慢性痛

早分かり

  • 10億人の成人が慢性の痛みに苦しんでいますが、その数は糖尿病、心臓病、ガンの患者数を合わせた数を超えている。
  • 多くの場合、痛みのきっかけとなる出来事(腰の負傷、感染、関節炎、ガンなど)がなく、原因がわからない場合もある。
  • 慢性の痛みがある場合、生活習慣を変えてみると良い。食生活の対策、姿勢を正す、カイロプラクティック、マッサージ、ハーブ療法、その他のナチュラルな対策を処方薬剤を使う前に試すと良い。
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6つの慢性痛のもと

2016年12月15日 | 2,042 ビュー |

Dr. Mercolaより

慢性痛は治療が非常にやっかいです。ケガや病気が原因の場合もありますが、痛みのきっかけとなる出来事(腰の負傷、感染、関節炎、ガンなど)がない場合もあるのです。

はっきりとした原因がわからないまま、痛みが数週間から、数ヶ月、数年と長引いてしまいます。例えば、腰の痛み、頭痛、神経原性の痛み(神経因性疼痛)など、末梢神経系、中枢神経系の痛みです。

慢性痛は障害の原因

慢性痛(特に腰痛)は、生活の質や生産性に著しく影響し、障害の主な原因です。医療費と経済的な損失(障害、収入の低下、生産性の低下)を考慮すると、アメリカの医療システムで、痛みの治療は6,350億ドルに達しています。

非常に高額な費用ですが、慢性痛による個人の生活への影響とは比較になりません。例えば、American Pain Foundation(米国疼痛財団)による慢性痛に関する調査では次のように述べられています。

  • 痛みのある人のうち59%が生活の楽しみが奪われたと報告した。
  • 77%にはうつ症状があらわれた。
  • 70%が集中力が続かないと回答した。
  • 74%が痛みによって、活力が影響が出たと回答した。
  • 86%が熟睡できないと回答した。

さらに、慢性痛があると、痛みのせいで週平均で5時間の稼働時間をそがれるため、本人の能力を100%発揮できません。最大20%の人が、痛みのせいで仕事を休んだり、転職を余儀なくされるのです。さらに、かなりの割合(13%)の人が、痛みが強すぎるため、生活そのものに介助を必要としています。

多くの人が痛みへの唯一の手段として使用している鎮痛剤の副作用も考慮にいれなければなりません。American Society of Interventional Pain Physicians(米国疼痛管理医師会)の議会証言によると、アメリカ人は世界の80%の痛み止めを使用しており、 一度使い始めると、多くの副反応を起こし、やめられなくなると述べられています。

モルヒネと同様の作用があるオピオイド、コデイン、オキシコドン、ヒドロコドン、フェンタニルなどの鎮痛剤が最も多く乱用されています。中毒性はもちろん、過剰摂取で呼吸の低下や死に至る場合もあります。さらにアルコールが加わることでリスクは複雑化します。

さらに納得しがたいのが、American Pain Foundationの調査に関わった人のほとんどが、痛みをほとんど解決できていないと答えている点です。患者が痛みの原因も適切な治療法もわかっていないことが理由です。

驚くべき6つの慢性痛のもと

痛みがあることに、まず感謝するべきです。普段の生活習慣に何らかの原因があることを示す体からの強力な警報なのです。もちろん、外傷がある場合にはこのことは該当しませんし、慢性痛の原因となることはあまり多くありません。

痛みを感じにくくなる病気があることをご存じでしょうか。ハンセン病です。ハンセン病の患者は、重篤な感染症による若年死が特徴です。熱や尖った物体などの有害な環境要因への感覚が失われるためです。

原因のわからない慢性痛の経験がある場合は、次のリストで原因を探してみましょう。身体的な痛みは、生活習慣、心の傷など自分で気がついていない潜在的な理由による場合があります。

  1. 心の傷

    痛みの原因が心理的、感情面が原因であるとは信じたくないですよね。しかしこれには多くのエビデンスがあります。 心の傷 (身体のケガや環境毒素を伴っている場合)は中枢神経系のミクログリアという分子を刺激するという仮説があります。

    これらの分子は、ストレスが生じると、炎症化学物質を放出し、慢性痛や、不安やうつと言った心理障害となって現われます。John Sarno医師は、心身テクニックで腰痛の患者の治療を行い、心身テクニックに関する数々の著書を出版しています。
  2. 鎮痛剤

