患者25人に1人が院内感染に罹患する

病院

早分かり -

  • 人命に関わる重大な医療ミスが1日約4万件も発生している。
  • 致死率の高い感染症が拡大する場所は、実は病院であることはよく知られている。アメリカ疾病予防管理センターによると、患者25人に1人の割合で院内感染に罹患するとの報告がなされている。
  • アメリカでは2011年に、約72万2千人が、急性期病院での治療中に院内感染に罹患した。
  • この報告書によると、2008-2010年の間に患者の全てが評価の高い医療機関で治療を受けていれば、164,470件以上の院内発生合併症が避けることができた可能性があると示唆しています。
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Dr. Mercolaより

2011年にHealthgradesが実施した全米医療の質に関する研究では、アメリカ全土で一日に発生している医療事故のうち、4万件が重度または人命に関わるミスであると報告しています。

致死率の高い感染症が拡大する場所は、実は病院であることもよく知られている事実です。アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の最新の報告書によると、患者25人に1人の割合で院内感染に罹患するとの報告がなされている。

アメリカでは2011年に、約722,000人が、急性期病院での治療中に院内感染に罹患し、うち75,000人が院内感染が原因で死亡しています。

毎日205人が院内感染で亡くなるという計算になります。院内感染の半分以上がICU以外の場所で起こっています。代表的な院内感染の例を挙げましょう。

  • 中心静脈カテーテル関連血流感染症
  • カテーテル関連尿路感染症
  • 手術部位感染症
  • クロストリジウム-ディフィシル感染症

医療現場では、感染患者が免疫の低下した患者と接触する機会が多いためその他の感染症も容易に蔓延する可能性があります。例えば、2月上旬にニューヨークの北マンハッタンでははしかが大流行しました。

あるニューヨークの伝染病学者は、医療関係者が施設内での伝染を制御するための正しい措置を講じていなかったことが原因であるとしています。The New York Timesの報告は次のとおりです。

「保健局の感染制御部門副部長であるJay Varma博士は、確認された20北マンハッタンに集中について、医療施設での感染の可能性があるかどうかを調査していると述べています。

はしかは感染力が強い病気で、飛沫による空気感染により拡大します。感染患者が部屋を退室して2時間後でもまだ感染力が残っているほどです。

『多くの人が菌にさらされ感染した場所は、診療室か急患施設において、感染患者の隔離が遅れたためと推測される。』とVarma博士は述べています。

評価の低い医療機関でのさらなるリスク

院内感染発生率は減少傾向にある中(1970-1990年代では、年間計200万件、うち死者は10万人)、25分の1の確率で致死率の高い感染症に院内感染してしまうということは喜ばしいことではありません。

他の医療機関と比較してはるかに危険度の高い医療機関があることも忘れてはなりません。患者の数が多いほど感染の拡大はまぬがれません。CDCの特化研究では、計10州、183の医療機関で患者11,280人を記録すると分析しています。(老人ホーム、急患センター、リハビリ施設、外来治療センターは含まれていないことに注意が必要です。)

一方、HealthGrades(5,000におよぶアメリカ全土の医療機関における医療の質の評価を行う機関)によると、2007-2009年までに約四千万人の患者の記録を分析した2011年発表の報告書では、院内感染が9人に1人の割合で発生していると報告しています。

この報告書によると、2008-2010年の間に患者の全てが評価の高い病院で治療を受けていれば、164,470件以上の院内発生合併症が避けられた可能性があると示唆しています。平均的に見ると、5つ星の医療機関では、平均的な医療機関と比較して54%も死亡する確率が低くなります。

院内感染のほとんどが回避できることが明らかです。小さなことですが、例えば、医師や看護師が患者が変わる度に手を洗うかどうかと言うことが、致死率の高い感染を防ぐための大事な対策なのです。

医療機関を受診する時期も、安全性を確保するための大切な要因です。一般的に、待機手術を受けるならば、7月は避けた方が良いでしょう。この時期は新人研修が行われる時期だからです。一般内科学誌(Journal of General Internal Medicine)の2010年の報告書では、医療過誤の致死例は、経験の浅い新人が増える7月に10%近くに上昇し、特に教育医療機関にて発生していると報告されています。週末もまた注意が必要です。

抗生物質はもはや無敵ではない

抗生物質があれば病気は治るという考えが当たり前ですが最新の統計によるとそれはもう昔のことになりつつあります。抗生物質の多用、乱用により、我々は今や、スーパー耐性菌という問題を抱えてしまいました。
農業における抗生物質の乱用もまた、責任が大きく問われるところです。

アメリカ国内では、年間数千万キロの抗生物質が家畜に使用されています。目的は医療目的だけではなく、成長促進が目的です。食肉や乳製品での抗生物質の残留物は、耐性菌と同様、食物として人間の体内に取り込まれます。一例を挙げると、牛乳に使っても良い抗生物質は約80種類にもおよびます。

CDCは、抗生物質の効かない病気の22%は食べ物が原因であると結論づけました。CDCが昨年発行した「抗生物質耐性菌の脅威に関するレポート」では、毎年二百万人のアメリカの成人および児童が抗生物質耐性菌による感染性に罹患し、少なくとも23,000人が感染が原因となって死亡することが報告されています。

