実は体に良い―コーヒーの健康効果

コーヒー

早分かり -

  • コーヒーは、かつてのイメージとは異なり、実は健康に害を与える飲み物とは言えないことを示唆する多くの研究結果が近年発表されている。それらの研究によると、コーヒーは、2型糖尿病、パーキンソン病、痴呆、脳卒中、肝臓ガン、腎臓ガン、前立腺ガンなどのリスクを低下させることが判明した。
  • コーヒーは血糖値を低下させ、消化管内でのビフィズス菌の数を増加させ、代謝活動を促進するなどの有益な効果が期待できる。
  • 無農薬、オーガニックでホールビーンのコーヒーを淹れたてでいただけば、脳や筋肉を若々しく保つことができる。ポーションミルクやクリーミングパウダー、さらに砂糖などを入れると、コーヒーの健康効果は減ってしまう。
  • 最も高い健康効果を得るためには、運動の前に、砂糖、クリーム類、その他の味付けをせずに、適量のコーヒーを飲むと良い。
文字サイズ:

Dr. Mercolaより

長年、コーヒーは健康に悪いものだと医師達は警告してきました。コーヒーを飲むと、血圧が上がる、心臓病、潰瘍、糖尿病などの原因となる、と言われたことが、誰しもあることでしょう。しかし、この「一般常識」にかけられた疑いについて多くの研究がなされています。

他の物と同じように、コーヒーも、飲み過ぎは良くありません。しかし、数々の研究がなされていながら、適度な量のコーヒーの摂取によって心血管系疾患や他の重症疾患のリスクが増加することを証明できた研究はありません。

事実、コーヒーは、適量であれば、多くの知られざる健康促進効果が得られるかもしれないのです。コーヒーが持つ治療効果の驚くべきリストを目にして、私は、これまでにおこなってきたコーヒーに関する勧告を変えざるを得ませんでした。

2012年4月、American Journal of Clinical Nutrition(アメリカ臨床栄養学誌)に発表された最新の研究では、コーヒーが2型糖尿病のリスクを減少させるという過去の研究結果を追認しています。

コーヒーは避けた方が良いという、これまでの脅迫的な警告にもかかわらず、コーヒーは世界中で大量に消費されています。コーヒーが持つ治療的な有用性については、もはや議論の余地はありませんが、コーヒーにクリーミングパウダー、砂糖、その他の甘味料を使ったり味付けすると治療効果がなくなるばかりか、健康に悪い影響があります。

「悪い」習慣を正していくことに関しては私の意見は変わりませんのでご理解ください。個人的には、一度もコーヒーが美味しいと思ったことはありませんし、人生で飲んだコーヒーは5杯以下、時差ボケ解消のために飲んだものです。

コーヒーは本当に体にいい?

コーヒーの利点について、私が理解を深めるきっかけになったのは、「The Warrior Diet」や、「Unlocking the Muscle Gene」の著者であり、コーヒーについて詳細な研究をしておられる、Ori Hofmekler氏との対談でした。対談でのOri氏の説明によると、適切に摂取すれば、コーヒーの健康促進、フィットネス効果が得られるとのことでした。

オーガニックコーヒーの治療効果を得るには、ホールフードとして摂取する必要があり、カフェイン単体で摂取すると非常に有害な物質です。ポリフェノール抗酸化物質(クロロゲン酸など)、バイオフラボノイド、ビタミン、ミネラルなどの自然な配合により、カフェインの毒性が和らぐのです。一杯のコーヒーに、文字通り、何千もの天然の化学成分が含まれており、科学的にも、栄養面における相乗効果が期待できます。

これらの成分の中には、健康にはあまり良くない効果を持つ成分もあるのではと疑問に思うかもしれませんね。そのとおりです。ですが、前述のとおり、単独で摂取すると良くない成分も、ホールフードの一部として摂取する場合は、全く反対の効果が得られます。

カフェインについてはどう?

