ストレッチ

早分かり

  • よく耳にする静的ストレッチ(伸ばして60秒維持する)は、組織を傷つける可能性がある。
  • アクティブ・アイソレーテッド・ストレッチ(AIS)では弱めの力で押し2秒間のみ維持するストレッチ法で、怪我のリハビリや稼動域を広げ、柔軟性を高めるのに適している。
  • AISのトレーニングは、身体の構造に沿った動きを取り入れ、筋肉や筋膜組織を伸ばす。不要な力をかけないため、身体の防御機能が反応することがなく、安全で効果的なストレッチや全身の柔軟性の妨げとなることがない。
  • 運動の効果を最大限に得るために、Peak Fitnessなどの高強度筋肉トレーニングだけでなく適切なストレッチが必要である。
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一般的なストレッチが筋肉や腱を傷つける可能性

2016年4月8日 | 1,982 ビュー |

Dr. Mercolaより

健康状態を良好に保つためには運動が欠かせないということは、これまで幾度となく言い続けてきました。エクササイズは体にとってどんな薬よりも効果があります。実際に同じ効果の薬があれば驚くべき値段が付くことでしょう。

薬と同じで、量が肝心です。使う量を間違えれば望む結果は得られません。

やりすぎたり足りなかったりと言うことが良く起こるのです。私の話を聞いてみてください。私は、他人の失敗から学ぶことを信条にしています。どうぞみなさんも私の話から何かを得ていただきたいと思います。

何十年も続けてしまった運動に関する失敗

私はかれこれ40年はエクササイズを続けていますが、多くの時間をランニングなどの標準的な有酸素運動に費やしてきました。約10年前でしょうか、筋肉トレーニングをはじめ、2年前にはPeak Fitnessと呼ばれる高強度トレーニングを取り入れました。トレーニングの仕上げにやっているのは今では、柔軟体操のみです。

私が犯した大きな間違いは、長年一種類のエクササイズにだけ集中してしまったことです。他のエクササイズを仕上げとしておこない、その日のトレーニング効果を完全な状態で締めくくることができたのにそれをほとんどしないままでした。

40年も運動を続けているので、心血管系はとても健康ですし、筋肉トレーニングで筋力もしっかりしていますが、それでも痛みや凝りがあり、特に腰はかなり痛むのです。

みなさんも同感だと思うのですが、フィットネスの一番の目的は、心臓が強くなることでも筋力を付けることでも見た目が良くなるためでも内ですよね。本当のフィットネスとは、全方向に自由に制限なく、可動域(ROM)一杯に動き回れることで、これさえできれば、人生の素晴らしい活動が何でも可能です。

歩くこと、階段の上り下りが痛み無くできること、また、痛みに邪魔されずに運動できることも条件です。健康であることに加え、痛みがないこと、つまり、子供の頃と変わらず自由に楽々と動き回れる状態というのは人生の喜びの1つです。こういうわけで、柔軟体操をエクササイズの一部に付け加えたのです。

静的ストレッチより動的ストレッチのほうが効果が高い理由

ストレッチをしたことがある方の多くが、専門家の多くが勧める方法を試したのではないでしょうか。60秒間は伸ばした状態を維持する方法です。この静的ストレッチのテクニックは何十年もの間、絶対的なルールとされてきました。しかし、静的ストレッチを長時間おこなうと、血流が返照し、局所的な組織の虚血(血流の途絶え)や、乳酸の蓄積が起こることが最新の研究でわかってきています。これにより、局所的な、筋肉、腱、リンパや神経組織の炎症や怪我が発生する可能性があります。

従来のストレッチ法をいくつか調べる内に、Egoscue Methodを発見しました。いくつかの所定の姿勢でストレッチや特殊なエクササイズをおこなうもので、個別のニーズに合わせたエクササイズが可能です。Egoscueは、筋肉のバランスを回復し、骨格のアライメントを整える作用があるため、痛みの軽減する自然療法としても採用されています。このメソッドは、私にはとても効果がありました。椅子から立ち上がる時や車の乗り降りの時に感じていた痛みが無くなったのです。

今年の初め、あるパーソナルトレーナーに会う機会があったのですが、彼女は、自分のセラピーを怪我の回復期の患者向けに微調整した案を提供していました。特殊なストレッチのテクニックで、怪我の回復を助けるだけでなく、多発性硬化症(MS)やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)といった筋組織が変性する慢性の疾患にも効果があることがわかりました。

素晴らしいメソッドだと感じましたし、すぐに、改善効果の鍵となっているのは、筋膜(筋肉を覆う結合組織)を動かすことであるということにも気がつきました。筋膜を動かすことで、筋肉全体の状態を改善させる、微弱な電気信号が発生しているのです。過去に覚えたアクティブ・アイソレーテッド・ストレッチ(AIS)というテクニックにあらためて取り組み始めたのはその時でした。

アクティブ・アイソレーテッド・ストレッチ(AIS)とは?