    皮肉ですが、痛みを抑えるために処方された薬が、数ヶ月使用すると、痛みを悪化させる原因となってしまいます。Grady Memorial Hospital神経外科次長であり、CNN主任医療担当記者のSanjay Gupta医師は次の様に報告しています。

    「鎮痛剤を飲んで数ヶ月後には体内に変化が起こり始めます。効果は薄れ、服用開始時の30%程度しか痛みがおさまらなくなります。さらに深刻なのは、少数の患者ですが、痛覚過敏と呼ばれる、痛みを感じやすくなる症状が出はじめるのです。

    おわかりかと思いますが、痛みに敏感になることで、薬の量は増えていきます。痛みを抑える効果はあまりなくなっていても、呼吸に与える影響はなくならないのです。
  3. 睡眠不足

    睡眠不足は、健康に何も良いことはありません。概日周期(睡眠と活動のサイクル)が 細胞レベルで生体活性のリズムを生み出すためです。さらに、痛みを和らげるために欠かせない組織の成長や修復のためにも熟睡する必要があります。
  4. リーキーガット

    痛みを管理するには食事を変えることも重要です。食事で腸の調子が変わります。穀物に含まれる物質は腸の透過性(腸管壁浸漏症候群)を高めてしまいます。未消化の食品の粒子、バクテリア、その他の有毒物質が血中に漏れ出してしまうのです。リーキーガットは、膨満感、ガス、さしこみ、などの消化器症状の他、炎症や慢性痛などの様々な症状の原因となります。
  5. マグネシウム不足

    数あるマグネシウムの役割の中に、脳のグルタミン酸受容体を遮断する役割があります。これは、ニューロンの痛みへの反応を過敏にさせる神経伝達物質です。これは非常医重要なポイントです。なぜなら、およそ80%の人が マグネシウム不足だからです。マグネシウム不足につながる二つの大きな生活習慣はストレスと処方薬剤です。これらが慢性病患者におけるマグネシウム不足のリスクを高めます。
  6. ハンセン病

     ハンセン病の初期症状には、熱、寒気、頭痛、肩こり、全身の痛み、だるさなどインフルエンザのような症状が現われます。症状はそのまま継続し、筋肉痛や、関節痛などが数十年続くこともあります。ハンセン病や関連して起こる感染症は、症状が持続するため、多発性硬化症(MS)、関節炎、パーキンソン病、慢性疲労、線維筋痛症など他の病気に似た症状が出ます。

    原因不明の慢性痛がある場合は、ダニに刺された(ハンセン病の主な媒介種)記憶が無くても、ハンセン病を疑いましょう。ハンセン病患者の半分以上がダニに刺された記憶がありません。ダニは刺すときに皮膚を麻痺させるので、人は何も感じていないためです。刺されたのに気がついた人は15%ほどしかいません。ダニが体にいるところを見たことがないとしても ハンセン病の可能性はゼロではありません。

慢性痛は医者泣かせ

10人に7人の人が、痛みに関する調査、管理を、医学界の 最優先事項にするべきと考えていることを示す調査結果が出ています。それにもかかわらず、あまり注目されていません。APPEAL(Advancing the Provision of Pain Education And Learning、痛みに関する学習と教育の提供推進)は、ヨーロッパの大学医学部に関する調査を行い、義務的な痛みについての教育は実施されているが、6年間のコースの中のわずか12時間、割合にして0.2%であることを明らかにしました。さらに、ほとんどの学校で、痛みに関する必修授業は まったく おこなわれていません。

12時間の痛みに関する学習が 最も長い コースと言うことになります。医学部の82%で痛みに関する必修のクラスはないと言うことは、実際に受講する学生は更に少なく、全く受講せずに卒業する場合も多いということです。APPEALの研究はヨーロッパで行われましたが、同様の傾向がアメリカやカナダで実施された別の研究、 The Journal of Pain(痛みに関するジャーナル)でも報告されています。

痛みに関する教育は提供されていても一般教養の一部としてでした。痛みに関する必修コースがある学校は4%以下で、多くが専門のコースを開催していません。慢性の痛みの効果的な治療法を知らない医師達が知っている方法と言えば、小薬剤で、これでは、痛みの根本的な解決にはなりません。言うまでも無く、生活習慣の対策でバランスを取り戻しつつ、薬を使わない方法で痛みの治療をすることは可能です。薬を使わない方法には、次のような例があります。