残念なことに、医療機関は、場所柄、抗生物質耐性菌に感染する可能性がある最も危険な場所であることは疑う余地がありません。

アメリカ感染症学会(IDSA)によると、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)による死者だけでも、肺気腫、HIV/AIDS、パーキンソン病、殺人による死者の合計数を超えていると報告されています。実際の死者の数はさらに高い可能性もあります。前述のとおり、抗生物質耐性菌による感染症の死亡者数を完全に追跡している訳ではありません。幸いなことに、無害で効果が高い治療法もあります。局所的なMRSAの感染にはハチミツが効果的です。

危険度の高い病原菌18種

カルバペネム耐性腸内細菌(Carbapenem-resistant enterobacteriaceae, CRE腸内に存在するグラム陰性菌で、ほとんどの抗生物質に耐性を示す。
薬剤耐性淋菌(Neisseria gonorrhoeae:性病の一つである淋病の原因菌で、かつて用いられていた薬剤はすでに耐性化が進み、効果があるとされている薬剤にも急激に耐性化が進んでいる。セファロスポリンという抗生物質にも耐性を示す菌が数カ国で出現している。
多剤耐性のアシネトバクター属:イラクやアフガニスタンで戦った帰還兵に感染が見られた。乾燥に強く、環境中のほこりなどに生息し、院内などの環境では特に、宿主間での菌の行き来が起こりやすい。
薬剤耐性カンピロバクターCampylobacter:カンピロバクターは4大食中毒菌の一つである。カンピロバクター菌は、外毒素を放出する菌で、コレラトキシンと同一の特性を持つ。
フルコナゾール耐性カンジダ(Fluconazole-resistant Candida(真菌)
基質特異性拡張型βラクタマーゼを産生する腸内細菌科(ESBL:ESBLは、特定の細菌が産生する酵素で、治療に用いられる抗生物質に対する耐性を生み出す。ESBL産生菌のE. coliは、ペニシリンやセファロスポリンに耐性を示し、尿路感染症の原因となっている。
バンコマイシン耐性腸球菌VRE院内などの環境に発生しやすい。
多剤耐性の緑膿菌:重度の血流感染症や外科創傷との関連が指摘されており、肺炎やその他の合併症を引き起こす可能性がある。全ての抗生物質に耐性を持つ菌も存在する。
薬剤耐性非チフス性サルモネラおよびサルモネラ チフス菌Salmonella and SalmonellaTyphi)
薬剤耐性赤痢菌Shigella赤痢菌が原因となる、下痢を伴う感染症。
クロストリジウム-ディフィシルC. Diff):腸内に存在するが症状は出ない。免疫力の低下に伴い発症する。 C. Diff による感染は増加傾向にあり、2000-2007年では4倍になっている。抗生物質に対する耐性化も進んでいる(糞便注入によって治療される菌。治癒率は90%。)
メチシリン耐性/バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌MRSAおよびVRSA毎年約8万人の感染者を出すグラム陽性菌で、敗血症による死亡例も出る。過去10年間では、院内の感染は減少し、民間での感染が増加している。豚の集中家畜飼養施設での感染が指摘されている。MRSAはペットにとっても大きなリスクとなる。
薬剤耐性肺炎球菌Streptococcus pneumoniae肺炎、菌血症、副鼻腔炎、急性中耳炎の主要な原因菌。
薬剤耐性結核菌広範囲薬剤耐性結核(XDR TB)は、致死率40%で世界中に広まりつつある。感染患者の咳やくしゃみで空気感染をおこす最も感染しやすい病気である。
エリスロマイシン耐性A群連鎖球菌およびクリンダマイシン耐性B群連鎖球菌

医療機関が健康に害をおよぼす複数の理由

私の考えでは、医療機関に行くことは他に手立てが無い時の最終手段であるべきと考えます(命に関わる緊急時は除きます)。致死率の高い感染症のリスクがあるだけでなく、正しい処置をしてもらえることが少ないからです。例えば、手術です。解決できる問題よりもさらに大きな問題を巻き起こす可能性がありますし、安易に行われすぎています。

このサイトで、健康的な食事や、運動、ストレスのケアについての情報共有を懸命に行っている理由の一つは、そうすることで病院いらずになることができるからです。しかし、入院が必要になった場合は、「Hospitals and Health: Your Orthomolecular Guide to a Shorter Hospital Stay」の共著者であるAndrew Saul博士のアドバイスを心に留めておいてください。

自分の変わりに意見を代弁してくれる親戚や友人など身近な人に同行してもらってください。病状によっては、自分で意思表示ができない場合が考えられ、その時に正しい処置を求めるためです。

抗生物質の時代の終焉とともに

抗生物質という対処ができなくなると、医学に残された選択肢は多くありません。気管支炎や連鎖球菌咽頭炎のようなよくある病気が、致命的な敗血症にまで発展する恐れがあります。手順が確立し、リスクが少ないとされる、人口股関節手術でさえも、抗生物質が使えない状況ではかなりリスクを伴う手術となります。さらに、臓器移植などの複雑な外科手術では生存率がゼロに近くなるはずです。

また、選択肢は少ないように見えますが、強くお勧めすること、それは、予防、予防に予防を重ねることです。 And that includes avoiding unnecessary hospital visits.免疫系を健康に保つための基本は、適切な食事、ストレス解消、運動など、生活習慣を整えることです。覚えておいてください、清潔なホールフード(動物性でも植物性でも)、オーガニック環境で飼育され、抗生物質を使っていない、地元で入手した食べ物を選びましょう。自身の健康をしっかり管理し、免疫力を高めることで、抗生物質耐性菌に感染するリスクは減り、複数の病気を治療するために病院漬けになることもありません。