まだ知らない?筋トレならデッドリフトがお勧め

デッドリフト、トレーニング

早分かり -

  • バーベルを使ったデッドリフトトレーニングは、膝の伸筋/屈筋のトルクや、垂直跳びのパフォーマンスが向上する
  • デッドリフトには、瞬発的な運動時のスピード、パワー増強効果がある
  • デッドリフトは驚く程効果的かつ機能的なエクササイズであり、定番のワークアウトとして取り入れるべきである
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Dr. Mercolaより

筋力トレーニングは、健康維持を目的とした運動の中でも重要性の高いエクササイズです。何もしなければ、年齢と共に筋力や弾力性は衰えます。だからこそ、年齢と共に筋肉トレーニングはますます重要となるのです。

あいにく現在、45歳以上のほとんどの人(75%)が筋力トレーニングを全く行っていません。その結果、骨の劣化(骨粗鬆症)、年齢による筋減少(サルコペニア)、可動域の制限、運動機能の低下、あらゆる痛みを抱えるリスクが増大します。

多くの人が、いつまでも強く機敏でありたいと願い、今は当たり前にできると思っていること(買い物に行ったり階段を登ったりする)を、80歳を超えてもできるような、自立した生活を継続したいと願うことでしょう。

そこで、簡単に(挑戦)できる運動をご紹介します。「デッドリフト」です。これはスクワットやランジ同様、機能的なエクササイズで、定番のワークアウトとして取り入れていただきたいのです。忘れないでください。筋力トレーニングで鍛えられるのは、上半身だけはありません。下半身を鍛える効果も高く、中でもデッドリフトは下半身の運動として驚くべき効果を発揮します。

デッドリフトは運動機能の向上に効果的

バーベルを使ったデッドリフトトレーニングを 10週間おこない、その効果を検証する研究がおこなわれました。週に2回のトレーニングで、膝の伸筋と屈筋のトルクが飛躍的に向上しました。

また、垂直跳びのパフォーマンスも向上していることから、デッドリフトは瞬発力を必要とする運動において、スピード、パワーを増強する効果があることがわかりました。

スピードやパワーは、他のスポーツをしている人、ボックスジャンプなどのプライオメトリックエクササイズをしている人にはもちろん、日常生活に必要な運動機能を維持するためにも大変重要です。

本研究の筆頭著者であるテキサス工科大学のMatt Stock氏によると、デッドリフトは、普段軽視されやすい腰、臀筋、ハムストリング、ふくらはぎなど身体の背面の筋肉群(posterior chain)の強化に効果的であると述べています。

「デッドリフトは、ハムストリング、臀筋、脊柱起立筋など、普段軽視されがちな身体の背面の筋肉群posterior chainに特に効果的である。エクササイズ時に、これらの筋肉をしっかり鍛えなければ、特に年齢を重ねている人では日常生活での様々な危険性が、スポーツ選手では膝の故障につながる危険性がある。」

安全面において―デッドリフトによる腰の怪我を防ぐ方法

重いものを持ち上げるのですから、適切な方法でなければ腰を痛めてしまいます。デッドリフトは、たった週に2回で結果が出る大変効果的な運動ですが、適切な姿勢でおこなわなければ怪我につながります。

脊椎を保護するため、腹筋(へその部分)もしっかり使いましょう。そうすることで胸腰筋膜と呼ばれる脊椎の下部の筋肉が働き、腰をサポートします。

また、重いウェイトに進んだら、手首にリストストラップを着けるのも良いでしょう。リストストラップは、手首が過剰に引っ張られるのを防ぎ、適切な姿勢を保つのに効果的で、怪我やリフトの失敗を防ぐことができます。

認定パーソナルトレーナーの指導を受けるのが理想的です。他のウェイトトレーニングとは異なり、トレーナーの補助は不要です。リフティングをストップする必要があれば、手をはなしてバーを下ろしてください。パーソナルトレーナーの存在で、やる気を維持できますし、適切な姿勢をキープできるよう指導してもらえます。

まず覚えたい2種類のデッドリフト

良く知られているデッドリフトには、コンベンショナルデッドリフト、スティッフレッグドデッドリフトの2種類があります。コンベンショナルでは、ハムストリング、臀筋、体幹を鍛え、スティッフレッグドでは、ハムストリングと体幹によりフォーカスしたものになります。両方を試していただいて構いませんが、初心者の人は、コンベンショナルから始めましょう。American Council on Exercise (ACE、米国運動協議会)による説明をご紹介します。

