ダリン・スティーン氏によるインタビュー
フィットネスのゴールをどこにおくかという質問をすると、大抵、平らでしまった腹筋を仕上げることという答えが一番に返ってきます。しかし、フィットネスの観点からすると、「完璧な腹筋」への熱望は、コア(体幹)機能を総合的に増強するトレーニングとの兼ね合いにかかってきます。
腹筋運動をたくさんすれば、フィットネス雑誌に載っているような腹筋に仕上げられると思いがちです。しかし、何回「クランチ」をしても関係ありません。ウエストの脂肪は減らせないのです。
お腹周りの脂肪を減らすには、幾つかの要因が重要な役割を果たします。映像でもご説明した通り、まず大切なことは、食べ過ぎる食生活に別れを告げることです。しかしここでは、体幹、体幹を構成する筋肉、そして体の部位の鍛え方にしぼってご説明しましょう。強靭な体幹を持つと、次のような効果を得られます。
以上のことが、体幹筋肉を鍛え、強くする確固たる理由です。つまり、美しさを追求するだけではないことがおわかりでしょう。実際、強靭で機能的な体幹を作り、維持することが誰もの関心の的であるべきです。
強靭でバランスの取れた体幹が出来上がったら、転倒によるケガのリスクが減りますが、最も重要なのは、体の他の部位も同時に働きがよくなることです。
体幹のバランスが取れ、強くなれば、腰、股関節屈筋、骨盤、膝、足も調和して機能するようになるでしょう。このことが、年齢に関係なく、誰にとっても重要なのは明らかです。高齢者にとっては、体幹が強ければ、日常的な活動も容易でスムーズになり、また、排泄にも効果があります。
強く、バランスの取れた体幹は、学生が教科書やバックパックを持ち運ぶときに良い姿勢を保つため大切なものです。また、一日中コンピュータの前に座って仕事をする労働者、何時間も赤ちゃんを抱っこする母親にとっても重要です。 しかも、強い体幹は腰痛知らずにも直接関連してくるのです。腰痛が健康やウェルビーングに影響することはよく知られています。腰痛はさらに、頭痛から足の痛みまで他の痛みを引き起こします。そのため、強靭で、バランスの取れた、鍛え上がった体幹を作ることが重要であることはすぐに分かるでしょう。
強靭な体幹を作り、維持するには、構成する筋肉、それぞれ特定の部分にはどういうエクササイズが効くのかを理解することが先決です。腹部の筋肉は他の骨格筋と比べ小さいのですが、体幹は割合大きいものです。体幹部は複雑で、サイズ、形、機能が異なる多くの筋肉で構成されています。
体幹は胴体、つまり胸筋(胸の筋肉)、背中からずっと下がって臀筋(臀部)までのすべてで構成されています。 さらに細かく分けると、体幹のお腹の部分は次の 4 つになります。
体幹を働かせ強化することが、健康であることに欠かせないものという意見に専門家も賛同していますが、作用するのに腹筋が最も重要という点では別の見解もあります。結局のところ、重要なのは、安定エクササイズと機能的な筋力運動をバランスよく行うことなのです。
多くの体幹エクササイズは、正しく行えば、筋肉に効果があります。また、図抜けて効果があがるものもあります。クランチさえしていれば体幹を効果的に鍛えられるという考え方は間違っています。真実にはほど遠い考えです。
体幹を効果的に鍛えるには、スタビライジングエクササイズ、ファンクショナルエクササイズ、トラディショナルエクササイズを取り入れましょう。被験者に筋電図 (EMG) をつけ、従来のシンプルなフロアクランチをしてもらった実験で、筋活性の量が 最も少ない ことが分かりました。
これを見ると、トラディショナルクランチをするべきではないことは言うまでもありませんが、多様でしっかり練られた体幹強化プログラムの一部としてなら取り入れてもいいでしょう。
特定の体幹エクササイズに関して、筋肉の刺激と活性度を測定する研究が幾つか行われました。そのエクササイズは運動の最初から最後まで一貫して安定性を必要とし、筋活性を最も刺激することが証明されています。
体幹エクササイズの中でも腹部のエクササイズは、筋肉すべてを動員するため、さまざまな動き、異なる角度や姿勢で行われる必要があります。ただ、個人や一つの体型にうまく作用するものが全員にあてはまるわけではないことをご理解下さい。自分にとって効き目がある、やりがいがある、そしてはっきりした結果を導き出すエクササイズを見つけることが重要なのです。
次のエクササイズは、体の各部分における体幹トレーニングが考えられています。トラディショナルエクササイズ、ファンクショナルエクササイズ、スタビライジングエクササイズ、エクステンションエクササイズ:
どのくらい行えばいいでしょうか。
理想的なのは、トレーニングをするたびに体幹エクササイズも一緒に行うことです。まず、体幹トレーニングには重いウエイトメニューがない、あったとしても体幹には多くの筋肉があるので、エクササイズごとに体幹トレーニングを行っても問題ありません。
次に、前述の多様なエクササイズをさまざまな回数で行ったり、エクササイズ同士を組み合わせたりして、体幹トレーニングにはいろいろなやり方があります。また、実際に行うトレーニングの頻度、使う設備やマシンなども人それぞれで、いくらでも自分に合った体幹トレーニングプランを作り、効果の度合いを高めていけます。
さまざまなエクササイズや運動メニューを試してみて、自分らしいバランスの取れた機能的な体幹を作り上げましょう。
さて、これで体幹を作る筋系について、そしてバラエティ豊富なエクササイズを体幹筋トレに取り入れ、幾つかサンプルを作り取り入れてみるということを理解していただけたでしょう。
体幹の筋肉を全て鍛えられているか、さまざまなエクササイズ、収縮方法、セットの回数、レジスタンスタイプ、位置を間違わずに取り入れているか、心配でしょうか。筋トレや食生活が脂肪燃焼、筋肉づくりを促進していれば、強靭で機能的な体幹だけでなく、メリハリのある体の線が手に入るでしょう。
前述のエクササイズに加えて、高強度、バーストタイプ(爆発系)エクササイズも取り入れてみることも、スピードや筋力、持久力全体を改善し、さらに脂肪燃焼を促進するためには検討してもいいかもしれません。特にきれいに仕上がった腹筋を手に入れたければ欠かせないものです。
他の筋トレもそうですが、体幹トレーニングには変化をつけましょう。どんどん変えて下さい。そのタイミングは 3~4 週間ごとをお勧めします。体には、行動を呼び戻し、上手くなるという驚きの能力が備わっています。エクササイズが上手くできるようになれば、筋肉をさらに追い込む必要があります。そのため、収縮法、レジスタンス、セット数を変え、位置に変化をつけることが重要なのです。
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