食品は気分に影響する?


食品が気分に影響する

早分かり -

  • 食品のチョイスによって、日々、精神面に異なる影響が見られる
  • 気分を良くする食品には、ダークチョコレート、紫色のベリー類、バナナ、コーヒー、動物性のオメガ3脂肪酸、ターメリック(クルクミン)などがある
  • 気分を落ち込ませる食品は、砂糖、麦(グルテン)、加工食品である
  • 発酵食品をはじめ、ホールフード主体の食事は腸内フローラを整え、情緒、精神面に良い影響を与える
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Dr. Mercolaより

気分によって食渇望が起こる、過食する、食欲が減退する、などの現象については良く知られるところです。ですが、反対もまた起こりえます。つまり、食べたものによって気分に影響が出るのです。

食べた直後だけではなく、時間が経過してからも、食生活は内面、外面から精神面の健康を助けます。

食品がどのように気分を左右するのか

精神の健康に良い食品のチョイスについて、どれだけお話しても言い過ぎることはないでしょう。事実、頭とお腹に1つずつ合わせて2つの脳を持っているようなものなのです。どちらも胎児の時に同じ組織から分化したものですから。

これらの器官は、迷走神経(脳から腹部に走る第10脳神経)でつながっています。迷走神経は、腸内菌が脳へ情報を伝達するために使用する第1経路であることは良く知られています。

腸内を健康に保つことは、精神状態にとっても重要なポイントとなります。この点において、現代的な「西洋」の食生活は逆効果な側面を持っています。

遺伝子組み換え食品は、腸内フローラを大きく変えてしまう。これにより、病原菌が活性化し、心身の健康に欠かせない菌は死滅してしまう。

グリフォセート。世界で一番多く使われている除草剤。年間世界中で500万トンが使用される。食品に栄養分の欠如(特にミネラル分。脳の機能や気分のコントロールにとって重要。)を起こし、全身毒性を持つ。

さらに、最新の細胞に関する研究によると、毒性が高く、非常に少ない濃度(ppt)でも発ガン性が高いことがわかった。

高フルクトースの食事も腸内の病原菌の餌となり、善玉菌と取って代わる手助けとなってしまいます。さらに、砂糖には、脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれる成長ホルモンの活性を抑制する効果があります。鬱状態や精神分裂病の状態では、このBDNFの量が非常に少ないことがわかっています。

砂糖を摂ると、慢性の炎症につながる化学反応を助長します。長い目で見ると、炎症は免疫系の機能を妨げ脳に大きく影響します。

最後に、砂糖(特にフルクトース)や穀物はインスリン/レプチン抵抗性や、信号伝達の不具合など、精神面の健康に関連する機能に影響します。

人工の食品の原材料、人工甘味料(特にアスパルテーム)は、脳の機能を低下させます。うつやパニック発作は、アスパルテームの副作用である可能性があることは良く知られています。着色料など、その他の添加物も気分に影響を与えます。

全体的に考えると、このような理由から、腸内の健康を保つことが、精神面にとっても重要なのです。これから、腸の健康を保つ方法についてお話します。ですが、個々の食品のチョイスによって、日々、精神面に異なる影響が見られます。

気分が良くなる7つの食品

次に挙げる食品は、気分を高める効果があると言われています。

1. ダークチョコレート — チョコレートをかじっている時に幸せを感じると言う人、それは偶然ではありません。

アナンダミドと呼ばれる化学物質があります。脳で作られる神経伝達物質で、一時的に痛みや落ち込んだ気持ちを遮断します。「幸福」というサンスクリット語の派生語です。チョコレートの良い点は、この物質を産生することだけで無く、アナンダミドの効果を長持ちさせる、気分高揚の化学物質を含んでいる点です。チョコレートは、新しい抗不安薬とまで言われています。

Journal of Psychopharmacologyに掲載されたある研究の結果では、抗酸化物質が豊富なチョコレートドリンク1杯は、ダークチョコレート約500グラムに相当し、飲まない人よりも気分が落ち着いていることがわかりました。

2. タンパク質 — 良質なタンパク質源として、オーガニックの卵、ゴーダチーズ、アーモンドなどがあり、血糖値を安定させ活力と気分を良くする効果があります。

3. バナナ — バナナには、快楽物質であり、気分を高揚させる天然のドーパミンが含まれます。ビタミンB6をはじめとした神経系を癒やす効果のあるビタミンB群、気分を高めるもう一つの栄養素であるマグネシウムも豊富です。インスリン/レプチン抵抗性がある場合は注意してください。

4. コーヒー — コーヒーは、感情をコントロールに関連する様々な神経伝達物質に影響しています。朝コーヒーを飲むと、幸せな感覚が味わえるかもしれません。また、コーヒーが脳を刺激し、脳由来神経栄養因子(BDNF)が放出され、脳幹細胞が活性化し、新しい神経単位が作られ、脳の健康増進に役立つという研究結果が出ています。興味深いことに、研究により、BDNFの量が少ないと、うつが起こりやすいため、神経単位が作られることで抗うつ効果があることも示唆されています。

5. ターメリック(クルクミン) — クルクミンは、ターメリックの黄色の成分で、ターメリックの持つ様々な薬効のもととなる成分と考えられています。様々な薬効の中でも、クルクミンは、神経保護作用が強く、気分を高め、うつに効果がある可能性があります。

