ココナッツオイルが虫歯に効く理由

ココナッツオイル

早分かり -

  • ココナッツオイルには、天然のラウリル酸が多く含まれており、ウィルス、バクテリアや原虫に至るまで様々な病原体に対する防御効果がある。
  • アイルランドの研究者グループによると、酵素処理によって人体で消化された時と同様の状態となったココナッツオイルは、連鎖球菌(口内に多く存在し、歯垢の蓄積、虫歯、歯肉炎の原因となる)を強力に抑制することが分かった。
  • 健康的な食生活(糖分、ご供物、加工食品を少なく、発酵食品、ホールフード、牧草で育った家畜の肉を多く摂る)でも、口内の環境を改善することができるが、歯垢のトラブルを解決するのは困難である。
  • 口腔内の病原菌や毒素が血流内に取り込まれれば、口内だけの問題では済まず、全身に、二次感染や慢性疾患を引き起こす可能性がある。
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Dr. Mercolaより

ココナッツは、地球上に存在する食品の中でも高い栄養価を誇る食品の一つで、何千年もの間主要な食品であり続けています。熱帯地方の原住民達が何千年も前から知っていることに、西洋の科学がやっと追いつこうとしているのです。ココナッツが特殊である理由の一つに、天然の抗菌作用があげられます。

ココナッツオイルは特に、天然のラウリル酸が多く含まれており、ウィルス、バクテリアや原虫に至るまで人間にとって害になる様々な病原体を破壊する効果があります。

アイルランド、アスローン工科大学の生物科学研究所の研究者グループは、虫歯の原因菌に対するココナッツオイルの殺菌能力に関する実験に着手しました。

研究主任Damien Brady博士によると、虫歯は、先進工業国において児童および大多数の成人の60-90パーセントが罹患しており、多くの国で見落とされがちな問題であると述べています。研究チームは、ココナッツオイルの抗菌作用について、天然の状態と、酵素処理された状態(人体で消化したのと同様の状態)の二通りの実験をおこないました。

実験に用いられた菌は、連鎖球菌で、口内に多く存在するものです。

実験の結果、酵素処理したココナッツオイルは、虫歯の主な原因菌であるミュータンス連鎖球菌をはじめとする様々な連鎖球菌の成長を非常に強力に阻害することが分かりました。酵素で分解されたココナッツオイルの脂肪分は酸となり、特定の菌に毒性を示すためです。酵素処理したココナッツオイルは、カンジダ症の原因菌である、イースト菌の一種、カンジダアルビカンスにも毒性を示します。

Brady博士は次のように述べています。

酵素処理をしたココナッツオイルを歯のお手入れに用いることで、様々な化学添加物の代替品として期待できる。低い濃度でも効果があるという点も優れている。また、抗生物質耐性菌の増加も考慮にいれて、微生物による感染症について、抗生物質に頼らない対抗策を考えることも重要である。」

この研究により、腸内での抗菌作用への理解も深まり、強い免疫機能のために必要なバランスの良い腸内フローラを維持するために役立ちます。

「我々の研究データは、人体の消化作用によって生成された物質が抗菌作用を持つことを示している。このことは、菌がどのように消化管に定着するのか、また、腸内の健康状態とも関連が深い。」 とBrady博士は説明しています。

ココナッツオイルの様々な健康増進効果

ココナッツオイルには、様々な健康増進効果があります。抗菌作用の他にも、ココナッツオイルには次のような効果があります。

  • 心臓の健康を促進
  • 甲状腺の機能を正常に保つ
  • 免疫機能を強化する
  • 身体の燃料として代謝力をサポートする
  • 肌を健康的で若々しく保つ

