンプーなどに入れて、など使い方も様々です。エッセンシャルオイルをお風呂に入れる場合は、おおむね2-3滴が適当です。

ローズマリーオイルは安全?

ローズマリーオイルは、多くの用途や効能があることから、安全で効果の高いエッセンシャルオイルであるように思えます。局所的に使用する前に、キャリアオイルで希釈した物を使うことをお勧めします。肌に直接付けると接触過敏症を起こす可能性があります。かならずパッチテストをしてください。

妊娠中や授乳予定の女性は、妊娠期間中にローズマリーオイルを使わないようにしてください。また、子供に使う場合は、医師に相談してからにしましょう。うつやアルツハイマーなど、慢性病の自己ケアとしてローズマリーを使う場合も、深刻な副作用が考えられるため、専門家への相談が必要です。

ローズマリーオイルの副作用

時に、ローズマリーオイルへのアレルギー反応が見られる場合があります。適切な用法について医師の指示を仰いでください。揮発性があり、吐き気やけいれんを引き起こす場合があります。飲用はできません。

繰り返しますが、妊娠中や授乳予定のある女性はローズマリーのエッセンシャルオイルは使わないでください。胎児への影響や流産の可能性があります。