断食

早分かり

  • アルギニンというアミノ酸が不足すると成長、生存ができないガン細胞が存在する。
  • 薬剤を用いてアルギニンの血中濃度を低下させる治療により、中皮腫患者の病気の進行を抑制し、無増悪生存率がおよそ6週間延長した。
  • 間欠断食は、ガン患畜において、生存率の向上、延命効果が見られた。
  • ガン細胞を餓死させるもう一つの方法として、ケトン食療法がある。炭水化物(デンプン質を含まない野菜は食べて良い)を排除し、健康に良い脂質と所定量の良質なタンパク質に置き換える方法である。
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進行性腫瘍の増殖を抑える「断食」習慣

2016年5月5日 | 2,811 ビュー |
バージョン:日本語

Dr. Mercolaより

中皮腫とは、致死率が高く、慢性的なアスベストやその他の環境有害物質への曝露により進行が原因となるガンです。

中皮腫の発症率は1980年以来4倍に増加しています。進行性のガンで治療法が確立されておらず、診断された患者のほとんどが死に至ります。

しかし、最新の研究では、腫瘍の進行を抑えるアルギニン飢餓療法が注目を集めている。

中皮腫の「弱点」

Queen Mary's Barts Cancer Instituteの研究者グループは、アルギニンというアミノ酸が不足すると成長、生存ができないガン細胞が存在することを明らかにしました。

この研究は、オーストラリアのシドニーで開催された世界肺癌学会で発表され、ガン細胞の約半数がアルギニンを生成する機能を持たず(通常細胞は生成可能)、外から摂取しなければ生存できないことを明らかにしました。アルギニンは食事を消化する過程において体内で生成される物質です。

アルギニン抑制剤を投与したこの実験では、従来の支持療法と比較して、病気の進行が抑制され、無増悪生存率がおよそ6週間延長しました。

大半の細胞がアルギニンを生成できるのに対し、特定のガン細胞がアルギニンを生成できないのは代謝機能に重大な障害あるためと考えられています。ADI-PEG 20という薬品を製造しているポラリスという製薬会社は次のように注意しています。

「アルギニンは、タンパク質合成および細胞の生存に不可欠な20のアミノ酸うちの一つであるので、このようなガン細胞は外部からのアルギニン供給に頼って生存、成長していると考えられています。

ADI-PEG 20は全身的にアルギニンの外部供給を断ち切ってアルギニンを必要とする細胞を死滅させ、一方で通常の細胞には影響を与えない薬品です。複数のガンにおいてアルギニンへの依存度が高いことが報告されています。」

この研究では取り上げられていませんが、この危険な薬品よりも安全で、しかもアルギニン抑制に同等の効果があると見られているもう一つの選択肢はアミノ酸リジンを用いる方法です。これは口腔ヘルペスの治療によく使用されるアミノ酸です。

アルギニンの不足によりガン細胞が死滅するのはなぜか?

L-アルギニンは一酸化窒素の前駆体で、内皮細胞(血管の内部表面を覆う細胞層)の栄養となる唯一の物質として知られています。言い換えると、血管の内部表面(内皮細胞)は一酸化窒素を生成するのにL-アルギニンを必要とするのです。

一酸化窒素は自動車などから排出される大気汚染物質として知られています(ダイナマイトの爆薬としても使用されます)。皮肉なことに、一酸化窒素は人間の体内でも排出される気体で、血管の健全な柔軟性と膨張性を促進するよう細胞に命令する分子として排出されるのです。この発見をした3人の研究者には1998年にノーベル医学賞が授与されています。

気体(この場合では一酸化窒素)が、細胞間の命令信号として利用されるという事実は、数十年前までは非常に新奇な考え方でしたが、現在では一酸化窒素に以下のような機能があるということはよく知られた事実となっています。