バーベルを使ったデッドリフトです。バーベルがない場合は、ダンベルで代用してください。デッドリフトの効果は同様です。ダンベルは初心者向きですし、自宅に持っていれば、ジムに行く必要がありません。

バーベルの場合、ダンベルにはない重量のものがあるので、ウェイトの重さを上げたい人向きです。進度に応じて、バーベルに変更すると良いでしょう。

コンベンショナルデッドリフト

開始位置 — バーベルを床に置いた状態から始めます。両足を肩幅くらいまで広げて立ちます。つま先はバーの下に来るようにしましょう。少し前かがみになりしゃがみます。背骨はまっすぐに保ってください。

両太ももの幅より少しだけ広めの位置で、手でバーをつかみます。肩は引き上げずに後方に引き、胸を突き出します。胸を突き出したまま、頭は背骨のラインに揃えます。体幹に意識を集中して背骨が安定するように気を付けましょう。

持ちあげる — 体幹をしっかり使って、かかとで地面を押すように意識しながら引き上げていきます。腰をしっかり使って、肩が丸まらないように後方に引いておきます。バーを持ち上げていきます。股関節周辺とバーが連動するように引き上げましょう。バーは身体から離れないようにキープしながら持ち上げていきます。股関節を前方にバーに押しつけるような気持ちで、殿筋をしっかり使って最後まで引き上げます。

下げる — ゆっくりとバーを下げていきます。股関節(後方に引いたまま下げる)にバーの位置を保ちながら同時に膝を曲げてバーと股関節が連動するように下ろします。脚の前をとおってバーを下ろす際、股関節を後方に引く力が働きます。かかとに体重をかけて、臀筋やハムストリングにさらに働きかけていきます。つま先の上にくるように、バーを床に下ろします。胸は上がったまま、肩は引いた状態、体幹をしっかり使って、背中はまっすぐです。

スティッフレッグドデッドリフト

開始位置 — 両足を肩幅くらいまで広げて立ちます。手は自然に下げた状態です。オーバーグリップ(手のひらが背中側)でバーをつかみます。高重量の場合はオルタネイトグリップ(片手ずつ前側と背中側に向けて握る)にしましょう。バーを安定させ、回転するのを防ぎます。

下ろす — 膝を少し曲げたままでゆっくりとバーを下げていきます。膝を固定しないようにしてください。動作中は常にバーが脚から離れないようにします。重心は足またはかかとの中心にのせます。つま先に体重をかけないでください。股関節を後ろに引き、体幹をしっかり使って脊柱を安定させます。ハムストリングが伸ばされるのを感じるまでバーを下げます。

持ちあげる — ハムストリングが伸ばされるのを感じたら、臀筋を使ってバーを引き上げます。この時、バーは脚の近くにキープし、背中はまっすぐ、肩は下げて後方に引いてください。バーを持ち上げ、まっすぐ立った姿勢になります。股関節を前方にバーに押しつけるような気持ちで、殿筋をしっかり使って最後まで引き上げましょう。

腰痛のある人、初心者にも効果的なデッドリフト

デッドリフトは、最も簡単かつ効果的なエクササイズの1つで、どんな人にも効果を発揮するものです。腰痛持ちの人の間では、適切な方法でデッドリフトをおこなうことで痛みが緩和され、活動範囲が広がると言われています。また、別の研究では、初めてデッドリフトをおこなう人を含む男女のグループで、それぞれ週2回のデッドリフトをおこなったところ男女ともに筋力が強化されたことがわかっています。

最も効果が大きかったのは、デッドリフト初心者の女性です。重要なのは、デッドリフトは一見ハードなトレーニングに見えますが、初心者も可能であり、利用しない手はない運動だということです。全ての運動と同様、まずは可能な重量からスタートし、トレーニングの進行に応じて徐々に増やしていけば良いのです。

スーパースローウェイトトレーニングで筋力強化

筋力トレーニングは、スピードを遅くすることで、高強度の運動に変えることができます。この方法で、他の高強度運動と同じ効果を得られ、やり方次第で、さらいn運動効果が上がります。高齢の方には特にこの方法が適しています。スーパースローウェイトトレーニングは、誤って関節を痛める、繰り返し疲労による怪我を防ぐという意味で、従来型のウェイトリフティングよりも安全だからです。

この技術は、デッドリフトトレーニングの他にも、フリーウェイトやマシンを使ったトレーニングでも応用できます。質の高いマシンを使う利点は、思考を運動そのものに対してではなく、成果に対して集中できることです。一般的なスーパースロートレーニングの運動は、15分前後で終了します。体が十分に回復した状態である必要があるため、週に1-2回のみおこなえば十分です。