フタル酸とBPA

早分かり

  • 胎内でのフタル酸への暴露により子供のIQが低下する可能性が指摘されている。子供の記憶力や知覚的推理能力の低下が起こる。
  • あるランダム化比較試験では、缶詰やプラスチックボトルに使われるBPAには摂取後数時間で血圧を上昇させる作用があることがわかった。
  • 米国食品医薬品局(FDA)は、4年間の調査に関するレビューの結果、「BPAは、現在食品に利用されている量では安全」であり、調査で得られた情報から判断して、現在認可されている用途でのBPAの安全性を支持し続けると発表した。

 

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フタル酸、BPAと子供のIQ低下の関連性

2016年12月6日 | 844 ビュー |


Dr. Mercolaより

プラスチック製品に使われている多くの化学物質は、内分泌撹乱作用があることが知られています。

天然の性ホルモンと構造が類似しており、それらのホルモンの正常な機能を阻害します。

内分泌系の腺やそこから放出されるホルモンは身体のほとんどすべての細胞、器官、および機能に影響するため、このことは特に育ち盛りの子供には問題となります。

内分泌系は全体として、気分、成長、組織の機能、代謝、および性的機能と生殖作用の調節に役立っています。そして、内分泌撹乱作用のある化学物質は実に多くの 妊娠・出産に関連する症状との関連が指摘されています。

フタル酸塩は、既知の内分泌物撹乱物質の中で最も普及している物質です。
Environmental Protection Agency (EPA、環境保護庁)は、4億7千万ポンドを超えるフタル酸が毎年生産されていると推測しています。

主にポリ塩化ビニール(PVC)などのプラスチックに柔軟性や弾力を持たせる用途で使用されますが、エアフレッシュナー、ドライヤーシート、およびシャンプー、シャワージェル、メーク製品などのパーソナルケア製品にも使われています。男性より女性の体内でフタル酸の濃度が高いのは、パーソナルケア製品に多く使用されているためであると考えられます。

布張りの家具類やマットレス、壁紙にもフタル酸が使われています。赤ちゃん用ミルクやベビーフードにも使われています(包装材から溶け出したもの)。

フタル酸と子供のIQ低下の関連性

過去の調査では、フタル酸への暴露と、先天的障害、精子数減少、多嚢胞性卵巣症候群、思春期の早発/遅発などとの関連(ほんの数例)が指摘されたのに対して、最近の調査では、出生前のフタル酸への暴露が子供のIQ低下につながるかもしれないことを示唆しました。

妊娠中の母体組織中のフタル酸濃度と、子供の集中力、作動記憶、知覚的推理能力、7歳時の情報収集処理にかかった時間に関連性があることを発見しました。

CNN Healthは次の様に報じています。

「 PLOS Oneジャーナルが実施した新しい研究では、フタル酸ジブチルとフタル酸ジイソブチルと呼ばれる化学物質の体内濃度が妊娠中に高かった女性が出産した子供に著しいIQ低下が見られたと発表されました。

研究の結果、7歳までのこれらの化学物質への暴露が多い子供は、暴露が少ない子供に比べてIQ6ポイント以上低いことがわかりました

この研究結果は、全く作者が予期していたものではありませんでした。

IQ値の低下の度合いに驚いています。』と、Factor-Litvakも述べています。『Iフタル酸が環境中に多く存在していることを考えると、この結果は喜ばしいものではありません。』」

観察研究であったため、IQ低下の正確な原因は不明なままですが、過去の動物での調査で次のことがわかっています。

  • フタル酸は、アロマターゼ(テストステロンをエストロゲンに変換する酵素)の活性に影響する可能性がある。
  • エストロゲンは、脳の発達に非常に重要な働きを持つ。

  • フタル酸は甲状線ホルモン(脳の発達のタイミングを決定づける)の産生を阻害する可能性がある
  • フタル酸はまた、神経伝達物質ドーパミンと関連した脳の活動を撹乱させ、注意散漫や多動などの症状を引き起こす可能性がある。

BPAが心血管系に与える直接的かつ即時の影響

フタル酸は、慢性の症状を引き起こす唯一の内分泌物撹乱物質ではありません。
フタル酸同様、ビスフェノールA(BPA)は、缶詰の内面塗装、プラスチックや、こびりつかない食品容器、ラップ、水のボトル、 レジのレシートなど、無数のパーソナルケア製品、プラスチック製品に使われています。

BPAは、ホルモンであるエストロゲン様の作用があり、次の現象と関連があります。


脳の構造的な損傷
思春期早発、乳房の発達を促す、生殖サイクルの撹乱、卵巣毒性、不妊
多動、攻撃性、学習障害 心臓病
脂肪の異常形成と肥満 前立腺ガン細胞を刺激する
免疫機能の変調 前立腺の肥大、精子量の減少、尿道下裂(男性器の変形)

このリストにさらに高血圧を追加したほうが良さそうです。ある最新のランダム化比較試験では、缶詰やプラスチックボトルに使われるBPAには摂取後数時間で血圧を上昇させる作用があることがわかりました。  New York Timesの報告は次のとおりです。

「研究の結果、缶入りの豆乳を飲むと、2時間後の尿中BPA濃度と血圧が劇的に上昇したことがわかりました。

しかし、ガラス瓶(内面塗装にBPAを使用していない入りの豆乳を飲んでも、BPA濃度や血圧に注意すべき変化は全くありませんでした

この発見は、缶やプラスチック瓶入りの飲み物を毎日複数飲む人は、長期の習慣的な暴露によって高血圧を誘引することを示唆しています。

缶の内面塗装からのBPAの浸出量はこれまでに考えられていたより重く捉えるべきかもしれません。

缶入り豆乳を飲むと、尿中のBPA濃度は、ガラス瓶入りの場合の 1,600 %に上昇していました。

この効果は、血管の修復や血圧のコントロールに関係しているエストロゲン受容体がBPAにブロックされることが引き金になっている可能性があると作者は述べています。甲状腺ホルモンを撹乱する作用があるため、BPAは間接的に血圧にも影響を与えます。筆頭著者であるYun-Chul Hong医師は、 The New York Timesに次のように語っています。