ココナッツオイルの主な効用の一つとしてあげられるのは、脂肪分の50%がラウリル酸であり、ココナッツオイルほど多くラウリル酸を含む物質は自然界にそう多くありません。実際、ココナッツオイルは、地球上のどの物質よりも多くラウリル酸を含んでいます。ラウリル酸は体内でモノラウリンに変換されます。モノラウリンはモノグリセリドであり、ヒト免疫不全ウィルス(HIV)、ヘルペスウィルス、インフルエンザウィルス、麻疹ウィルスなどの脂肪の膜で覆われたウィルスや、グラム陰性菌、ランブル鞭毛虫などの原虫に対する殺菌作用を持っています。

ココナッツオイルのもう一つの抗菌成分は、含有量の少ないカプリン酸です。

ココナッツオイルには、中鎖脂肪酸(MCFAs)も含まれています。中鎖脂肪酸の分子の長さは、植物油や種子油に一般的に含まれる長鎖脂肪酸の約半分です。中鎖脂肪酸(MCFAs)は消化が早く、細胞膜を素早く通過し、直接肝臓に送り込まれ、脂肪として蓄積されずにエネルギーとして消費されます。ココナッツオイルは、消化器系に負担をかけず血中のインスリン濃度が急激に増加することもありません。

これまでの食生活は口内の健康にとって万全ではありません

1900年代に、Weston A. Price博士は、口内の環境と身体的な疾患の関連性についての詳細な研究をおこないました。研究の結果、原始部族の中で健康面において良好だったグループは、古代からの知識や食生活を生活に取り入れていたことを発見しています。

健康であった部族と病気の多い部族の相違点は、伝統的な食生活(全部族が該当する)をおくっていたかどうかだけではなく、健康を維持していた特定の部族だけが持っていた知識の蓄積によるものであったとPrice博士は理由づけています

遺伝的な祖先も食した伝統的な食生活(新鮮、未加工の野菜、ナッツ類、牧草を食べて育った動物の肉を豊富に摂取する)は、口内環境が良好であるために重要なポイントです。しかし、口内や全身の健康にとって良い効果をもたらす伝統的な食生活も、口内環境にとって完璧ではないかもしれないのです。

もちろん、ジャンクフードや、糖分は確実に虫歯の原因です。ですが、それ以上の何かがあるに違いありません。古代の人々にも虫歯は見られます。精製糖や小麦粉を食することはない時代です。また、現代では、野生動物にも虫歯が発見されています。イルカも例外ではありません。炭水化物を食することは無く、食べているものは、魚、イカ、甲殻類だけであっても虫歯が発見されているのです。明らかに、伝統的な食生活だけではこの現象の説明がつきません。でなければ古代の人々や野生動物に虫歯が見られるはずがありません。

歯垢をつけない習慣その1―発酵野菜

過去に、歯垢に悩まされたことがあり、毎月歯医者に通いました。ブラッシング、デンタルフロス、イリゲーターでの洗浄も効果はありませんでした。しかし、2011年の11月に、歯垢のトラブルを解決する2つの自然療法のうちの一つを知ることとなりました。それは果たして何でしょう?食事に、良質な発酵野菜を取り入れることです。

発酵野菜にはたくさんの善玉菌が含まれています。消化を助け、口内菌の環境を整える効果があります。発酵野菜を食べ始めて歯垢の量が50%減少し、柔らかくなりました。その後、あらたに、ココナッツオイルのオイルプリングも始めました。同時に、歯垢が最も溜まりやすい歯と歯茎の境目に適切な角度で歯ブラシを当てるように練習を重ねました。

歯垢をつけない習慣その2―オイルプリング

昨年から試している二番目のテクニックはココナッツオイルを使った「オイルプリング」と呼ばれる方法です。この方法で、歯垢の量がさらに50%減り、歯医者に行く回数が減りました。オイルプリングは数千年前にさかのぼる、アーユルヴェーダ医学に起源を持つ方法です。ココナッツオイルの抗菌作用とオイルプリングの効果で、口内の環境を守ることが可能です。