  • カイロプラクティック、整体Annals of Internal Medicine (内科年報)に発表された、National Institutes of Health(国立健康研究所研究)が資金提供した研究によると、首の痛みがある患者が、カイロプラクティック治療を運動を取入れると薬を使用した患者と比較して12週間で痛みが消える確率が2倍高いことがわかっています。
  • マッサージ。マッサージでは、エンドルフィンが放出され、リラックス効果、痛みの緩和、コルチゾール、ノルアドレナリンなどのストレス軽減物質の放出などの効果があり、心拍数や呼吸、代謝が落ち着き、血圧が下がるため、ストレスによるダメージを回復させます。
  • 。鍼は、 腰痛 や頭痛などの慢性の痛みに他の治療法より高い絶対的な効果を示すことがわかっています。
  • 理学療法痛みのリハビリには非常に効果の高い方法です。
  • 姿勢を正すまた、ゴーカレー法 は、悪い姿勢が原因で起きる体の痛みに根本から対処することができます。立つ、座る、動くといった人間の基本動作を、本来あるべき動きに戻していくメソッドです。 Foundation Trainingも試す価値があります。このメソッドは自身の腰痛の治療のために、Eric Goodman医師によって開発されました。このエクササイズでは、体幹を鍛え、身体に自然な動きをもたらします。

痛みがある時に食生活できをつけたい4項目

  • 良質な動物性のオメガ-3脂肪酸を摂りましょう。クリルオイルがお勧めです。オメガ-3 脂肪酸は炎症を引き起こすプロスタグランジンの前駆体です。(これは、プロスタグランジンの効果を利用した抗炎症鎮痛剤の作用機序でもあります。)クリルオイルに含まれるオメガ-3脂肪酸のEPAやDHAは多くの動物の体内にも含まれており、臨床実験では、鎮痛効果をもたらす抗炎症作用があることがわかっています。
  • 加工食品は避けましょう。糖分や添加物だけでなく、多くがオメガ-6脂肪酸も含んでおり、オメガ-3:オメガ-6の比率に影響し、痛みの原因となる炎症が起こるためです。
  • 穀物や糖分(特にフルクトース)は摂らない、または、制限しましょう。糖分と穀物を避ければ、インスリン、レプチン濃度を下げることができます。インスリン、レプチン濃度が上がると炎症性のプロスタグランジンの産生を刺激してしまいます。痛みをコントロールするには、穀物と糖分の制限が重要なのです。
  •  ビタミンD がスムーズに産生されるよう、定期的に日光を浴びましょう。痛みの軽減につながる様々な機序に働きかけます。これで体が必要とする日光浴は十分です。

天然の鎮痛成分を使ってみよう

  • ショウガ。抗炎症効果があり、鎮痛作用や、胃の調子を整える作用があります。熱湯に新鮮なショウガを浸したお茶や、すりおろしたものを野菜ジュースに加えていただきます。
  • クルクミン。クルクミンはターメリック(ウコン)というスパイスに含まれる有効成分です。骨関節炎の患者に関する研究では、一日200 mg投与しただけで、痛みが抑えられ、可動性が増しました。クルクミンは50件を超える臨床試験で、強力な抗炎症作用があることがわかっており、他にも4件の研究で、Tylenolの副作用を抑えることがわかっています。
  • ボスウェリア。インディアン・フランキンセンスとも呼ばれるボスウェリアは、何千年も珍重されてきた、抗炎症作用のある植物です。個人的にも気に入っています、関節リウマチの患者さんの症状に高い効果があると実感しています。
  • Bromelain(ブロメライン)。パイナップルに含まれる天然の抗炎症成分です。サプリとしても入手可能ですが、パイナップルをそのまま食べても効果があります。ブロメラインのほとんどは芯に含まれていますので、芯の部分が少し入るようにカットすると良いでしょう。
  • セチルミリストレート(CMO。バターや魚に含まれるオイルで、関節の潤滑、抗炎症効果があります。個人的には、神経節嚢胞、軽い手根管症候群の痛み(人間工学設計でないキーボードが原因)を和らげるために局所的に使用することがあります。
  • 月見草、クロスグリ、ボリジのオイル。関節痛に効果があるガンマリノレン酸(GLA)という脂肪酸を含みます。
  • カイエンクリーム。カプサイシンクリームとしても知られています。乾燥とうがらしが原料です。神経細胞中にある、痛みを脳に伝達する役割を持つサブスタンスPという物質の産生を止めて痛みを和らげる効果があります。
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