AISは、フロリダ州サラソタにクリニックを構えるAaron Mattes氏が考案したメソッドです。Matte氏は、過去40年間において、オリンピック選手やプロスポーツ選手など、多くの患者に接し、数々の成果に貢献してきました。

私も、毎日の運動に約45分間の、首、肩、脚、足のストレッチを習慣にしています。上半身のストレッチは、ウェブビデオや音源を確認しながらなど、どうせしなければならないことと一緒にするようにしています。首のストレッチはPC作業時に、脚/足のストレッチは寝床の中でするようにしているので、どんなに忙しいスケジュールでも大丈夫です。

AISとはどんなものなのでしょうか?

アクティブ・アイソレーテッド・ストレッチ(AIS)は、エクササイズの前のウォームアップ、トレーニングのほか、最も重要な機能として、怪我のリハビリに取り入れることができます。この点は非常に重要です。誰しも一度は運動中に怪我をすることがあるものですから。怪我の後、体を動かせない期間が続くと、筋肉や関節が、柔軟性、可動域、強度や全体的なスタミナを失ってしまいます。

Peak Fitnessのエクササイズを始める以前に、ハムストリングを断裂する怪我をしたことがありました。屋外で全力走をしていて左脚のハムストリングを傷めてしまったのです。具体的には、大内転筋が坐骨(坐骨結節)に停止する箇所です。その後数年間は怪我をだましながら過ごしましたが、AISストレッチを始めてやっと完治することができました。

AISは所定の動きを繰り返すストレッチで、決まった順番で筋筋膜(筋肉および結合組織)の怪我や可動域の制限に働きかけていきます。AISのトレーニングは、身体の構造に沿った動きを取り入れ、筋肉や筋膜組織を伸ばします。不要な力をかけないため、身体の防御機能が反応することがなく、安全で効果的なストレッチや全身の柔軟性の妨げとなることがありません。

はじめに、ストレッチが必要な筋肉や組織を特定します。分かり易い場合もありますが、ほとんどの場合は、どの筋肉にどのエクササイズが必要かを専門家に判断してもらい、プログラムを作ってもらう必要があります。次に弱めの圧をかけながら、ストレッチした状態を2秒間だけ維持します。身体の生理的な修復機能で体液循環を促し、筋肉や関節の柔軟性を高めます。

AISをやってみよう

あまり強い力をかけないように気を付けてください。ゴルジ腱が反応して筋伸張が起こらないようにする必要があります。身体の防御反応として起こる筋伸張により、ストレッチ効果が妨げられてしまいます。AISの効果的な実施法をご紹介します。

  • まず、ストレッチする方向へ関節をもう伸ばせない所までしっかり動かしてください。これは、このエクササイズのACTIVEと言われる部分です。ストレッチの妨げとなる拮抗筋を活性化します。この動作がしっかりできていないと受動的に筋肉をストレッチするだけになり、効果がありません。このエクササイズでは良くある失敗例です。
  • 弱めの圧(500g程度)をかけながら筋肉を徐々に伸ばしていきます。可動域のぎりぎりの所まで伸ばしたら「2秒間」維持します。
  • 一気に押さないでください。数回に分けて少しずつストレッチしながら、可動域を広げていきます。
  • 約10回一セットを数回おこないます。
  • セラピストに見てもらいながらでも、自宅で定期的におこなうストレッチエクササイズとしてもかまいません。

重要なのは、次のセットを始める前に、必ず伸びている筋肉をスタート時の体勢に戻すことです。これにより、組織に血流が戻り、酸素が運ばれ、リンパ液から栄養素が供給されます。また、ストレッチと共に、老廃物も排出されます。

伸張反射が起きていないかにも注意が必要です。軽い炎症が起きてもおかしくない所まで組織が伸ばされているためです。2秒間維持したら圧を緩めて、伸ばされている組織が、反射的に収縮するのを防ぎます。ストレッチ中はしっかり息を吐くように気を付けてください。組織や筋膜にしっかり酸素を送る効果があります。

「労力なくして得るものなし」という表現は、このストレッチについても他のエクササイズでも非常に危険です。関節、筋肉、筋膜やその他の結合組織を不要な力にさらしてしまいます。関節をストレッチするエクササイズや特異性が適切でないトレーニングは、トレーニングの対象とする組織を危険にさらすだけです。

アクティブ・アイソレーテッド・ストレッチ(AIS)を試したい方へ

理想的には、お住まいの地域のセラピストに相談して指導を受け、トレーニングプランを作成してもらうことをお勧めします。

全身の健康を良好に保つといっても、体重を少し減らしたい、筋肉を付けたい、姿勢を良くしたい、スタイルアップ、筋力や敏捷性を高めたい、長生きのためなど目標は様々だと思いますが、ストレッチ、高強度Peak Fitness、筋肉トレーニング、体幹エクササイズなどが包括的に盛り込まれたフィットネスプログラムをお勧めします。
出典および参考資料
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