伝統的にはゴマ油を使うのですが、オメガ6脂肪酸を多く含んでいます。この点でココナッツオイルがはるかに優れています。味の面でもゴマ油より良いのではないでしょうか。機能面、生物物理学的な面では、どちらも効果は変わりありません。

オイルプリングは簡単です。基本的に、ココナッツオイルでうがいをするだけです。マウスウォッシュと同じです。オイルを口の中で押したり引いたり、歯と歯の間をとおしたりしながら口内に15分間行き渡らせます。気になる方(私もそうです)は、30-45分間続けてもかまいません。この間に、オイルによって菌やウィルス、食べかすなどが洗い流されます。

一番効果の高い時間帯は朝一番の朝食前です。実行することの方が大事ですので、他の時間帯でもかまいません。私の場合は、スケジュールの都合がつけば一日2回を目指しています。終わったら、油は吐いて、水でうがいしてください。菌や毒素がはいっていますから、絶対に飲み込んではいけません。

適切におこなわれると、オイルプリングは非常に優れた洗浄、解毒、治癒効果が期待できます。

カンジダ菌や連鎖球菌は口内に多い菌ですが、これらの菌やその排出物が全身の二次感染や慢性的な炎症に加え、歯垢の蓄積や虫歯の原因となっています。オイルプリングにより、これらの病原体が口から、血液をとおして全身に広まるのを防ぎ、免疫系に負担となる毒素の量を減らすことができます。

オイルプリングの潜在的な効果は口だけにはとどまりません。オイルプリングを習慣にしている人には、関節炎、糖尿病、心臓病など、全身性の問題が急速に軽減した例が多数報告されています。自然療法医でありココナッツの治癒効果についての専門家でもあるBruce Fife医師は、オイルプリングの清浄効果を次のように説明しています。

「車のエンジンにオイルを使うのと同じです。オイルが汚れやほこりを吸着します。オイルを捨てれば、汚れやほこりも一緒に排出され、エンジンはきれいな状態になります。その結果、エンジンはスムーズに稼働し長持ちするのです。同様に、体内から有害物質を排出すれば、健康状態は改善し、スムーズに長く健康を保つことができます。」

歯科的な衛生状態を適切に保つことが、口内そして全身の健康にとって重要です。虫歯を防ぐために、フッ素水を飲む、フッ素入りの歯磨き粉で歯を磨くなどは良い選択とはいえません。フッ素は鉛よりも有毒です。重要なのは、食生活と歯のケアの方法です。しっかり磨いてフロスをかけることです。糖分や加工食品を減らすと、虫歯の原因となる菌の繁殖を抑えることができます。

一日2回は歯磨きをするか、フロスを使いましょう。また、定期的にホリスティック歯科医や衛生士などプロの手でクリーニングを受ければ、歯と歯茎の健康をしっかり確保できるでしょう。現在の歯のケアを充実させるために、オイルプリングを試してみると良いでしょう。

伝統的な食生活をおこない、加工食品や精製糖を使わないことに加えて、オメガ3脂肪酸を十分に摂るようにしましょう。最新の研究結果によると、オメガ3脂肪酸を少量摂取するだけでも歯肉炎の予防効果があることが分かっています。オメガ3脂肪酸を摂取するのにお勧めするのはクリルオイルです。

糖分については、ニュージーランド産のマヌカハニーには、歯垢を減らす効果があるとされています。マヌカハニーはマウスウォッシュ液と同等の効果があり、キシリトールなどの虫歯に良いとされる糖アルコールと比較しても歯垢を減らす効果が高かったとの研究報告があります。これは、ハチミツの抗菌作用によるものです。臨床試験では、マヌカハニーは、抗生物質耐性菌を含む約250種の菌を死滅させるという結果が出ています。

ココナッツオイルを使ったオイルプリングは、口内ケアに使う費用としてはお財布に厳しいかもしれません。しかし、刺激の強い毒性のある化学物質に替わる天然素材の選択肢があるということに気がついていただければと思います。