Dr. Mercolaより
ウコン(ターメリック)は、黄色のカレースパイスで、インド料理に頻繁に使われます。しかしこのスパイスは料理の範疇を超えた使い方があるのです。伝統中国医学や、アーユルヴェーダでは、ウコンは古くから医療用に用いられてきました。
伝統医学では、肝臓病、皮膚の症状、呼吸器系、胃腸虚弱、捻挫、関節痛、外傷などに用いられました。
効果についての詳細な記録が医学書などに記されており、ウコン(ターメリック)の有効成分であるクルクミンについては最も研究が進んでおり、健康促進効果、病気の予防効果があることがわかっています。
クルクミンは、ウコンに含まれる有効成分で、抗炎症効果、抗菌や、制癌性など150を越える効能があり、特に制癌性については、様々な研究がなされています。
クルクミンの作用機序については多くの研究報告がなされています。クルクミンの医学的効能は次のとおりです。
炎症性分子
細胞の生存に関連するタンパク質
ヒストン
HIV-1(ヒト免疫不全ウイルス)インテグラーゼおよびプロテアーゼ
DNA、RNA
さまざまな担体タンパク質および金属イオン
これらの効果(または他の要因)の結果、クルクミンには健康を改善する様々な効果があり、多くの疾患を予防する効果があります。2011年にNatural Product Reportsに発表された研究によると、クルクミンは次の症状に治療効果があります。
肺および肝疾患
神経疾患
代謝異常
自己免疫不全
心血管系疾患
炎症性疾患
多くの研究で明らかになった、クルクミンやその他の有効成分の効能を更に詳しくご紹介します。
コレステロール値を最適に保つ
>低密度リポタンパク質(LDL)の酸化防止
血小板凝集を阻害
血栓および心筋梗塞を抑える
型糖尿病の症状を抑える
慢性関節リウマチの症状を抑える
多発性硬化症の症状を抑える
放射線障害による症状および重金属による中毒症状を防ぐ
HIVの増殖を阻害
肥満の人における全身性炎症を抑える
怪我の治癒を促進
肝臓の障害を防ぐ
胆汁の分泌を促進
白内障を予防
肺毒性や線維症を防ぐ
クルクミンは血液脳関門を透過します。この点については、多くの研究者がパーキンソン病、アルツハイマー病などの神経障害に効果のある神経保護剤としての可能性を探ってきました。
クルクミンの持つ強力な抗酸化、抗炎症作用により、全般的な脳の健康を促す可能性があると考えられます。最新の動物実験により、ターメリックに含まれる別の有効成分が、アルツハイマー病に対する神経保護効果があることが発見されました。
ツルメロンと呼ばれるこの成分は、脳の修復、再生に重要な役割を示す内在性神経幹細胞(NSC)の成長を促します。研究責任者のAdele Rueger氏は次のように述べています。
「脳内で幹細胞増殖を促進するとされる物質は複数ありますが、幹細胞の分化を促進する薬剤はあまりありません。再生医療における大きな課題です。芳香族ツルメロンの発見は、この課題を解決する第一歩となります。」
クルクミンも有用である可能性があります。過去の研究では、Alzheimer患者の脳内に破壊的なβアミロイドが蓄積されるのを阻害する、アミロイド斑を分解するなど、クルクミンの作用が明らかにされています。アルツハイマー病患者では、脳に強度の炎症がある場合が多いため、クルクミンの抗炎症作用の効果も期待できます。
クルクミンは、シクロオキシゲナーゼ-2(COX2)および5-リポオキシゲナーゼ(5-LOX)酵素の活性および炎症性の代謝副産物や、炎症を引き起こす他の酵素およびホルモン類を阻害する可能性があります。
クルクミンの抗炎症作用により改善が期待できるもう一つの疾患は骨関節炎です。2011年に発表された研究では、治療の一環として1日につき200mgのクルクミンを摂取した患者において、対照群と比較して、痛みが減少し、可動性が増加したことがわかりました。従来の研究では、ターメリックエキスが、炎症反応の経路をブロックし、腫れや痛みを誘発するタンパク質の作用を阻害することがわかりました。
ウコンにより改善が期待できる、注目すべき疾患はガンです。クルクミンは、ビタミンDとともに、様々な文献でガンに対する効能が実証されている成分です。以前インタビューでお会いした自然療法によるガン治療をおこなうWilliam LaValley医師によると、クルクミンはどんな種類のガンにも効果を持つ可能性がある点が特殊であると述べています。
ガンの持つ多様な分子病理を考慮すると、これは奇妙なことです。様々ガンに効果がある理由は、クルクミンが、様々な分子にたいして複数経路から作用するためです。
細胞に入ったクルクミンは、100以上の分子経路に作用します。LaValley医師の説明によると、クルクミン分子は特定の分子を活性化する、または非活性化するかにかかわらず、有効な抗がん作用があることが多くの研究でわかっています。さらに、クルクミンは毒性がなく、健康な細胞には影響しません。選択的にガン細胞に作用するのでガン治療に有用です。
他の研究では、クルクミンは特定の化学療法薬と相乗作用し、ガン細胞の排除を促します。
クルクミンは、消化器系の健康を維持する効果があり、ヘリコバクターピロリ(H.pylori)への感染による胃炎、消化性潰瘍、胃ガンへの効果が期待されています。世界の全人口の半数以上がヘリコバクター・ピロリに感染していると考えられ、世界保健機構(WHO)が発癌物質のGroup 1に指定しています。
伝統的には、ピロリ菌感染症の治療は抗生物質が使われます。しかし薬剤耐性が増し、治療は困難になってきています。
クルクミンは新しい治療法として有望です。2009年におこなわれた研究によると、クルクミンは、試験官内では菌の遺伝子構造に関係なく、ピロリ菌の成長を抑制できることがわかっています。マウス実験では、クルクミンはピロリ菌の感染症に非常に有効であることがわかりました。マウスでは、ピロリ菌の根絶、ピロリ菌による胃のダメージを修復する効果が見られました。
多くの食料品店でウコン(ターメリック)を扱っていますが、臨床効果を得るには料理に使うだけでは十分ではありません。ターメリックに含まれるクルクミンはわずか3%である上、体内に吸収されにくく効果を得にくいのです。そのまま用いても、含有量の約1%しか体内に吸収されません。
10分ほど煮ると、12%のクルクミン溶液ができます。冷やして飲んでください。樹木系の風味があります。溶液中のクルクミンは時間と共に失われていきます。6時間で約6%まで下がりますので、4時間以内に飲むようにしてください。
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