6. 紫のベリー類 — アントシアニンは、ブルーベリーやブラックベリーの深色のもととなる色素ですこれらの抗酸化物質は脳内でのドーパミン(コーディネーション、記憶、気分に影響する)の産生を助けます。

7. 動物性のオメガ-3脂肪酸 — サーモンやオキアミ油などサプリメントに含まれるEPAやDHAは感情面の健康に重要な役割を持っています。Brain Behavior and Immunity誌で発表されたある研究では、オメガ3脂肪酸を摂取した医学生の20%において、不安が減少したことがわかりました。一方、古い研究では、オメガ3脂肪酸は抗うつ剤と同様の効果があり、うつの兆候を予防し、副作用は見られなかったことがわかりました。

気分を落ち込ませる3つの食品

食品は気分を高めることもできますが、落ち込ませることも可能です。気分を落ち込ませる効果のある3つの食品をご紹介します。

1. 砂糖 — 砂糖は血糖値を変動させ、気分も変動させます。特に、気分を落ち込ませる効果についてはもっと影響が大きいです。多くの本で、この話題を扱っていますが、例えば、William Duffy氏の著書、「Sugar Blues」では次の様な記載があります。精製糖を窃取し、気分や精神に影響するのに、少なくとも3つのメカニズムが存在します。

  • 砂糖(特にフルクトース)や穀物はインスリン/レプチン抵抗性や、信号伝達の不具合など、精神面の健康に関連する機能に影響します。
  • 砂糖には、ニューロンの健康に役立つ脳由来神経栄養因子(BDNF)の活性を抑制する効果があります。鬱状態や精神分裂病の状態では、このBDNFの量が非常に少ないことが動物実験でわかっており、これらの症状の原因と考えられています。
  • 砂糖を摂ると、慢性の炎症につながる化学反応を助長します。長い目で見ると、炎症は免疫系の機能を妨げ、うつを発症する可能性が高くなります。

2. グルテン — グルテンは麦、ライ麦、大麦などに含まれるタンパク質で、気分や脳の健康に悪影響をおよぼす可能性があります。事実、多くの研究で、麦は気分を落ち込ませる作用があり、うつや精神分裂症など、さらに深刻な精神疾患に発展する可能性が示されています。小麦と精神疾患の謎の多い関係性を説明する手助けとなる仕組みがあります。小麦はセロトニンの産生を阻害するのです。

セロトニンのような神経伝達物質は、脳だけで無く腸にも存在します。事実、気分をコントロールし、うつや攻撃性にも関与するセロトニンは、脳ではなく腸内に最も多く存在します。麦の場合は特に、うつや精神分裂症などの精神疾患との関連が指摘されてきました。これは、脳を破壊するオピオイドペプチドや、小麦麦芽レクチン(WGA)に神経毒性があることを予備研究で示されたためです。

3. 加工食品 — 気分を落ち込ませる可能性のある加工食品の原料を挙げるときりがありません。砂糖とグルテンの他にも、トランス脂肪酸、合成着色料、グルタミン酸ソーダ(MSG)、人工甘味料やその他の合成原料はイライラや気分の落ち込みと関連があるとされます。

腸内フローラを育み、気分を高め心の健康を守る

Natasha Campbell-McBride博士(大学院にて神経学修了)によると、腸内の毒素は身体から脳に達し、気分の落ち込み、自閉症、ADHD、うつ、精神分裂症や様々な精神疾患の引き金となります。このことを踏まえると、気分を健康に保つためには、腸内フローラを育むことが非常に重要となります。そのために、次の項目を実践してみてください。

砂糖、加工食品、精製食品を避ける。精製糖を摂らないようにすることは、腸内フローラを改善するためにできる最も効果の高い方法であることは言うまでもありません。

伝統的な発酵食品、低温殺菌されていない食品を食べる。発酵食品は消化器系を良い状態に導くために最良の方法です。伝統的な製法の低温殺菌されていないものを食べましょう。理想的には、複数の種類の発酵食品をお勧めします。様々な菌を体内に取り入れましょう。けんこうに良いチョイスをご紹介します。

発酵野菜

ラッシー(インドのヨーグルトドリンク、夕食の前に飲まれる)

ケフィアなどの発酵乳

納豆(発酵した大豆)

青野菜やオオバコなど食物繊維の豊富な食品も食べましょう。1000キロカロリーあたり50グラムを摂取すると良いでしょう。

質の良いプロバイオティクスを摂る。サプリメントを多く摂ることにはあまり賛成はしません(栄養素は食品から摂るべきです)が、発酵食品を食べる習慣のない人には、生菌のサプリメントはお勧めします。研究によると、特定のプロバイオティクスは不安を和らげる効果があることがわかりました。腸から脳への迷走神経経路に働きかけ、GABAの量に影響をおよぼし、ストレスに誘発されて発生するコルチコステロンというホルモンを減少させるというのです。

食品は、心身に大きな影響を与えます。ホールフードを摂ることは、心身の健康のために最も良い方法です。ぱっと気分を良くしたい場合でも、長く気分が優れない場合でも、解決策は薬箱の中ではなく、食料保管庫や冷蔵庫の中にあるのです。