Dr.Mercolaより
便秘の治療を目的として購入される市販(OTC)の下剤の売り上げは、年間70億ドルと言われます。
しかし、下剤の使用には細心の注意が必要です。腸機能が低下するなど意図しない結果や、米国FDAも警告しているように命に危険が及ぶ可能性があるのです。
便秘の悩みは、食生活やライフスタイルを少し変えるだけで改善されます。薬や下剤は使っても最後の手段とし、むしろ使わない方が良いのです。
FDAは、市販の塩類下剤(Fleetをはじめとする複数の銘柄)の使用による13件の死亡例(成人12名、子供1名)を受け、警告を出しました。これらの製品の有効成分は、リン酸ナトリウムで、腸内の水分量を増やすことで便を柔らかくして排便しやすくする作用があります。 しかし、下剤の量が多過ぎると、脱水症状や、血中の電解質濃度の異常を起こし、腎臓、心臓の異常や死亡につながる可能性があります。FDAは次の様に発表しています。
「便秘改善のために、24時間以内に市販のリン酸ナトリウム製剤を複数回服用すると、まれに、腎臓や心臓に重度の有害症状が現れ死に至るケースもある。市販のリン酸ナトリウム製剤は、経口液剤や、大腸への注腸剤の場合が多い。 FDAは、市販のリン酸ナトリウム製剤の推奨量を越える服用が、重度の脱水症状や血清電解質濃度の変動をもたらし、腎臓や心臓などの臓器に重度の有害症状を起こし、死に至る場合もあるとの報告が複数あることを認識した。影響を受ける血清電解質は、カルシウム、ナトリウム、リン酸などがあります。」
「便秘改善のために、24時間以内に市販のリン酸ナトリウム製剤を複数回服用すると、まれに、腎臓や心臓に重度の有害症状が現れ死に至るケースもある。市販のリン酸ナトリウム製剤は、経口液剤や、大腸への注腸剤の場合が多い。
FDAは、市販のリン酸ナトリウム製剤の推奨量を越える服用が、重度の脱水症状や血清電解質濃度の変動をもたらし、腎臓や心臓などの臓器に重度の有害症状を起こし、死に至る場合もあるとの報告が複数あることを認識した。影響を受ける血清電解質は、カルシウム、ナトリウム、リン酸などがあります。」
FDAが受け取った塩類下剤に関する報告書は合計54に達します。1回の用量を多く服用する例と、一日の服用回数が多い(服用後に効き目があらわれないため)例が報告されています。 副作用を経験した人すべてがFDAに症状を報告しているとは考えにくく、実際はもっと多くの副作用の事例があることが考えられます。FDAは、次の条件に該当する人に塩類下剤の使用による重度の副作用が起こる可能性があることを指摘しています。
下剤の使用を避けたほうが良い第一の理由は習慣性がついてしまうことです。刺激性下剤については特に言えることです(Exlaxなど)。刺激性下剤は腸の筋肉を刺激して腸運動を亢進します。「天然成分」として市場に出ているセンナや桂皮も習慣性があり、危険です。 このような下剤により、大腸の収縮力を弱め、長期連用すると、大腸の神経、筋肉や他の組織を傷めてしまいます。市販の下剤の連用は、大腸がんのリスクが高くなるとされています。
このような理由から、また、便秘は自然な方法で簡単に改善できますので、下剤の使用はなるべく避けて、最終手段としていただきたいのです。どうしても下剤が必要な場合は、連用しないように気を付けてください。
市販の便秘薬の市場がこれほどまでに大きいのは、アメリカ人の多くが便秘に苦しんでいるということです。アメリカ人の19%が便秘を抱えており、高い年齢層ほど多く、男性よりは女性に多いと推測されています。
便秘とは、便が固く水分が少ない、いきまないと排泄できない、便通が少ない状態のことをいいます。いきんだり、すっきり出た感じがしない、膨満感、けいれん、排便後の脱力感などの状態は正常ではありません。65歳以上の方の場合、非常に便秘になりやすくなります。