カフェインは世界で最も広く使われている薬であり、その使われ方によっては、有用にも有害にもなりえます。カフェインは、アデノシンの作用を阻害し、覚醒作用を促します。アデノシンは、脳の活動を抑え、眠気を催します。カフェインに敏感に反応する人は、耐用性が低いか、遅い時間にカフェインを摂取すると眠れなくなる、などの問題が出ます。

カフェインの濃度は、豆の種類、焙煎、挽き方、淹れ方によって異なります。一般的に考えられているのとは反対に、深煎りの豆は浅煎りの豆に比べてカフェインの含有量は少なくなります。熱にさらされる時間が長く、カフェインが分解されるためです。豆の種類によっても、自然に含まれているカフェインの濃度に大きく違いが生じます。また、ドリップコーヒーは、淹れる時間が長いため、実はエスプレッソよりも多く カフェインを含んでいます。

カフェインの影響が出た場合は、このような要素に着目して、ドリップをエスプレッソに、豆の種類を変えるなどしてみるとよいでしょう。

副腎の機能が低下している場合は、副腎に負担にならないようコーヒーの摂取には気を使ってください。コーヒーには利尿作用もありますので、電解質のバランスに問題がある場合は避けたほうがよいでしょう。

コーヒーを飲んで悪い反応が出た場合でも、コーヒーが原因ではないかもしれません。カフェインではなく、焙煎で生じた等分や油分が原因かもしれません。胃の痙攣や、動悸やその他の症状が出ると、カフェイン過敏症と診断されがちですが、食品に対する不耐性の表れかもしれません。

カビやその他のアレルギーの元となる汚染物質が引き金になっている可能性もあります(コーヒーは乾物であるため)ので、品質が良く、丁寧に生産方法が確立されたコーヒーを選びましょう。

全体的に、健康な方は、コーヒーへの耐性がある場合が多く、コーヒーの効能によって得られる利益のほうが大きい場合が多いです。妊娠中の方だけは、くれぐれもカフェインの摂取は控えるようにしてください。

コーヒーの健康増進効果

2型糖尿病 — 日本で2010年におこなわれた研究によると、コーヒーの摂取で2型糖尿病の予防効果があることが発見された。2012年、American Journal of Clinical Nutrition(アメリカ臨床栄養学誌)に発表されたドイツでおこなわれた研究により追認された。コーヒーにより、ブドウ糖の吸収量が2倍になり、血糖値を下げる効果が高いこともわかっている。

パーキンソン病 — コーヒーにより、パーキンソン病のリスクが著しく減少する可能性がある。コーヒーによるパーキンソン病の予防効果は高く、製薬会社は、コーヒーの効果を脳にもたらすことのできる実験薬剤の開発を目指している。

アルツハイマー病 — 2011年におこなわれた研究では、コーヒーに含まれる未特定の成分とカフェインの相互作用により、アルツハイマー病の予防効果があることが判明した。

前立腺ガン — 2011年におこなわれた50,000人規模の研究では、前立腺ガンによる死亡のリスクが、一日にコーヒーを6杯飲んだ人では60%減少し、一日にコーヒーを3杯飲んだ人では30%減少した。

肝臓ガン — また、日本でのある研究によると、毎日または、ほぼ毎日コーヒーを飲む人は、肝細胞ガン(HCC)という肝臓ガンの一種のリスクが、全くコーヒーを飲まない人の約半分であることが判明した。またコーヒーは、肝線維症の症状が軽減する、C型肝炎進行が緩やかになるなどの関連性も指摘されている。

腎臓ガン — コーヒーの摂取により、腎臓ガンのリスクが減少する可能性がある。

結腸直腸ガン — 2007年におこなわれた研究では、コーヒーの摂取により、女性の結腸直腸ガンのリスクが減少する可能性があることが判明している。

不整脈 — ある研究によると、適度なコーヒーの摂取により、不整脈による入院の確立が下がることが判明している。

肺機能 — 2010年におこなわれたある研究によると、コーヒーの摂取により、非喫煙者で肺機能が促進されることがわかった。

脳卒中 — 2011年におこなわれた研究では、一日に1杯以上コーヒーを飲む女性では、飲まない女性に比べて、脳卒中のリスクが25%低いことがわかった。また、2009年におこなわれた研究では、一日に4杯以上コーヒーを飲む女性は、脳卒中のリスクが20%低いことがわかった。

胃腸フローラ — 2009年におこなわれたある研究によると、コーヒーは、代謝活動を促進し、腸内の善玉菌であるビフィズス菌の数が増加するなどの効果があることがわかった。

また、コーヒーの刺激により、脳由来神経栄養因子(BDNF)と呼ばれる成長因子が放出されるという研究結果が出ています。BDNFは、脳幹細胞を活性化し、新しいニューロンへ変換させたり、筋肉内で効果を現します。その効果とは、筋肉の最も重要な役割である、神経運動のサポートです。神経運動が機能しなければ、筋肉は点火できないエンジンと同じです。神経運動が劣化していくことは、加齢によって筋肉の萎縮が進行していく過程なのです。オーガニックでホールビーンのコーヒーに含まれるカフェインにより、脳や筋肉を若々しく保つことが可能です。