  • 血管細胞で生成された一酸化窒素は血流を促進する。
  • 正常範囲にある血圧を維持する。
  • 脳および免疫系のシグナル伝達分子として機能する。

間欠断食の抗ガンパワー

古代の祖先たちの食生活をまねて、”断食”を一日のうちに少しだけ取り入れる、または週に何日か絶食してみるのは大変良い方法です。これは「間欠絶食」と呼ばれており、健康や長生きに高い効果があるとされています。「間欠絶食」は、暴飲暴食の後の絶食や、極端な絶食ダイエット方法のことではありません。それは食事のタイミングをコントロールすることによって定期的に絶食する時間を設けることなのです。

私自身は、普段の生活のうち、75-90%は間欠絶食を行っていますが、好みに合わせて週に2日や1日おきに行うのも良いでしょう。

デューク大学メディカルセンターで泌尿器学と病理学を研究するStephen Freedland准教授によると、「栄養失調を回避しつつ低栄養」の状態を保つことは、実験的なアプローチに過ぎませんが、ガン患畜の生存率を高め、さらには全体的な寿命も30%も延びています。1日おきの絶食でも、細胞の増殖が抑えられ、ガンの罹患率が低減されることが明らかになっています。

Thomas Seyfried博士をはじめ複数の専門家によると、ガン予防や治療で最も大切なのは、間欠断食、つまり、全体的に食べる量を減らすなどにより全体的なカロリーを押さえることです。

絶食に関して他の研究では、過食を相殺するための間欠断食の場合、マウス実験で生存率の改善や、前立腺腫瘍の進行を遅らせる効果は見られませんでした。つまり、絶食をしない日に満腹になるまで食べしまうと、絶食の効果はいとも簡単に失われてしまうのです。

個人的には、間欠断食はダイエットというよりもライフスタイルだと捉えており、それゆえ、より健康的な食品を選ぶようにしています。もちろん、絶食中にも適切な栄養を摂ることが重要ですので、絶食にトライする前に正しい食品の選択について知る必要があります。

ケトン食療法でガン細胞を餓死させる

ケトン食療法は、炭水化物(デンプン質を含まない野菜は食べて良い)を排除し、健康に良い脂質(ココナッツオイル、オリーブオイル、オリーブ、バター、卵、アボカド、ナッツ類)と所定量の良質なタンパク質に置き換える方法です。ガン細胞が増殖するには糖が必要です。炭水化物は体内で糖に変わるので、炭水化物とタンパク質を制限して血糖値を下げることで、文字通りガン細胞を飢えさせることができます。

興味深いことに、アルギニンは高タンパクの食品に含まれるので、タンパク質を制限するとガン細胞が必要としているアルギニンを自然な方法で制限することができます。また、タンパク質の摂取を制限すると,細胞の増殖を助けるmTOR(哺乳類ラパマイシン標的タンパク質)の経路を最小限にとどめることができます。

Seyfried博士の提案によると、食事を低炭水化物、低-中程度のタンパク質、高脂肪にすることで血糖値を効果的に下げることが可能です。糖尿病用の血糖値計で測定して簡単に確認ができます。ケトン食療法では、ケトン体が増加します。ケトンは脂肪が代謝されたもので、体内に食品がない場合に燃焼され、エネルギーとなります。カロリー制限や間欠断食の組み合わせにより、体内の代謝状態はガン細胞にとって厳しい環境となります。

非常に重い疾患がない限り、間欠断食は6-8週間かけてゆっくりと進めていくのが良いでしょう。まず、就寝前3時間は何も食べないことからはじめます。次に、朝食を食べる時間を遅くしていき、最終的にはランチまで何も食べない様にします。食べて良い物は、炭水化物源はとしてデンプン質を含まない野菜、低-中量のタンパク品質、良質の脂質です。炭水化物ではなく、おもに脂肪を燃焼させてエネルギー源とすることに慣れると、ジャンクフードや糖分を食べたい欲求が嘘のようになくなり、それが当たり前の生活習慣となるということに気がつきました。

ケトン食療法と間欠断食の組み合わせは、どのようなガン治療を受けていても実行可能な方法です。個人的には、どのタイプのガンであっても、重要な食事法だと考えています。ケトン食療法とカロリー制限をもっと厳密に行いたい場合は、Seyfried博士の著書である「Cancer as a Metabolic Disease代謝異常としてのガン」を読んで見ることをおすすめします。

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