定期的な排便は健康に欠かせないものです。腸に便が残ったままだと、毒素が溜まり、血中に吸収されてしまいます。定期的に排泄しなければ、老廃物は水分を失い、腸壁にこびりついてしまいます。
慢性的な便秘を放っておくと、重症の宿便となる可能性があります。便秘は、大腸ガンのリスクを増加させ、憩室症や虫垂炎の原因ともなります。
便秘の原因として多いのは、下剤の連用、甲状腺機能低下、過敏性大腸症候群(IBS)、便意がある時に我慢する、などがあげられます。公衆トイレが嫌だなどの理由で便意がある時に我慢をしてばかりいると、便意を感じなくなってしまいます。医学的には、便通が週に2-3回より少ない場合を便秘と定義していますが、一日一回、もしくは、お通じがある方が良いのです。2-3回ならなおのこと良いです。一日に一回以下の方は、お通じが増えるように対策をしてください。
便秘気味の方、食生活を変えましょう。栄養分も繊維も豊富なホールフード、特に新鮮なオーガニックの野菜や果物を摂りましょう。繊維分は穀物ではなく、野菜から多く摂るようにしてください。穀物には、健康に有害な抗栄養素が含まれます。全粒穀物は繊維分を摂るのに最も良いと言われ続けてきていますが、皮肉なことに、繊維分の多い外皮の部分、つまり、全粒穀物の「whole」(全)たる部位に、抗栄養素がたくさん含まれています。
また、穀物には、粘り気のあるプロラミン(小麦のグルテンも含まれる)というタンパク質を含んでいます。プロラミンは、精製小麦粉より繊維分が多いことから得られる全粒穀物の効果を相殺してしまう成分です。
健康な腸の方で、一日に必要な繊維の量は少なくとも32gです。これだけの量を摂れている方はほとんどいないでしょう。繊維の多い食生活を考える時、全粒穀物を選択したい気持ちを抑えてください。代わりに、野菜、ナッツ類、種子類を多く摂りましょう。水溶性、不溶性食物繊維を多く含むホールフードをご紹介します。
人間の消化器官では繊維を分解することはできません。繊維は、大腸内(腸内フローラの大部分が存在する)で消化されないままです。腸内フローラが健康であれば、つまり善玉菌が多い状態であれば、これらの菌が繊維をえさにして増殖していきます。
しかし、腸内に病原菌やイースト菌が多いと、繊維分によって症状が悪化します。繊維はどの腸内菌にとってもえさとなるためです。腸内に悪玉菌が多い状態であれば、これらの菌が繊維をえさにして増殖し、症状が悪化してしまうのです。
便秘の場合、野菜から多くの繊維分を摂ることは重要ですが、腸内環境が整っているかどうかにも気をつけなければなりません。そのためには、糖分を控え、食事にザワークラウト(低温殺菌されていないもの)や、ピクルス、ケフィア(乳製品が食べられる場合)などの発酵食品を取り入れましょう。
食事だけでは、善玉菌を十分に摂れていないようであれば、生菌のサプリメントを使ってみてください。生菌は、特に便秘に悩まされることの多い妊婦さんの間で効果が見られました。
便秘は、痛みもありますし非常に不快なものです。しかし、死亡例まで出ているような危険な下剤を使わなくても簡単に解消できる症状です。もし便秘に効果のあるサプリメントを選ぶなら、マグネシウムは効果抜群です。事実、多くのよく知られた便秘薬、たとえばマグネシア乳などにはマグネシウムが含まれています。大変重要な栄養素なのですが、マグネシウムが不足している人が多いため、賢い選択です。
カルシウムを飲んでいる場合はやめてください。便秘の症状が悪化します。興味深いことに、麻薬性鎮痛薬のコデインやヒドロコドンにも同様の効果があります。
スクワットのような、体の構造を利用した療法も素晴らしい効果があります。便通を促すために丁度良いしゃがんだ体勢をキープできる装置もあります。この方法は、次の4つの点で便秘予防効果があります。
上述のような食生活の改善の他にできる便秘解消の対策がまだあります。
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