最大の効果を得るために、最もふさわしいタイミングとは

Ori Hofmekler氏の詳細な研究によると、コーヒーの摂取で代謝が20%促進されると報告されています。以前、空腹時に運動することの効果についてお話したと思います。コーヒーについて言うと、運動の前に飲むと、最も高い効果が得られます。Ori氏は次のように述べています。

「トレーニング前のコーヒーで運動を始めるためのエネルギーを絶つことができる。午前中にトレーニングする人には、トレーニング前のコーヒーは非常に有利に働く。

しかし、コーヒーには、強力な作用があるため、適量を守って、ブラックで飲む必要があります。Ori氏の推奨は、朝のトレーニング前に、一杯のオーガニックコーヒーもしくはエスプレッソをショットで飲み、それ以上は飲まないことです。朝にトレーニングをする場合、コーヒーはトレーニングの後ではなく、前に飲むようにしてください。トレーニング後にコーヒーを飲むと、筋肉を作る作用を阻害してしまいます。オーガニックのホールビーンのコーヒーを淹れたてで飲めば、合成のカフェインの様に、体に害を与えることはありません。飲みすぎには注意してください。

浅煎りの豆より、深煎りの豆が優れている?

オーガニックホールビーンのブラックコーヒーは、煎りが深いほど効能が高くなります。様々な食品においても、色が濃いものほど健康に良いのと同じで、深煎りのコーヒーも例外ではありません。エスプレッソやトルココーヒーに使われる、フレンチローストやイタリアンローストなどの豆をお勧めします。

コーヒー豆は、焙煎されると、生豆の状態よりも神経保護物質を多く含むようになります。Molecular Nutrition & Food Research(分子栄養学と食品研究)誌による最新の研究では、浅煎りの豆よりも深煎りの豆の方が、ビタミンEやグルタチオンなど、抗酸化物質の血中濃度の回復効果が高かったと報告されています。また、深煎りの豆では、前肥満(肥満Ⅰ度)体のボランティアにおいて少なからず体重減少が見られたとの報告もなされています。この効果は浅煎りの豆では見られませんでした。

良質なコーヒーを飲むための5つのポイント

オーガニックのコーヒーを選ぶこと — コーヒー豆は、農薬が大量に使われることの多い作物です。オーガニックの認定のある豆を選びましょう。農薬や化学物質が大量に使われていては、せっかくのコーヒーの効能も台無しです。

可能な限り、木陰で生態系を守りながら栽培されたコーヒーを購入しましょう。熱帯雨林の破壊を阻止し、鳥達の住む場所を守りましょう。

ホールビーンを選ぶ — ホールビーンのコーヒーを購入しましょう。新鮮な物を選んでください。香りが飛んでしまっている物は、傷んでいるかもしれません。自分で豆を挽くと、劣化を防ぐことができます。挽いた状態で購入すると、自宅で飲む時には劣化が進んでいることがあります。

ブラックで飲むこと — コーヒーの効能を得るには、砂糖、クリーマーやミルク、フレーバー類は使わずブラックで飲んでください。砂糖を入れると、インスリンの濃度が急上昇し、上記の効能が全て無くなるだけでなく、インスリン抵抗性がついてしまう原因にもなります。コーヒーを淹れる時の水にも気を配りましょう。

フィルタについて — ドリップ式のコーヒーメーカーを使っている場合は、無漂白のフィルタを使いましょう。真っ白なフィルタは塩素漂白された物です。コーヒーを淹れる時に塩素がしみ出す可能性があります。漂白フィルタはダイオキシンなど、有害な塩素消毒副産物が付着していることで知られています。

コーヒーカップについて — 容器にも気を遣いましょう。プラスチック容器は避けてください。BPAが飲み物の中に溶け出します。発砲スチロール製のカップも、ポリスチレン分子がしみ出すため、避けてください。ガラスか陶器製の携帯用マグを選びましょう。

自家焙煎にチャレンジしよう

コーヒーの品質を追求したい方には、自家焙煎をお勧めします。コスト削減にもつながります。オーガニックの生豆を取り扱う店舗が数多くありますし、値段も、焙煎済みの豆の半分以下のものもあります。

この記事でご紹介した方法で、是非、実用的で健康に良い食生活の一部としてコーヒーを楽しんでください。