「『臨床医も患者も(特に高血圧症または心血管疾患がある場合)、缶詰食品と飲料を消費する際は、血圧上昇に関連して発生する可能性がある臨床症状を意識しておいたほうが良いでしょう。』...また、一般の人には、缶やプラスチック容器よりも新鮮な食品やガラス瓶を選ぶように勧め、製造業者には、缶容器の内面塗装にBPAに替わる健康に害にならない素材を開発するよう意見を述べました。」

注意:BPA無使用と表示していても安全の保証では ない 

BPA無使用の製品を求める消費者需要に応えて、多くの製造業者は、ビスフェノール(BPS)と呼ばれる違う化学物質に切り換えました。

しかし、BPSも、BPA同様有毒です。

また、さらに毒性が強い場合もあるのです。1つの内分泌物撹乱物質を別のものと交換しても製品が安全になるわけではなく、残念なことに、「BPA無使用」の表示は意味をなしていないかもしれません。

昨年、テキサス大学Medical Branchの研究者は、非常に少ない濃度(ppt)のBPSでも細胞の機能を撹乱させることを発見しました。
肥満、糖尿病、癌にいたる代謝異常による疾患は、そのような撹乱の結果発症します。他の動物実験でも14  BPSはBPAと同様の作用があることがわかっています。例えば、ゼブラフィッシュの卵に対するBPSの影響を研究している研究者は、近隣の川と同濃度のBPSに暴露された魚に著しいニューロンの成長が見られ、多動や異常行動が起こったことを発見しました。

BPAへの暴露では240%に対し、BPSに暴露された魚卵ではニューロンの成長が170%増加していました。

ラットを使った別の研究では、BPAまたはBPSのどちらかへの暴露でメスのラットに心臓不整脈が起こることがわかりました。

濃度は、人体内での濃度と同様です。研究者は、BPSが女性にだけ存在するエストロゲン受容体を遮断し、カルシウムチャネルを撹乱したことを発見しました。これは、不整脈の主要な原因です。

有害物質を避けるための対策

潜在的な有害化学物質をすべて避けることは事実上不可能ですが、いくつかのポイントを心に留めることで暴露を最低限にとどめることができます。

  1. 新鮮で未加工のホールフードの食事をする。加工食品や包装食品(特に缶詰やプラスチック包装の食品)には、BPAやフタル酸が使われているので注意する。
  2. 缶やプラスチックよりガラス瓶入りの食品を選ぶ。
  3. 食品や飲み物は、プラスチック製は避けてガラス容器で保管する。食品用のラップをやめる。熱によってプラスチックの成分が放出されやすいため、食品を電子レンジで加熱する場合はガラス容器を使う。「BPA無使用」のプラスチック であっても、その他のBPAと同じような内分泌撹乱物質を使っている可能性があることに注意する。
  4. 赤ちゃんのほ乳瓶はガラス製のものを使うこと。
  5. レジで貰うレシートに注意する。良く行く店では、レシートをBPA無使用の素材にするよう働きかける。私はPublixで良く買い物をするので、レシートのことを問い合わせると、既に対応済みでした。このようなレシートにはあまり触らないようにするのが無難です。
  6. 地球環境に配慮し、動物に優しく、持続可能製品、認定オーガニック製品、非遺伝子組換え製品を取り扱う企業の製品を購入する。食品やパーソナルケア製品、建材、カーペットの素材、塗料、ベビー用品、家具、ベッドのマットレスなどすべてに該当する。家の改築をする場合、通常の塗料やビニール製の床材はフタル酸が使われているので使わないこと。替わりに「グリーン」な毒性のない製品が良い。
  7. おもちゃは天然素材のものを選ぶこと。プラスチックに使われるフタル酸、BPA/BPSを避けること。特に子供が舐めたり噛んだりするような製品では注意すること。
  8. 可能であれば、少なくとも1歳までは母乳のみで育児すること(ミルクの容器やプラスチック製ほ乳瓶、乳首に含まれるフタル酸を避けるため)。
  9. 掃除用品は天然素材のものを使うか自家製のものにする。
  10.  シャンプー、歯磨き粉、制汗剤、化粧品類などの衛生用品をオーガニック素材の製品に変える。環境ワーキンググループ(EWG)のSkin Deepデータベース  で、フタル酸やその他の危険な化学物質を含まないパーソナルケア製品を探す。
  11. ビニール製のシャワーカーテンを布製に変える。
  12. 女性用の衛生製品 (タンポン、生理用ナプキン)を安全性の高いものに変える。女性用の衛生製品の原料の多くは公開されていない。ダイオキシンや石油化学添加物が使われていることを示す検査結果がある。
  13. 無香料の製品を選ぶ。フタル酸は製品に使われる香料を長持ちさせるために使われる。人工の芳香 成分は数多くの有害な化学物質を含んでいる。上記の理由から、 布用の柔軟剤、柔軟剤シート、芳香剤、香り付きのキャンドルを使わないこと。
  14. 自宅の水道水の汚染物質を確認し、必要に応じてフィルターを利用する。水道管がPVCなら、別の素材を検討する。
  15. フタル酸を使った素材であることが多いため、子供には、 庭のホースから水を飲まないよう教えること。品質の良いホースは金額も高くなるがお金をかける価値は十分にある。
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